パレスチナの空の下
〜 第1部 最終話 〜


ある時、1人の少年は思った。「自分に出来る事は何か?自分が為すべき事は何か?」
少年は、思った。「何も出来ない。プロじゃないし、けど、見て来た事を伝える事なら出来る」……と。
このシリーズは、パレスチナ〜イラクに渡り、日本のTVが報じない事実を記す、とある少年…『安川』のドキュメントである。

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現代の日本では見る事が出来なくなった、”大きな子が小さな子の面倒を見る””子供が悪い事をしたら、大人が叱る”と言った事が普通に出来ているパレスチナ。

”日本は大切なものを忘れかけている”と、感じながらこの町を後にした。

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      ▲入植地の写真

パレスチナを象徴する出来事がこの日起こった。

城壁の中で夕食を終え、帰ろうとすると、開いているはずのダマスカス門が閉まり、大きな人だかりが出来ていた。自分を含めパレスチナ人が閉じ込められる形になってしまったのだ。

約1時間ほど待ち、どうしようと考えていると、1人のパレスチナ人が、「おまえは外国人だから」と言って、門のところへ腕を引っ張っていき、イスラエル兵に顔を見せ自分と幾人かを門の外に出してくれた。

門の外を見るとそこには門の中に家や商店を持つ、100人前後のパレスチナ人が人だかりを作ってイスラエル兵に抗議をしていた。この門は明確な理由なく閉められたものだったのだ。

持ち物検査もなくパスポートも調べられず、15分に一度ほど門を少し開け人を通す。そのような状態の中、ユダヤ人は全くの素通りだった。

自分はこの門が開くまで絶対にここを離れないことに決めた。

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   ▲現地の子供たち(撮影:安川)

暫くすると、パレスチナ人とイスラエル兵の間でいざこざが始まりはじめ、イスラエル兵は黒く、太いバトンでパレスチナ人を追いかけ、思い切り振り下ろし殴った。

殴られているパレスチナ人との間に幾度か割り込みそれを止めたが、治まる様子もなかった。

殴っているイスラエル兵は新兵でおそらく18歳程度、決して面白がって殴っているのではなく、怖いから自分の意志とは別に殴っていると、顔を見てわかった。

悲しい顔をして殴り、自分を壊す、そして殴られたパレスチナ人もまた怒り、恨みが募る。

これがパレスチナ問題の縮図、そしてイスラエルパレスチナだけに限らず、国民の声に関係なく国益、国益と叫ぶ上層部のやりたかった事なのか?

何が正義で悪なのか、せめて自分の思うまま中立的に問題を考え、出来る事を一生かけてやっていきたいと思う。


まだ僕の旅は始まったばかりだ。



( パレスチナ特派員:安川 責任編集:キム )


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