●更新日 11/06●

先見の明がアダになる?(前編)


先物取引。
将来の一定期日(限月)に現品の受け渡しまたは決済を行うことを約束した、売買取引のことである。
ハイリスク・ハイリターンが特徴で、初心者は特に手を出してはいけないと言われる。
悪徳業者に騙され被害を被る人は後を絶たない。

写真
▲これから「来る」のはコーヒー豆らしいぞ★

今回、この先物取引業界の中でも悪徳と言われているS商事の顧客勧誘マニュアルを入手した。

まずは卒業名簿などから情報を入手し電話をかけるのだが、その数は1時間に100件近く。まさに手当たり次第だ。

以下、電話マニュアルの一部(原文のまま)。

私、S商事の〇〇と申しまして東京の日本橋にある総合商社をやっている会社なんですが、このたび創業35周年を迎えまして今度×××に支店を開設することになったものですから、誠に勝手ながらお電話だけのご挨拶で失礼させていただいています。(中略)私どもの業務内容といいますのが、三井物産や三菱商事といったところと共同で商社のC Fというのを主に取り扱っている会社になります。(中略)証券会社の中国ファンドとかMMFってありますよね、あちらの商社版に当たるのがこのC Fというものなんです。(中略)中国ファンドでしたら中期の国債の運用ってすぐわかるじゃないですか。でもCFの運用先って言われてもピンとこないですよね。実はモノを運用しているんです……


証券会社等で運用されている中国ファンドやMMFを引き合いに出し、CFは安全だと印象づけようとする。
三井物産や三菱証券などの名前も、信用を得るための材料にすぎないのだ。
そもそも、「国債」を運用する中国ファンドと「モノ」を扱うCFは全くの別物である。
それを「CFは中国ファンドの商社版」とはよくもいったものだ。

関係者は
「適当なことばかりを言っているため、電話の録音をされるのが一番マズイ」
という。

電話をかける際のマニュアルとしては他に、
・ヒステリックに聞こえるので、女性のアポインターは使わない
・わざと騒々しい場所からかけて、「忙しい会社」という印象をもたせる
・1度電話をかけて、あっさりと切る。見込みのあった客にだけ改めて勧誘(今度はしつこく)を何度もする

などがあり、契約に立ち会うのとは別のテレアポ専属担当者をつけるらしい。

また、顧客が取引を決めた品物の価格が上がった場合、「今回の利益を更に運用しましょうよ」などと言葉巧みに決済をさせないよう仕向ける。
ありとあらゆる角度から、顧客を騙す秘策を仕掛けてあるようだ。
「初心者は手を出すな」と言うのも頷ける。

あ、そうそう。言い忘れていたが、そもそもCFなんてものは存在しない。
S商事のでっちあげなのでそのつもりで。



もみ 


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