●更新日 04/17●

視覚障害を持って


生まれながらの方。事故による方。病気による方。全く見えない方。うっすらと見える方。沢山の方がいらっしゃいます。
バリアフリーが叫ばれて、数年が経ちますが、実際の所はどうなのでしょうか?
今回、お2人に取材をして参りました。「自分には関係ない」と思わずに最後まで読んで欲しいと思います。



―――どのような経緯で、視覚に障害を?
Aさん:生れ付きですね。原因は不明。
Bさん:先天性の病気で。

―――視覚に障害が生じてから、どのように世界は変わりましたか?
Aさん:うーん、同情心とかは無くなりますね、他の障害者への。僕たちが一番嫌いなのは同情される事なので。
Bさん:生まれ付きの病気で障害を持った為、どの様に世界が変わったのかと考える事もなく育ちました。

―――初めて出掛ける場所などに上手く到着する事は出来ますか?
Aさん:初めての場合は大抵友達等に詳しい行き方を聞かされて一緒に行くようにします。初めて一人で行くときはやっぱり不安ですね。
Bさん:出来ません。事前に練習すれば可能ですが。ただし、乗り物や他の交通手段を使えばできない事もありません。


―――今までで、1番困った事・悔しかった事は?
Aさん:自分の現在地を完全に見失ってしまった時です。それと、エスコートしてくれた人がその後手を洗っていた事ですかね。
Bさん:目と目で会話をされるのは、気持ちの良い物ではありません。見える方は、私たちが何も解ってないと思っておられるのでしょうが、ちゃんと解っています。そんな時、凄く悔しいです。
後は、落とした物をすぐに探せなかったりと、悔しいというか困る事は沢山です。

―――今までで、1番危なかった事は?
Aさん:横断歩道で車にひき殺されそうになった事です。
Bさん:道路の工事をしていて、知らずにその穴に落ちた事です。

▲世の中にはまだまだ障害を持つ方に不利な物に溢れている。
これは、点字の有る電話(左)と、何も無い電話(右)


―――今までで、1番楽しかった事は?
Aさん:自分を1人の人間として見てくれる親友と遊んでいる時です。
Bさん:好きなアーティストのライブに行けた時です。

▲点字の有るATM(左)と何も無いATM(右)

―――健常者の方に知っておいて貰いたい事は?
Aさん:視覚障害が有るからといって知能や聴覚にも障害が有るとは限りません。それと視覚障害と言っても色々と種類が有るという事を知って置いて下さい。白い杖はただの目が見えませんと言うマークでは有りません、左右に振ったりしてるのは目印を探していたり前方の安全確認をしていたりしているんです。良く、盲目の世界はただ真っ暗で何も出来ないと思われがちですが、何だって出来ます。だからどうか温かく見守ってみて下さい。
Bさん:やり方を変えたり、道具を使えば私たちも同じ人間である事。決して特別ではないと知って欲しいです。

―――目に障害が出て、不安を抱えている方が大勢いらっしゃいます。その方達を勇気付けられるアドバイスを
Aさん:視覚障害はある程度歳を取ってからなってしまうと大変苦労するそうです。きっと不安になるでしょうけど、思い切って色々な事に挑戦してみて下さい。障害を持って初めて解る事も沢山有るはずです。障害を持ったからこそ出会えた友達も出来るかもしれません。
はっきり言って最初は厳しいと思います。何で私だけこんな目に合わなくちゃいけないの?とか。自分の描いていた夢を諦めなくてはいけない人もいるでしょう。でも、だからといって自分の殻に閉じこもっていてはいけません。その後の人生が楽しくなるかどうかは自分次第です。
Bさん:これは、同じ視覚障害者同士であっても、障害を持った時期や病気環境などで、その人によって、不安も心配も違うと思います。周りの視覚障害者に出会う事によって、きっと今いる環境からは何とか抜け出せるのではないでしょうか。
中途で障害を持つと、人生を諦めてしまう方もおられるようです。私は、ぜひ、近くにおられる視覚障害者の方と友達になってそこから、色んな物を取り入れてもらいたいと思っています。
勇気付ける言葉はありません。冷たい言い方かもしれませんが自分で乗り越えるしかないと思います。その方のやる気によって、今おかれている環境もきっと、いい方向へ変わって来ると思います。



後記
取材を通して、非常に様々な事を知る事が出来、大変勉強になった。まだまだ自分が未熟である事が痛感された。
取材後に当サイトの事を紹介した時に、Bさんはこうコメントした。
「悲しい事に、探偵ファイルさんのHPは、音声化ソフトで閲覧している私達にはとても見難い物でした。ネットには、まだまだ多くのバリアがあります。せっかく、力を入れて下さるのなら、ぜひ、HPにバリアのない物を作って下さい」

はっとした。情報アクセシビリティでは無いか。自分も気を付けている ”つもり” でいたのだ。
真なるバリアフリーを実現させる為には、相互の理解が不可欠である。
今後とも、自分に何が出来るか考え行動して行きたいと思う。



探偵ファイル・キム



前の記事
今月のインデックス
次の記事