●更新日 03/24●

働く人の憂鬱シリーズ 〜 アニメーターの憂鬱 〜


様々な業界で働く人がいます。ですが、その業界に身を置く者にしか解らない裏話も沢山あります。興味があっても、「実情はどうなんだろう?」という不安を持つ方々の質問にお応えするこのシリーズ。
今回は、テレビで大人気のアニメを作るアニメーターさんのお話です。



―――アニメーターの仕事内容について解説をお願いします
簡単に説明すると、アニメーションの絵を描く仕事。よくいうのが、パラパラ漫画をイメージすると分かり易いです。さらに大きく分けると、原画担当と動画担当がいます。前者は動作の基点になる絵を描き、後者はその基点と基点の間を、補完する絵を描きます。メインはこんな感じです。

―――この仕事をなさろうとしたきっかけは?
もともとゲームキャラの絵とか模写したりしてて、絵描きを意識したのは、中学の頃に自分の絵を友達に褒められたのが始めかな。それでその気になってしまって。そのときはまだアニメ作ろうとか思ってなかったんだけど、高校の時にあるアニメを観てグッと来て、そこで方向性が定まったという感じです。

―――この職業の魅力は?
私の場合、一日中絵を描いていられる事です。それが仕事ですから幸せです。
それと自分の描いた絵に色が入って世間で放送される事。ほんの一瞬の場合がほとんどですが快感です。自分の描いた絵に好きな声優さんが台詞を当てた日にはもう落涙ものですよ。

写真
▲下書きの様子

―――実際仕事をして内情はどんなものでしたか?
経済的に厳しいというのは、勤める前からある程度覚悟していたんですが、想像を遥かに凌駕していました。私の勤め先もそうですが出来高制のスタジオだと、悪夢のような給料の月が普通にあります。だから新人のほとんどは実家通いか、仕送りで生活していますね。生み出す物も実生活も、ある意味俗世離れした業界です(笑)。私も早朝のアルバイトと掛け持ちしていました。

―――アニメータを目指すなら知っておいた方が良い事は?
月並みだけど、まずは一般常識ですかね。アニメの事しか分からない新人がホントに多いです。まぁ抜群に上手い人ならそれでも平気ですけど……。
絵的な事ではクロッキー、スケッチですね。デッサンよりも重視するべきだと思います。(※注1)人物や目の前の景色なんかも、ササッと描ける能力を養っておきましょう。

―――笑い話とか、苦労話とかあったら教えて下さい
ほとんど毎日スケジュールに追われています。忙しい期間には、徹夜や連日泊り込みも当たり前、体力と精神力が不可欠ですね。笑い話としては、食べ物に掛けるお金がなかったので、カレーを大量に作り置きして食べる。コレを繰り返していたんですが、ふと気がついたら半年間毎日カレーだけ食べてたなんて事が(泣)

―――これから、アニメータになろうとしている人たちにアドバイスを
先ず、なり方ですが、スタジオへ作品を持ち込んで下さい。どこのスタジオも大抵年中募集しています。専門学校に通う方法もありますが、もし通う場合には騙される事を覚悟で。私も騙されたと思ってますから(笑)。だから学校を出ずに受けるのも全然ありです。
持ち込む作品は、受験先に規定がある場合は別ですが、落書きやスケッチでいいので、出来るだけ数多くの作品を持ち込みましょう。絵の上手さよりも、センスとか、将来性を見る場合が多いと思うので。でも、もちろん上手いに越した事はありません。
苦労話が多かった気もしますが、アニメの世界で夢を追いかけたいという人は、後先考えるのを止めて飛び込んで来て下さい。自分の絵が動いて喋るところを見れば、苦労なんて吹き飛びます。

(※注1)
クロッキー 短時間でする写生、速写
スケッチ  略図、写生画、下絵、素描
デッサン  単色の線や筆触によって物の形・明暗などを描いたもの




東京支部特派員・マルエ


探偵ファイルのトップへ戻る

インデックス