●更新日 11/09●

夢のメジャーリーグの代償


シカゴ・ホワイトソックス所属の、ホゼ・コントレラス投手。
彼はキューバからメキシコへ亡命し、野球がしたいという一心でアメリカにたどり着いた。
平均時速144キロ以上の直球を投げる彼は各球団が争奪戦を展開。
その結果彼を獲得したのはニューヨーク・ヤンキースだったが、その獲得戦法があまりにも強引だとマスコミに叩かれたほどだった。

ホゼ・コントレラス投手

そんな大騒動の中ヤンキースに入ったコントレラスの戦績なのだが……
奮わない。

11人を連続でおさえ観客を沸かせた次の瞬間には、11人連続で打たれてしまうというアップダウンの激しさ。
初めてボールを握った少年のようにそわそわしたり、「誰も話し掛けるな!」という超大物の雰囲気を出したり。

そんな彼の起伏の激しさには、ひとつの理由があった。

彼は奥さんと娘2人(11才と3才)そして彼の両親をキューバに残してきていたのだ。
キューバに残された家族らは、亡命したコントレラスのために「裏切り者」「国の恥」と呼ばれている。
心を痛めた彼の奥さんは何度もキューバから出ようとしたのだが、「英雄だった彼(コントレラス)への罰」だとして、許可がおりることはなかった。

自分のために、家族がつらい思いをしている。
これでは、彼がプレーに集中できないことも当然だろう。

しかしその後、彼の家族は違法ボートに乗ってアメリカへやってきた。
海流の荒い場所が多く、危険な方法であるにも関わらず。


共産主義がコントレラスから奪った、家族とエネルギー。
彼らは全身全霊で、それを取り戻したのだ。
愛する家族のそばで、コントレラスは更なる活躍をすることだろう。



MAYU(校正 もみ)


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