パチンコ・パチスロ業界の黒い話2
〜 「ゴト」という行為 〜


前記事:パチンコ・パチスロ業界の黒い話〜「打ち子」という存在〜

“ゴト”
パチンコ・パチスロでのイカサマのこと。

パチスロ機のメーカーの一つ、NETのサイトでは、パチンコ店向けにこのような告知ポップの配布をしています。

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  ▲クリックで拡大します

この中で、「遊戯の補助を目的とした器具」の例として以下のようなものが挙げられています。

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体感機、電波発信機、低周波治療機、磁石、セル、ピアノ線、ロム・ハーネス、その他凶器及び工具類

知らない人が見たら、どんな物か、どのように使うのか、わからないようなものですが、今回はこういったゴト行為に使われる器具の紹介をしてみましょう。

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   ▲写真はイメージ画像です

まずはローテクなものから。

・磁石
パチンコ台の盤面の上から、玉を操作するものです。
このゴトが行なわれ始めた頃は、それほど磁力が強くなくてもよかったのですが、盤面のガラスを2枚重ねにするなど対策が進むと、磁力の強さもどんどんパワーアップ。“手で持っていたらイスの金具に吸い付き、指を挟んで骨折した”“鞄の中に入れておいても色んな物にくっ付いて取れなくなった”などといった笑い話のようなことが実際にあったそうです。
現在は磁力感知機がありますからほとんど見られません。

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▲文房具店では手に入らないような工業用のものが使われていたのだとか(写真はイメージ画像です)


・セル、ピアノ線
台の隙間から中に突っ込んで、玉やコインが通ったことを感知するセンサーを反応させるのです。
これも現在は対策が進み、やりにくくはなっていますが、他のゴトと併用されるなどして行なわれているそうです。

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▲ペットボトルを切り取って使ったりも・・・(写真はイメージ画像です)

続いては電気的・電子的なものを使ったハイテクなものとして。

・電波発信機
パチンコ・パチスロは電気で動く機械です。その機械の最大の敵は、やはり電気。
電波発信機は、その名の通り電波を出して台を誤作動させる機械です。
対策として電波探知機がありますが、発信機の方も進化を続けており、いたちごっことなっています。
パチンコ・パチスロの台以外にも、両替機やコイン(玉)計量機を狙ったものもありましたが、リスクが高いためあまり一般的ではありません。


・体感機、低周波治療機
パチンコの場合はスタートチャッカーに玉が入った瞬間に、パチスロの場合はレバーを叩いた瞬間に、次に何が揃うのかの抽選が行なわれます。
その抽選の結果は、抽選が行なわれたタイミングによって決定し、そのタイミングは一定の周期で繰り返されています。
よって、その周期がわかってしまえば、狙って当選させることができるのです。

その周期を知るための道具が、この体感機。
体感機のランプが光るなどして、その抽選の周期を知らせます。

パチスロの場合、その周期は非常に短く目で見て狙うことが難しいため、低周波治療機と組み合わせて、腕の筋肉を電気で痙攣させレバーを叩くものもあります。
他にも、ソレノイド(電磁石を使い中心部のピンが前後に動く仕掛け)などを使われているようです。

この体感機については、台を直接いじるものではないから、違法ではないのでは?といった意見もありますが、現在の所、“体感機を使って玉を出すと窃盗”“店に持ち込むと不法侵入”にあたるという判例が出ています。

しかし、実際に効果のあることや、手に入りやすいこと、そしてバレにくいことから、使用する人間は増えています

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▲ゴトのアイデアは尽きることがありません(写真はイメージ画像です)


・裏ロム,変造ハーネス
台の中に入っている、抽選方法や抽選確率、出玉の管理などといったデータの収められたロムを入れ替えて、大当たりを出しやすくする、というものです。また、変造ハーネスは、台の中にある配線の束(ハーネス)と入れ替えて使われる、データをいじるチップを仕込んだケーブルです。

どうやってこれを取り付けるのかというと、以前は夜中に忍び込んだり、業者を装って店を訪れたりしていたのですが、最近はセキュリティ管理が厳しく、こういった手口は少なくなっています。それでも、台の入れ替えをする時や、台を輸送する時などを狙って、まだ行なわれているという話もあります。

この手口は、裏ロムを開発する人・取り付ける人・店で玉を出す人などと分業で行なわれることが大半で、多くの人が関わっています。

参考リンク:パチンコ裏ロム密造 暴力団の資金源に(産経新聞)

また、店側としても、出玉を調節できるということは魅力的です。
出る時と出ない時の波の激しい台を置いて射幸心を煽ったり、全く出ない台を置いて客から搾り取ったりと、店がこういった裏モノを設置することもあります
他にも、前述したような組織と店員がつるむことも・・・。
その辺りに関してはまた機会があれば。

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▲案外出回っている裏ロム(写真はイメージ画像です)


ゴト師は、今回紹介した以外にも様々な手口を駆使してお金を稼いでいます。
しかし、パチンコ店も商売ですから、儲けを出しています。
では、どこにしわ寄せがいっているのかというと、それは何も知らない一般客です。
何も知らずに打っていたら、ずっと負け組のままですよ。



( 探偵ファイル・千明 )


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