所変わればマナーも変わる
〜 エスカレーターの乗り方の違い 〜


読者の方からこのような調査依頼のメールが来ました。

“エスカレーターに乗る時、東京では左側に並び右側を開けるけど、大阪では逆に右側に並び左側を開ける”、という話は有名ですが、その境界線はどこにあるのでしょうか?

というわけで、サクっと調べてみました。

まずは、東京と大阪の中間ということで、名古屋について調べてみた所、一部の駅で「左開け右並び」を徹底しているようですが、愛知県全体で見ると東京と同じ「右開け左並び」のようです。
というわけで、名古屋から西へどんどん進んで行ってみた所、どこからというのははっきりとわかりませんが、大体京都のあたりでは大阪の「左開け右並び」になりました。かなり大阪よりの方に境界線があるようですね。

というわけで、「境界線はどこにあるのか?」という依頼はこれでもう達成したのですが、せっかくですからもうちょっと突っ込んで調査してみましょう。


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▲関西人には当たり前、でも関東人には違和感?

どうやら大阪を中心とした「左開け右並び」圏は結構勢力範囲が狭いらしく、東には京都・奈良の途中あたりまで、西には兵庫をすぎたあたりであいまいになってきて、九州のあたりまで行くと「右開け左並び」の方が主流になってくるようです。結構範囲が狭いですね。

では、東京・大阪周辺以外ではどのようになっているのかというと、大都市では基本的に東京と同じ「右開け左並び」のようですが、特にどちらと決まっているわけでもなく「前の人に合わせて並ぶ」「特に並ばないで、急いでいる人は左右を縫って通る」という所が多いようです。


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▲日本ではどちらかというと左並びが多い模様。(写真はイメージ画像です)

では、「左開け右並び」は大阪近辺だけなのかというと、不思議なことに宮城県でも見られるようです。JRでは左開け・地下鉄では右開けと分かれている、という話もありますが、どちらかというと「左開け右並び」の方が主流のようです。どうしてこんなふうに飛び地しているのか、という理由はわかりませんでしたが、とても面白いですね。

東京と大阪でエスカレーターの並び方が違っている起源については、「東京は侍が刀を抜きやすいように、大阪は懐からソロバンを取り出しやすいように」なんていう説もありますが、大阪の「左開け右並び」は1970年に大阪万博が行われていた時、阪急電鉄の梅田駅で『お急ぎの方の為に、左側をお開けください』というアナウンスがあったから、という説が有力のようです。どうして右に並ぶのかというと、“右利きのひとが多いから、右手で手すりを持つため”なのだとか。
それに対して、東京では特に起源が無く、自然に左並びになったようです。その理由としては、“心臓のある左側を守るための本能的な行動”という意見がありますが、やはりはっきりとはわかっていないようです。


ところで、“大阪の右並びは世界標準”という話がありますが、これは事実で、欧米諸国では「左開け右並び」の国が大半なのだとか。ちゃんと注意書きがあって徹底している国も多いようです。しかし、観光客などの外国人が多い所では結構いい加減だったりするようです。
もちろん例外の国もあって、オーストラリアでは東京と同じく「右開け左並び」なのだとか。


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▲外国人の多い所ではかなりあいまい。(写真はイメージ画像です)

例外は大阪や宮城にだってあります。それは新幹線のホームのエスカレーター。利用するのは東京の人が多いせいか、自然と左並びになってしまうようです。
“郷に入っては郷に従え”ということわざがありますが、旅先でのマナーはキチンとしたいですね。



( 探偵ファイル・千明 )


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