●更新日 03/27●

山木&荒井のDDT裏観戦レポ


山木=青 荒井=黒)



・セミファイナル6人タッグマッチ
【ポイズン澤田ジュリー(PSJ)、新田、猪熊 vs 男色ディーノ、坂井、ヨシヒコ】



このPSJのコスチュームすごいですよね!子供向けのヒーロー番組でこういう人見ましたよ!
ああ、いるいる。東映の戦隊シリーズだね。
そうそう。前回、この衣装みてDDTが好きになったんですもん!
薄々感じてたけど、キミはほんと精神年齢低いな。
実はボク、ピーターパンなんですよ。
うわ…。


※プロレスジャンキー荒井のちょっといい話
プロレスビギナーを取り込むには、まずは見た目の分かりやすさが大事です。
女の子を会場に誘いたい時など、間違っても最初にバトルスフィア東京にターザン後藤一派を観に行ってはいけません。
ターザン後藤を鬼神と呼んで目を潤ませるアナタを見て、彼女はきっと他の男の事を考え始めるでしょう。




“うわ”ってなんですか!失礼な人だな!
それはともかく、ヨシヒコは本当にいい選手だよなあ。
は?これどっから見ても空気人形じゃないですか。
お前は何を言ってるんだ!どう見ても坂井の弟じゃないか!目元とかそっくりだぞ!
うわぁ…。



身体つきが丸っこいから、ヨシヒコはちょっとお母さん似なのかな?
もういいですよ…。
うん…。
あ、そうそう!ディーノ怖いですよね!
ディーノ=恐怖だね。
入場の時とか、とりあえずディーノがどこから出てくるか探しますよね。
探す探す。ディーノの入場にはジョーズ並の怖さがある。
人ってほら、命の危険を感じるとさすがに必死になりますからね。


※プロレスジャンキー荒井のちょっといい話
プロレスをよく知らない女の子にとって、男色ディーノは大変目をひくキャッチーな存在です。
が、彼女が面白がってうかつにディーノを追いかけようとしたら命がけで止めて下さい。
力一杯グーで殴打されたが最後、彼女は二度とプロレスを、そしてアナタを愛してはくれません。
まずは無難に、ノアの丸藤選手や、ドラゴンゲートのイケメン選手の追いかけから始めさせましょう。




新田ってK−1出てましたよね?ボクが見る限りかなり実力ある人だと思ったんですけど…。
思ったんですけど…なに?
なんでこんな事やってるんですか?生活苦しいんですかね?
お前なあ!!歯を食いしばって一歩前へ出ろ!修正してやる!!
だっておかしいじゃないか!
お前が新田だったら、K−1の試合と2000人の観客の目の前でディーノに唇奪われるのどっちが辛い?
明らかにディーノです。
新田はその辛いイバラの道を歩んでるんだよ!
無駄な歩みですよ。
無駄って言うな!!文句があるなら、お前がディーノと試合してみろ!
それは暴論だよ!!
うっさいわ甘ったれのボンボンがああ!!!!



だって、空気人形相手に膝蹴りとかパンチ入れてるんですよ?
空気人形じゃねえよ!DDT期待の新人ヨシヒコだっつうの!!
ぜったいキックの選手として汚点じゃないですか!!
お前はヨシヒコがカウント5で立ち上がって、本気で悔しそうにする新田を見て何も感じないか?
別に…。
オレは正直、新田のプロ根性に涙が出たね。
ああ、そういう点では尊敬できますよね。
だろ?
ええ。
お前にもプロレスが分かってきたな。
…いや、それはどうかと。


※プロレスジャンキー荒井のちょっといい話
プロレス初心者は、時としてこのような暴言を吐きます。
そのような時は、理屈でいくら説明してもラチがあきません。
返答に困った時は、“根性”とか“気合”とか“愛”とか、いわゆる精神論を熱く語ってごり押ししましょう。
早い話がターザン山本の手法です。




いやー、このバルコニーでの攻防は冷や冷やしたよね!
…。
あと少しで猪熊が落とされそうだったもんね!ヨシヒコは新人のくせに無茶するよな!
…。
山木、お前もう少し余裕のある人間になれよ。
…。



このヨシヒコの最後のウルトラCも凄かった!
はぁ…。
超高速でグルグル回転して、一瞬で丸め込んで3カウントですよ!まさしく神技ですよ!
はぁ…。
何か言いたい事でも?
いえ…なんていうか…。
言いたい事があんならハッキリ言えよ!
じゃあ言いますけど…。
おう。
ボクの目には、黒ずくめの全身タイツの男が空気人形を振り回して暴れてるようにしか見えないです…。
本当に人を興ざめさせる名人だなキミは。
だって…。



お前はこのディーノと坂井の満面の笑顔を見て何も感じないのか!
…バカだなあって。
バカはお前だ!プロレスを心の底から楽しめるかどうかで、そいつの人間としての器量が分かるんだよ!!
ええ、まあ…。そういう事でいいですよ。
キサマは無気力世代の代表格だな。
はあ…。



メインイベント KO−D選手権試合
【王者:ディック東郷 vs 挑戦者:高木三四郎】



メインはそんな無気力な山木でも熱くなれる名勝負だったと思う。
すごいスピーディで展開の激しい試合でしたね。
セミがお笑いマッチだったのに、メインは凄いシリアスでクオリティの高い試合だったよねえ。
その辺が混在となってるのがDDTの魅力なんでしょうね。
まさにその通りだと思う。
なんか荒井さんに賛同するみたいだけど、どんな試合でもマジメに手を抜かないで突き詰める姿勢はいいと思う。
そだね。いわゆるプロ根性ってやつだよね。
思えば探偵ファイルも、“スパイ”も“危ない”も両方あってこそですもんね。
そうそう、そういう事。バカネタもマジメなネタも、両方クオリティの高い物にしないとね。
そうか。なんか納得した気がする。


※プロレスジャンキー荒井のちょっといい話
非プロレスファンにプロレスを認めさせるには、いくつかコツがあります。
もっとも効果的なのは、プロレスの表も裏も明かした上で、その人にとって具体的な例え話に繋げる事。
今回の場合、プロレスを探偵ファイルに例える事で、山木は皮膚感覚でプロレスという存在を理解してくれました。
例えば、一歩進んだこんな言い方をしてみてはいかがでしょう?
「プロレスとは相手の技を堂々と受け合うから良い試合になる。経験があるなら絶対に分かるだろうが、セックスと同じだよな。」
などと言えば、男友達であれば8割くらいの確率で“知ったかぶって納得したふり”をします。
ポイントになる言葉は『経験があるなら絶対に分かるだろうが』です。
そう言われたら、相手は自分のセックス経験の未熟さを晒すわけにはいきませんから、間違っても分からないとは言えません。
そう、プロレスとは見るも語るも知的遊戯なのです。




こういうセコンドの乱入って未だにあるんですね。古いプロレスってイメージがあるなあ。
これも一種の儀式だよな。
儀式?
うん。
どういう意味ですか?
だってな、正義の味方役が敵のセコンド乱入もなく普通に負けちゃったらどうなる?
んー。ああ、言い訳できないって事かな?
そうそう。普通に「コイツ弱いじゃん。」って言われて次のチャンスがなくなるじゃん。
ええ。
でな、悪者的にもそれは美味しくないんだよ。
どうしてですか?
だってそれを続けて行ったら、相手になってくれる正義の味方役のレスラーがいなくなって仕事なくなるじゃん。
え?
正義の味方役との抗争が続くから、悪役に仕事が回ってくるんだよ。
ああそうか!
走狗を煮るってやつだな。対立構造がなくなったら、悪役は用済みになってしまう。
次の仕事をもらう為に、わざと正義の味方にもチャンスがあったように思わせるんだ!次こそはって!
そう。それが悪役としての礼儀なんだな。
なるほど。需要と共有が上手く出来てますね。無駄のない地球に優しいエコロジーだ。
(微妙に違う気がするけど納得したみたいだからいいや…)


※プロレスジャンキー荒井のちょっといい話
古い話になりますが、これは大昔に世界チャンピオンがベルトを持って世界中で防衛戦を行っていた時代の常識でした。
例えば、権威のあるベルトを保持している世界王者が、よその国の英雄的レスラーと戦ったとします。
その時世界王者は、いくら実力に差があったとしても、地元の英雄にあっさり勝ってはいけません。
もし地元の英雄を全く寄せ付けずに勝ってしまうと、「世界の壁は厚いんだな。」の一言でその国のプロレスファンが諦めてしまうからです。
ですから昔は3本勝負などという微妙なルールが採用され、3本勝負のうち1本は地元の英雄に取らせていたのです。
こうすると、ファンは自分たちが応援していたレスラーは世界王者相手に互角の勝負をしたと思い込み、次にその王者が来日した際、「今度こそオレ達の英雄が勝って王者になるかも!」と期待をもって会場に観に来るのです。
逆説的になりますが、そうやって世界各国でプロレスビジネスを成功させられるレスラーだけが、世界王者として認めてもらえたのです。




この最後の攻防はすごくスピーディでしたね。次にどう動くのか予想つかなかった。
これは三四郎の頑張りも凄いけど、やっぱ東郷の凄さが目立ったなあ。
え?でも三四郎さんも頑張って攻めてたじゃないですか。
いや、アレは攻めさせて貰ってたんだろうね。
へー。東郷選手が見せ場をあげたって事ですか?
見せ場っていうか、実力差をハッキリ分からせた上で勝とうとしたんじゃないかな。
実力差か。
あのね、違う言い方をすれば引き出しの多さとか、試合の組み立てのセンスだよね。
どういう事?
分かりやすく説明すると、三四郎選手は確かに手数は多かった。
うん。
でも、同じ技を何度も出しちゃってたんだ。
ああ、確かに。
それって、技の引き出しが尽きちゃってるって事なんだな。
ああ、レパートリー?
ようはそういう事。
レパートリーが尽きたら負けるんですか?
相手が思いつく限りの技を出し切って、それでも勝てなくて、次何やろうか悩んでる所で逆襲して試合を決めるのが東郷の凄さ。



ここだよね。ここで三四郎は何度目かのパワーボムを狙ったんだ。
はいはい。
で、東郷はいつの間にか手にメリケンサックをハメててさ。
え?気付かなかった。
ハメてたんだよ。で、それで頭を殴って脱出したんだわ。
よく観てますねー。
これは逆に言えば、東郷は絶対に返さないといけなかったんだな。
なぜ?
だって同じ技を何度も喰らったらうそ臭いじゃない。
ああそうか。



で、殺人フルコースの一発目ペディグリー炸裂と。
格闘ゲームのコンボ技みたいですね。
そうそう。大足払いキャンセル波動拳みたいなもん。



これ酷いよー。凄いジャンプ力だし、背中から相手の腹にモロに落ちるし。
ぱっとみて痛いって分かるもんね。
いくら鍛えてても、100kgの物体がこの高さから落ちてきたら内臓おかしくなりますって。
そだねえ。
これで試合が終わるのは当然て感じだなあ。



そう、いい所に気が付いた。
は?
プロレスの必殺技で一番大事なのは説得力なんですよ。
確かにショボい技で試合が終わったらがっかりですよね。
それでいうと、東郷のダイビングセントーンは必殺技を名乗る資格十分だよね。
これは確かに喰らいたくない。っていうか、これが当たったら諦める。
東郷のセントーンはハンセンのラリアット、鶴田のバックドロップと比べてもいいと思うな。
これが観れたらお客さんも満足、みたいな?
そうそう。いわば必殺技っていうのは客に対する礼儀だね。
なるほど。



ふてぶてしい顔してますよね。
いやー、東郷は凄いよ。この人こそ王者って感じだよ。
セコンドいらなそうですよね。
実力的にはいらないだろうね。でもさっき言ったように、悪役としての礼儀なんだな。
はいはい。負けた正義の味方に言い訳の余地を残すってヤツですよね?
うん。
そう考えると東郷っていい人ですよね。
そ、それは…。
何か違いますか?
まあともかく、DDTに真っ向勝負で勝てる選手いるのかなあ。
このままずっと東郷選手がチャンピオンなんですかね?
いやー、DDTにはヨシヒコが…。
空気人形から離れてくださいよ!
わかんねーヤツだな!アレは坂井の弟だっつうの!!
絶対にそこだけは認めませんよ!空気人形は空気人形だって!!
お前、人として言っていい事と悪い事があるだろ!!
なに寝言言ってるんですか!
もしヨシヒコが人間だったら名誉毀損で訴えられてるぞお前!
あんな明らかに空気で膨らんでるのが人間のわけないでしょ!!
文句があるならお前がヨシヒコと試合してみろ!
何します?斬鉄剣で斬り刻みます?
うるせーよ!雪だるまを切れずに逆に刀折ったなんちゃって剣豪が!
酷い事を言う人だな!!
お前なんか大人しく探偵ファイルの広告料でも数えてろ!
あ、あ、アンタこそ言っていい事と悪い事の区別もつかないのか!!

(以下、不毛な言い合いがエンドレスで続く)


※プロレスジャンキー荒井のちょっといい話
プロレス初心者とこのように感情的な言い合いになってしまうと、もはや修復は不可能です。
このような最悪の事態を招かないよう、言い合いになりそうな場合はプロレスファンの方が一歩下がるべきでしょう。
ここでムキになってプロレス論、格闘議論などを持ち出してしまうと、アナタは童貞街道まっしぐらです。
プロレス雑誌に『包茎手術』と『出会い系サイト』の広告ばかり載っている現状を踏まえ、「自分達はそういう広告に引っ掛かる層だと思われている」という事実を冷静に見つめましょう。
『プロレスは、語るも見るも余裕が大事』
↑この言葉を噛み締めて、今後もプロレス道を突き進んでください。


では今日のプロレス講義はこれでお終い。次回があればまた探偵ファイルでお会いしましょう。






■協力■
DDTプロレスリング
写真付きの選手プロフィールや試合速報、興行スケジュールやチケット販売など。

■写真提供■
SPO JAPAN(大日魂様)
若手ライター陣による濃いテキストが満載。偏った(?)スポーツ記事を読むならここ!



荒井禎雄(おはら汁)


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