●更新日 09/10●

泥棒の、泥棒による、泥棒のための


最上級のセキュリティハウスとは、まさにこの家のことである。



▲茨城県取手市中原町、鉄筋コンクリート3階建て。平成11年築。床面積1階2階共に76.25u、3階29.89u。

玄関に監視カメラ。
窓は小窓のみ。
180cmのブロック塀。
壁をよじ登ることも不可能。

ここまでやれば、泥棒もやる気が起きないはず。
なぜなら、泥棒が建てた家だから。

家主は、現在窃盗の罪で公判中の山口慎弥被告(42)。

これまで20年間も盗みをやってきたようだが、今年1月15日、盗難車に乗っていたところを御用。
その6日後、何と「16年前の殺人事件を自分がやった」と供述したのだが、それが報道されたのは今月8日。
殺人事件は昨年11月に時効が成立しているから、警察にとっては恥ずかしいニュースだったかもしれない。
「あと数か月早ければ……」という、山口被告が薄ら笑いしそうな捜査員のコメントが空しく響くだけだ。


山口被告について、近所の人の話。

「痩せ型で神経質っぽい感じ。話し掛ければ受け答えはしっかりしていましたよ。近所にはミュージシャンだと名乗っていましたが、5年程で見かけたのは10回以下ですね。自宅はスタジオを兼ねていると聞いていたんですが……」


    ▲カッコつけたスタジオ名

「2回ほど2tトラックで荷物を大量搬入しているのを見ました。1月に捕まった時は『泥棒が防犯カメラなんて……』と呆れたものですが、殺人犯がいたと知るとやはり怖いです」


▲防犯ステッカー。同じモノが368円で売っているのを発見。意外とセコイ。

家の設計は本人でやったようです。帰宅時は道路側の車庫から入り、そのまま敷地内に入れます。人と会わないで住むには完璧な設計です」




「防犯的に優れた建築物だ」として大学教授までもが見学に来るそうだが、家を建てたお金は盗んだお金。
人一人殺している泥棒がこんな豪邸にのうのうと暮らせる世の中なのか。



探偵ファイル



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