●更新日 06/15●

自衛隊、多国籍軍参加の前に


8日に小泉首相が日米首脳会談でイラクにおける多国籍軍編成を評価した上で、自衛隊の派遣を継続するという事実上の多国籍軍への参加を表明し、14日から本格的な調整に入った事が議論になっている。

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   (自由民主党のサイトより)

多国籍軍への自衛隊参加の是非は、90年のイラクによるクェート侵攻の際にも議論されたが、内閣法制局は『戦闘が起こった際に同行している国の意思によって戦闘に参加しなければならない事態がおこりうる』であるとして違憲との判断をした。しかし今回は、その内閣法制局が『独自の指揮権を持って、人道的支援に限った活動を行うなら憲法に違反しない』というお墨付きを出しているのである。
集団的自衛権の行使に関しては長年にわたって論争されているのに今だ結論の出ていない問題であり、そこに踏み込むには国会や国民の間で議論が必要なはず。しかし、それを行なわずに多国籍軍参加を表明した小泉首相は法治国家の精神をないがしろにしているとしか言い様が無いし、自らが一度出した結論を覆し首相を支持する内閣法制局もただの御用学者と変わりが無い。

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  (防衛庁・自衛隊のサイトより)

『独自の指揮権を持って、人道的支援に限った活動を行う』という事が果たして可能だろうか。
治安の悪く重装備が必要な“非戦闘地域”に派遣され、戦闘を行なえないという手足を縛られ、ほとんどの活動基地内で行なうしかない自衛隊の現状を考えれば、そのような事は困難であるとしか見れない。しかもそのような活動方法では自衛隊員の命を危険にさらしておきながら、どれほどの効果を上げられるか疑問がある。
さらに自衛隊を警護しているオランダ軍は撤退が検討されており、状況が悪化する可能性もある。

そもそも開戦の理由である「大量破壊兵器の保持」について情報操作があった事は、当事者であるアメリカ・イギリスの国内でも批判されている。その誤った情報を信じて自衛隊を派遣した政府はまずその事を反省し、その上で派遣継続を検討すべきでは無いだろうか。
間違いの上にさらに何かを積み上げれば、それが崩れた時には被害が大きくなるだけである。



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