●更新日 05/10●

電車を止めてしまったら3


電車の運行を妨害した際の損害賠償について、前々回はJR等鉄道会社への取材結果を、前回は体験談を記載した。
3回目となる今回はまとめとして、読者から寄せられた高額の損害賠償を請求されたケース、そしてJR職員の方に教えて頂いた賠償請求の実情について報告する。
また例によって、どちらも個人を特定出来ないように詳細を伏せて記述している事をご了承頂きたい。

読者から寄せられたケースは、いわゆる私鉄がらみの事故で請求された事例だ。





知り合いが昔、過失で某私鉄を大きな事故に巻き込んでしまい、始発から夕方までストップさせた事があります。
事故の規模からすれば幸いにも本人は軽症で済んだのですが、賠償金として2億円を請求されたそうです。
ただ、毎月2、3万円ずつ支払って2年ほど経った頃、私鉄側から『誠意が伝わったので今後は支払わなくていい』と言われたとか。
写真 (イメージ画像)





2億・・・一般市民には恐ろしい数字としか言いようがない。
過失だから『誠意が伝わったので〜』で済んだのかもしれない。もしこれが故意だったらどうなっていたか・・・
それでは、JRはどういう対応を取るのだろうか。前々回よりも更に詳しい話を、職員の方から伺った。





社内には、自殺や事故についてのマニュアルが存在します。流石に詳細は部外秘ですけど。
これらが起こった場合、損害賠償として請求するのは主に以下の点についてです。
・車両、レールといった鉄道施設の点検、修理費用
・バス、タクシー、他社鉄道への振り替え輸送費用
・乗車券の払い戻し費用
・職員への手当てなどの賃金
総請求額はトラブル発生時の状況によりますが、だいたい300万円ほどでしょうか。
止めたのが新幹線や都会のラッシュ時の電車になると、1000万円以上になりますね。
写真 (イメージ画像)





切符を買って乗り込めば、自動的に目的地まで運んでくれる「電車」という便利な乗り物。
しかし、その使い方を一歩間違えば、途端に恐ろしい物へと変貌してしまう。
プラットホームや踏み切りでは細心の注意を払うのはもちろんの事、それでも何かトラブルが起こってしまった場合は、非常停止ボタンや駅員を呼ぶ等して、小規模で済ませる努力をしなければならないだろう。



探偵ファイル・静山



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