●更新日 02/28●

新潟地震ここだけの話 〜あんこう鍋?〜


新潟地震で行われていた、被災者への食事の配給。
外部から炊き出しの支援があるのだが、食事が全員に行き渡らないこともあれば、事前打ち合わせをしたのに用意していた食材が無駄になるなど、悲惨な結果に終わった炊き出しもあったと角田氏は語る。

写真 角田氏

[角田四郎] ライター。神戸出身。東京都在住。代表作「疑惑」(早稲田出版)。阪神淡路大震災、ナホトカ号油流出事故、台湾地震で常駐ボランティアとして活動。新潟地震では延べ1ヶ月半常駐し活動。


とあるイベントの当日、打ち合わせ通り食品会社の「あんこう鍋」スタッフ多数が、取材陣を従えて角田氏の活動する「吉谷トレーニングセンター」(新潟県小千谷市吉谷地区にある避難所)にやって来た。

配食スタート時、既に鍋の前には避難所外からやって来た人たちで長蛇の列が出来ていた。食品会社はこのイベントのビラを小千谷市一帯に巻いて宣伝していたのだ。

「鍋が小さいな」との角田氏の不安通り、僅か10分程であんこう鍋が無くなりかけた。その際、用意したものの人気のないタラの鍋を、鍋スタッフがあんこう鍋に移して水増しする現場を、他のボランティアに目撃されている。


「あんこう鍋」が、「タラとあんこう鍋」に……。


しかしすぐに、その混合鍋も底を突きかけた。

心配になった角田氏が、「避難所の150名分は確保してますか?」と鍋スタッフに聞くと、「そんなもんあるか。早い者勝ち」と怒鳴り返された。現場スタッフに、打ち合わせが伝わってなかったのだ。

結局、大慌てでボランティアが豚汁を作り何とか避難所の夕食は間に合わせたが、事情を説明するとあんこう鍋を楽しみにしていた避難者たちはがっかりしていたという。

鍋スタッフは鍋が空になると、長蛇の列を置き去りにしたまま逃げるように帰っていったのだが、翌日の新聞には「大盛況、喜ぶ被災者たち」といった内容の記事が掲載された。


さらにこの話にはもう一つのオチがあった。

自衛隊とボランティアによる配食が終わると、行政の弁当がそれに取って代ったのだ。

角田氏「その弁当を請け負ったのが、あんこう鍋のイベントをやったあの食品会社や。しかも全市に支給や。あの会社ぼろ儲けやで」

どうやら食品会社は「タラとあんこう鍋」を餌に、大きな魚を釣り上げたようだ。



ぽん


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事