日本人もアフリカ人
〜 原人たちは進化せずに滅びていた 〜


歴史(世界史)の教科書を開くとまず最初に登場する人類史。「ホモサピエンス」「北京原人」「三ケ日原人」など、生徒たちからは「こんなところ試験出るわけない」と高を括られがちな領域であるがゆえ、あまり勉強をしなかったという人も多いはず。
そこで問題。
原始時代、日本人の祖先はどこにいたのか?
「我々の祖先は北京原人」
先生にそう教えてもらった人は中国と考えるだろう。しかし先生のその言葉は本当に正しかったのだろうか。
東京・国立科学博物館「新発見ジャワ原人化石―われわれの祖先を探る―」がその謎に答えてくれる。

まず、われわれの祖先の起源については2つの説があることを紹介。(展示資料より引用)

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多地域進化説のイメージ→各地域の原人が進化してそれぞれの地域の現代人になった。

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アフリカ単一起源説のイメージ→アフリカで生まれた新人類が各地に分散し、現地の原人に取って代わった。(つまり、ネアンデルタール人、北京原人、ジャワ原人は新人類に進化することなく絶滅した)

人類学者の意見は真っ二つ。あなたはどちらを信じるだろうか。「我々の祖先=北京原人」が本当なら「多地域進化説」が信用できるし、先生からそう教わった記憶を持つ人もいるだろう。しかし2001年10月のジャワ原人化石発掘とその後の研究により、対極の「アフリカ単一起源説」が有力となったのだ。

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▲国立科学博物館には発掘されたジャワ原人(サンブンマチャン4号)のレプリカが3方向から展示。

なぜ2001年のジャワ原人化石の発掘が「アフリカ単一起源説」を有力とさせるのか。それは「ジャワ原人がオーストラリアに渡ってオーストラリア先住民に進化した」という、多地域進化説にとって最も重要な説をくつがえしたためである。

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▲ジャワ原人は眉の骨格(紫色の部分)が次第に平らになっていくことが分かったが……、

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▲オーストラリア人先住民はそれを受け継いでいない。(展示パンフレットより)

この「アフリカ単一起源説」はまだ研究中であるとは言え、「強いものが生き残る」という自然の競争原理からも「どこかで発生した新人類が世界に広がり現地の原人たちを滅ぼした」と考える方が、理に叶っているような気がする。となれば我々日本人の祖先はアフリカ人。ヨーロッパ人やオーストラリア先住民の祖先とも、新人類の段階で共通であったというわけだ。

この他にも国立科学博物館では、ジャワ原人化石に関する2001年から2003年の研究成果を中心に資料、映像が公開されている(内容は難しめ)。遠足の子供たちもたくさん来ていたが、彼らは専ら体験コーナー(チンパンジー、原人、現代人の頭蓋骨模型を触る)に夢中。「お前は北京原人だ!」と言われていた生徒もいたが、どこの学校にも必ず1人は居るそういう人たちのルーツは「アフリカ単一起源説」だけでは解明されなかった。

しかしこの「単一起源説」。もし今後どこかの地域で更なる新人類が発生したなら、我々日本人、また他の民族の子孫は滅ぼされることにもなる。SFの世界ではよくありそうな話だが、現実の世界で考えると少し怖い……。



( 探偵ファイル・カグウェル )


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