働く人の憂鬱シリーズ
〜 理学療法士の憂鬱 〜


様々な業界で働く人がいます。ですが、その業界に身を置く者にしか解らない裏話も沢山あります。興味があっても、「実情はどうなんだろう?」という不安を持つ方々の質問にお応えするこのシリーズ。

今回は、事故後の訓練などを支える理学療法士さんにお話を聞いて参りました。では早速インタビュー開始です!



―――理学療法士とは?
一般的に知られているのが「リハビリの先生」です。病院ならリハビリテーション科に所属します。けがや病気によって発生した「生活上の問題」を治療・訓練していきます。
(1)骨折
例えば足の骨折であれば一定の時期まで体重がかけられなくなり、ギプスで固定していれば関節も動かせなくなります。となると普段通り使えない手や足の筋力はどんどん衰えていき(筋力低下)、動かせない関節の回りの筋や靱帯がかたくなり動かせなくなります(関節拘縮)。
リハビリでは、そのような制限のある状態でできる筋力訓練や拘縮の予防・改善や、医師の「体重の1/3かけてもよい」といった指示に従った歩行訓練(杖の練習)を行っていきます。
(2)脳血管障害
「脳卒中」というのは一般用語で、脳梗塞と脳出血に分類されます。代表的な症状が「片麻痺」です。動かす事が出来ない場合もありますが、一般的には共同運動(肘を曲げると手首や肩も曲がる)が多いです。
運動が少しでも思い通りに出来るような促通訓練や、起きあがったり歩いたりする動作訓練を行います。
(3)廃用症候群
寝たきり状態の患者さんに対して、筋力低下や関節拘縮の予防・改善を目的とした運動をベッド上で行います。施設によってその役割は異なる事がありますが、法律的には「医師が患者の症例に対し、リハビリが必要と判断された時に処方されるもの」と定義されています。

ちなみに「鍼灸師(はり・マッサージ師)」とは違い、理学療法士は独立して開業する事は出来ません。

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―――内情はどうですか?
給料は安いです。就職当初は夜勤手当などのある看護師の方が良い位ですから。
昔のリハビリはマッサージ師が行っていたという歴史があるせいか、一般的な認識はまだ「マッサージをする人」と思われています。

―――理学療法士を目指すなら知っておいた方が良い事は?
試験を受ける資格を得る方法は、専門学校・短大・大学の3種類あります。この免許は一度得てしまえば更新の必要が無りません。しかし、常に勉強して自分の技術知識を高める努力が一生必要になります。
仕事に関しては、「医者は患者の命を預かるが、リハビリは患者の人生を預かる」というものです。リハビリ次第で歩けるようになるか、一生車椅子なのか。担当した患者の事なら何でも知った上で導いていく立場であることを忘れてはいけません。

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――― 一般の人には秘密の事は?
病院にある電気刺激を用いる治療機器などは本来それほど大きくない機械にする事も出来るのですが、大きくて高価な機械という面構えが患者の満足心を満たすので・・・
法律上は「医師の方針に従う」となっているけど、医者1人が担当している患者が莫大な数になるため、ほとんどリハビリで判断している事が多いです。

―――その他、言いたい事
患者の協力が無いと何も出来ないのが理学療法士です。人と接する事が出来ないと、理学療法士にはなれません。
「リハビリ医学」というものを分かっていない医者も多いです。
「慰安マッサージ」が目的になってる患者が多いせいで、骨折のように「リハビリが必要な」患者を診る時間が減ってしまうのが腹立たしいです。



( 探偵ファイル・キム )

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