●更新日 04/29●

留学ビジネスの影に(中編)


前回、留学をビジネスにしているIという会社の事に触れました。
今回も、Iの手口に迫ってみたいと思います。



・多すぎる寮費
前回も触れましたが、このIには地方の生徒を住ませる寮が用意されるのですが、実はこの寮、会社の物では無く、通常の賃貸物件なのです。ですから、寮費=「家賃(オーナー+管理会社)」+「管理人給料」+「Iの取り分」と、上乗せ分が多いのです。
地方から留学を志してやってきた方は、授業料を払うだけでも大変なのに、その上寮費……莫大な金額を支払う事になる訳です。お子さんの事を考えて東京に送り出したご両親に取ってみれば、十分、死活問題ですよ。

・海外の知識の無い経営者
”学校”を名乗っているのですから、それなりの知識が必要である事は当然の事です。しかし、このIの経営者は、留学経験ゼロ・英語話せない・教員免許無しなのです。その様な人物が上に居て、Iの方針を決めているものですから、全体的にI自体も薄っぺらなものとなってしまうのです。
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・名前だけの留学ケア
Iに”留学ケア”というシステムがあると言う事は、前回お話しました。これは、渡航先の学校の選定や、生徒のカウンセリング、出願書類の作成及び出願、学生ビザ申請や航空券、宿泊施設の手配などを行い、留学する生徒を全面的にサポートするシステムの事です。これが本当であるのなら、とても心強い事でしょう。
しかし、実際は、必要最低限の事しかせず、何か問題があってもなかなか助けてはくれません。これはIから、”生徒とのコンタクトを事務的な事のみで最小限に抑えるように”との指示が出ているからです。簡単に言うのなら、留学させて後はほったらかしなのです。

・潰された改革
このIに務めていた職員の中にも、現体制に疑問を感じ、異議を唱える方が過去にいらっしゃいました。
その方たちは、「本当に生徒の為にすべき事は何か?」と言う事を真剣に考え、Iの改革を起こそうとしていました。ところが、その事情を察知したIの経営者は、その計画に加担した職員全員を解雇。粛清するという行動に出たのです。今残っているのは当時、I側についた方ばかりです。この様な方ばかりで、何が生徒に出来るでしょうか?

・成績の捏造
Iは会社です。利益を生み出さなくてはなりません。それは会社としては当然の事でしょう。しかし、その方法に問題があります。
Iは他の学校からあぶれた”素行に問題がある生徒”や”不登校者”、”成績に問題がある生徒”を留学させています。それが成績や素行に問題が無く、真剣に留学を目指しているのなら良いでしょう。しかし、どう逆立ちしても留学には適さないような生徒も……Iはなかば強引に留学させてしまいます。
素行や、成績、人付き合いに難が有る生徒をそのまま海外に留学させる訳ですから、上手く行く訳がありません。退学になったり、授業に付いていけなくなって挫折して帰国したり、酷いものになると、海外に対してトラウマを抱くようになってしまうのです。
また、外国に留学する際に必要な英語力を測るテストがあるのですが、Iはこのテストセンターとして認められているので、当然テストの内容を把握しています。そこで、前もって、このテストの問題を特訓させて、高得点を取らせます。当然ですよね、同じ問題を何度もやっているのですから。
それでも点数が低い、成績に問題がある生徒がいたとしても……スコアを捏造して提出してしまうのです。



聞けば聞くほど問題が多いこのビジネス。次回はいよいよ核心に迫りたいと思います。



探偵ファイル・キム



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