●更新日 11/15●

思い出は土砂の下


「震災の被害も痛ましいものですが、台風の被害地でも復興活動が滞っています。皆さんにもっと目を向けていただきたいです」(災害対策本部広報担当者)

10月下旬に本州を直撃した台風23号。
死者は全国で90名、負傷者は重軽傷含め486名にのぼっている(11月10日現在・消防庁調べ)

被害がとりわけ大きかった京都府舞鶴市には、今もその爪あとが色濃く残されている。



倒壊した家、



二度と動くことはないだろう自家用車、



崩れた神社、



面影すらない、建物。


新潟県中越地震が発生した影響ですっかり影の薄くなってしまったが、これが台風23号の被害地の様子である。
「そういえばそんなことも……」なんて言葉で片付けるには、あまりに痛々しい。

道路の舗装や民家の建て直しなどが終わるには最低でも数年以上かかるそうで、全体的な被害額は見当もつかない状態である。


山の麓に位置し、とりわけ復旧活動が困難な八田という集落がある。
そこで一人暮らしをしていた90歳の女性は、

「畑が土砂に埋まってしまった。これからどうやって暮らしていけばいいんだろう」
と、か弱い声で話す。

この女性の生家は、



土砂によって崩されてしまった。

「畑も家も捨てて新しい生活をしていくなんて、年老いた私にはとても出来ません……」

泣き崩れるこの女性に、かける言葉が見つからなかった。



災害対策本部は、こう呼びかける。

「防災関係機関で出来る事には、限界があります。だからこそ各自の危機管理能力の強化をして頂きたい。あなたの生活を守れるのは、あなた自身なんです」


誰も助けてくれない。助けてあげることすらままならないこの世の中。
やはり、自分自身で立ちあがるしかないようだ。

それが無慈悲な天災であっても。



huze・凛・もみ


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