パレスチナの空の下
〜 第4話 〜


ある時、1人の少年は思った。「自分に出来る事は何か?自分が為すべき事は何か?」
少年は、思った。「何も出来ない。プロじゃないし、けど、見て来た事を伝える事なら出来る」……と。
このシリーズは、パレスチナ〜イラクに渡り、日本のTVが報じない事実を記す、とある少年…『安川』のドキュメントである。



へブロンと言う地区で8歳の女の子に入植地に住むユダヤ人の子供の写真をデジカメで見せると、
「何でこんなやつらを撮っているのか。お前はユダヤ人が好きなのか」
というような事をと言われ、困ってしまった。憎しみの濃さが感じ取れた。


子供に案内され、坂を上がって行くにつれ後ろをついて来る子供の数もドンドン多くなって来た。大きな子は、小さな子に、”こっちに来るな”と追い返すのだが、懲りずに何度もついて来て怒られていた。
坂の頂上付近に来ると広いコンクリートの広場が現れた。これは何と聞くとイスラエル軍がヘリポートとして使っていたようだと言った。
コンクリートには戦車のキャタピラの跡が刻まれ、壊されて原型のない車、PLOの事務所だったと思われる所は銃弾でボコボコ。室内も相当荒らされていた。

写真
▲これはイラクのバグダットで警備中のアメリカ兵です。
 車の窓にあるのは女の水着写真です。イスラムの国ではあり得ません。原理主義の人は激怒します。
 こんな銃で人の気持ちがつかめるはずありません。(撮影:安川)


少し下ると可愛らしい幼稚園のようなものがあり、建設中のようだったが中に入ると、作業員の人が冷たい水を持ってきてくれた。
子供にも水を勧めるがいらないと言って返してきた。飲みたくなかったわけではない。この子も喉が渇いているが、客人である私を気遣って、あなたが全部飲みなさいと行って、持っていた空のペットボトル満杯につめてくれた。
この子と同じ歳では勿論の事、自分なら今でも飲んでいたであろう。ほとんどの子が日本から持ってきたセンスなどを受け取らなかった。

日本では忘れ去られた心を持っている子供たちだった。

その後、この子が家に案内をしてくれた。家の中で親が内職をする中、冷たいジュースを持ってきてくれた。ここまでしてくれても何も受け取らない。自分は子供がジュースを置きに行ってる間に、センスを棚に飾っておいた。

この後、湧き水の場所に案内してもらい水を飲んだ。砂漠地帯では水が命である。しかし今、テロ予防といった名目で、イスラエル政府により、水源地を奪う形で分離壁が建設されている。しかもグリーンラインに大きく食い込んで・・・。

この後、この水のおかげで大きな腹痛&下血に見舞われるのだが、そんな事は知る由もなく、彼に沢山のお礼をいい別れた。

< 第1部最終話へ つづく >



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