●更新日 03/27●

医薬分業 〜閉ざされた世界〜


閉ざされた世界の代表 「医療業界」
最近になって情報開示が叫ばれ、オープンになってきているとは言われていますが公開されている部分はほんの氷山の一角。
まだまだ一般の人たちには知られていないことが山のようにあります。
提供する側の伝え方が悪いのか、それとも提供される側に興味がないのか。
医療業界の中でも、特に知名度の低い「医薬分業」について現場で働く者の視点からご紹介します。

Q.医薬分業とは具体的には何をしているかご存知ですか?

A.病院では院外処方箋を貰い、薬局では薬を貰う事

一言で言うと上記の様に言えるでしょうか。
定義としては“医薬品の安全、適正利用のために医(師)と薬(剤師)を分ける”事。
かなり一般的になってきたこのスタイルですが、何のために医薬分業が進められているのかの理解がされているとはいえません。
実際患者さんから話を聞いてみると、なぜ分業しているのかを理解されていない方が多く、そればかりか医薬分業という言葉を知らない方までいらっしゃいます。
厚生労働省のアナウンスの仕方にも随分と問題があり、一般向けに医薬分業についての説明をしているところがほとんどありません。何をしているのかが解り辛く、デメリットばかりが目に付きます。

<医薬分業のデメリット>
・病院や医院での診察の後、薬局に出向かなくてはならない。2度手間
・調剤基本料や情報提供料などの技術料の請求。患者が支払う金額が増える
・情報提供義務があるため必ず話をする。時間がかかる
・かかりつけの薬局に備蓄在庫がない事がある。その場合取り寄せに時間がかかる
・薬歴を付けるために医師に話しているであろう情報を再度聞かれる
 ( 薬歴:患者さんの体質や病歴、副作用歴、服薬に対する指導内容を書いたもの )


ですがデメリットばかりではなく、メリットもちゃんとあります。

<本来の目的、メリット>
・医師が診療に専念し、薬剤師が調剤する事。医師以外の客観的チェック
・処方箋を発行されるため、処方内容が明らかに。情報開示
・医師が病院の在庫に縛られることなく自由な選択が出来る。適切な薬剤の使用
・医師よりも薬剤に対しての詳しい説明が可能。
・病歴や併用薬について薬歴をつけることでの相互作用、重複投与チェック


患者自身、薬について全て把握出来ていない事があり、他の薬の服用を医師が知らない事も。分かりやすい例では、病院ごとで貰っているので胃薬だけで3種類…等など。

写真
▲すべて胃薬(写真はイメージです)

最近ニュース等では調剤過誤が目立ちます。ですがこれは情報開示が進んだ為だと思われます。
今までの病院の薬の出し方等で、果たして過誤がなかったのか?それは実際のところわかりません。詳しい説明がなかったため、患者自身が何を飲んでいたのかもわからないからです。

薬の専門家である薬剤師が客観的な目で医師の処方をチェック。
入力ミスや間違い等の矛盾点を指摘し、正しい薬が患者さんに渡る為のチェック機構としてある制度なんです。
医師も薬剤師も人間です。間違えることは、あってはならないことですが絶対ないなんて言い切れません。
ですがすこしでも間違いを減らすための医薬分業なのです。



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