ルミちゃん事件　〜調査〜

その男性は毎朝、７時半頃に単車で出かけていく。



「鳥取県庁」「○○課○○室」に勤める公務員だ。



妻は近所のスーパーでパートとして働いている。
子供は二人。１３歳の男の子と１１歳の女の子。
可愛い子供達だが生意気が目につきはじめている。



父は数年前に亡くなり、遺してくれた家で、実母と同居している。



年老いた母の面倒を見つつ、家族と共に暮らす、ごく普通のまじめな公務員である。


まじめな公務員が聞いてあきれる。
自分の色恋沙汰に小学生の女の子まで巻き込む色ボケ野郎。
男性Ｂの氏名、住所、年齢、勤務先、家族構成、容姿風貌。必要な情報は全て把握した。
彼が拠って立つ『匿名性』は、もはや無い。さあ、どうしてやろうか？

一通りの調査を終えた頃、ルミの母より連絡が入った。
「あのぅ、ちょっと……男性Ｂから意外なメールが入ったんです」

（男性Ｂからのメール）
「なんども電話やメールをおくりましたが、返事をくれないのですね。もう、あきらめました。
話をしてもらえないようなので、私の携帯の○○さんのデータは削除しておきます。○○さんも私のデータは、削除してください！
では、元気で頑張ってください。」



つまり、男性Ｂの「撤退宣言」だった。


→続く



探偵ファイル・九坪