〜 ハーネスゴトの被害 〜 前回、「パチンコ・パチスロ業界の黒い話2」にて、ゴト(イカサマ行為)について取り上げましたが、その中でも紹介したハーネスゴト(台の中に違法なチップを搭載したケーブルを仕込むイカサマ)の被害にあわれたというパチンコ店のマネージャーさんにお話を聞くことができました。 ゴトはいつ、どんな手口で行なわれているのでしょうか? それでは、お話を聞いてみましょう・・・・・ ▲写真はイメージ画像です ・被害に遭われた機種は何でしょうか? 潟~ズホ製のパチスロ、「ゴールドXR」です。 ▲パチスロ「ゴールドXR」。普通に遊戯していたら、1日で十数万円負けることもあれば、一度に数十万勝つこともあるという、非常にハイリスクハイリターンな機種。 ・被害額は? コインの枚数でいうと約45,000枚、金額にすると90万円ぐらいです。 ・ハーネスが付けられた日の状況は? ハーネスはおそらく前日の午前中につけられたと思われます。 該当台のあった場所はお店の入り口付近で、一番角にあった台だったのですが、ちょうどスタッフの昼休憩をまわしているときで、手薄な時間帯を狙われたのだと思います。 店の規模的に、スタッフの数を最小人数しか配置していなかったのも、狙われた原因だと思います。 ・ゴトが行なわれている際、何か異常を感じたりしましたか? その日は、私が休みの日だったので、出掛けていたのですが、お昼に当店の主任から、「該当台の出方が異常だ」と電話で報告を受けました。 すぐに駆けつける事が出来ず、また、台の特性からそのような出方もありえなくはないので、主任にはとりあえず様子をみるように指示しました。 ・ハーネスにはいつ気付きましたか? 閉店後にお店に駆けつけて、該当台のハーネスをくまなくチェックした所、ハーネスを触ると異物を感じ、すぐに分かりました。 発見した時は、愕然としましたね。 ▲今回見つかった不正ハーネス。一見何の問題もないように見えるが、中を割いてみると違法なロムが仕込まれている。 ・犯人について、特徴・印象等はわかっていますか? はっきりとした犯人像は残念ながら把握できませんでした。 ただ、主任からの報告だと、打っていた者(打ち子)は、20代の今風の若者スロッターと、30代の普通の人だったそうです。 一人目の20代男性が昼過ぎに 止めて交換し、すぐに次の30代の打ち子が打ち始めたそうです。 ・その後、警察に被害届けを出すなどの対応はどうしましたか? こういったゴト行為に関しては立証が難しいです。 実際、ハーネスを仕掛けた連中と打ち子は全く別の人物ですし、仮に、打ち子をとっつかまえて警察に突き出したところで、本人に「たまたま出ただけだ」と言い張られたら、証明できないですからね。 そういった事例は、この業界、多々あります。 もし証明することが出来たとしても、正規のハーネスを盗んだという、「窃盗罪」にしかなりません。 正直、被害額に対しては微罪ですね。 そういったこともあり、警察へは届けていません。 ほとんどのお店がそういった対応を取っていると思います。 ・今回以外にもゴトの被害は遭ったことはありましたか? 以前に勤務していたお店ではよくありましたね。 去年はパチスロの体感器がすごく流行っていて、5人くらい警察に突き出してやりました。1日に2人捕まえた事もありますよ。 ・ゴトについてどう考えていますか? ゴトに関しては、業界全体で非常に頭の痛い問題です。メーカーに対しても、ゴトが出来る機械を販売するなと言いたいのですが、ゴトは我々の想像以上に進化と工夫をこらして来ますので、イタチごっこです。 去年施行されたピッキング防止法のような法律をパチンコ業界にも作って欲しいですね。 たとえば、ゴトが可能な道具を持っているだけで犯罪になったり、ハーネスやロム交換をした場合、単なる窃盗や不法侵入だけでなく、もう一歩踏み込んだ刑罰が与えられるようにするべきだと思います。 ▲パチンコ台の裏側。メーカーも、部品をプラスチックのケースで覆うなど、ゴト対策をしているのですが・・・ ゴトで抜かれたお金が何処に行くかと言えば、暴力団の資金源になっていることもありますから、社会的にも良くないです。 警察もその事に関しては、やっと問題視してくれるようになった為、去年の体感器ゴトに対する対応は、地域差もありましたが、迅速かつ真剣で、とても良い対応をして頂きました。 ゴトに関しては、先ほど述べたように、現在は、正規のハーネスを盗んだ窃盗や、不正な機器を持ち込んだ不法侵入といった一般の刑法をむりやり適応させているので、ゴト師は捕まっても屁でもないと思っているでしょう。 それがゴトの温床になっている原因のひとつでもあると私は思います。 ・何か言いたい事はありますか? 今回の被害額に関しては、結局、お客様の負担になってしまいます。 当店の場合は毎月、決められた利益をあげている訳ですから、抜かれた額を利益から差し引くわけにはいかないので、当然、出玉を抑えなければいけません。 このような事が続くと、負けるお客様が増えるわけですから、出ないお店にはお客様は来ません。 すると、お店も営業が苦しくなり、悪循環に陥る事になります。 今回の件に関しては、私自身の油断が招いた結果の為、会社、そして何よりも自店のお客様に迷惑を掛けてしまったことに対し、大変申し訳ないという気持ちで一杯です。 ゴトをされてしまう事は、お店にとって大変恥ずかしいことです。 そのため、被害にあった事を隠してしまうお店も結構あります。 しかし、こういった事が行なわれている現状、そして、この業界が抱えている問題点を皆さんに知って頂きたいです。 「ゴト師」と聞くと、なんだか胡散臭い人を想像するかもしれませんが、今回のお話を聞いてもわかるように、見た目は案外普通の人だったりします。 そして、その被害もなかなか表に出てくることはありません。 一体どれぐらいゴトが行なわれていて、どれほどの被害額になっているのでしょうか? イカサマをしているのはゴト師に限ったことではありません。 パチンコ店の中には、不正を行い、客からお金を巻き上げる悪徳ホールもあります。 次回は客の視点からは決して見ることのできない、このあたりの闇に迫ってみようと思います。 ( 探偵ファイル ) |