クローン携帯は存在するのか?
〜 作られる前に予防 〜


最近、マスコミで取り上げられている“クローン携帯”。携帯電話の中の情報が不正にコピーされて、同じ電話番号を持つ携帯が複数存在するというものです。正規の契約者に覚えの無い多額の料金が請求されている、と問題になっています。
しかし、携帯電話会社はその存在を否定していますし、これだけ大きく取り上げられているのにも関わらず、実際に使われている証拠や、使用して逮捕されたという人はまだ出ていません。
本当にクローン携帯は存在するのでしょうか?


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▲同じ電話番号の電話が2台?!(写真はイメージ画像です)


同じ電話番号を持つ携帯を作ることは簡単です。番号を変えずに機種交換をすれば、新しい携帯と機種交換前のものとで2台同じ番号の携帯ができます。しかし、これだと以前の携帯側では通話することができません。それはIDが違うからです。IDは同じ機種の携帯でも1台1台違っており、電話会社との通信の際には電話番号と共にIDもやりとりして、チェックされているのです。

では、同じ電話番号とIDを持つ携帯を作ることができるのか、研究者の方にお話を聞いてみた所、「不可能では無いかもしれないが、非常に難しい」のだそうです。
一昔前の携帯電話はIDのセキュリティが甘く、海外ではクローン携帯が一時社会問題になったり、日本でもごく僅かに存在していたという話もあったりしますが、現在は高度な暗号化をかけるなど、複数のセキュリティ対策がなされているそうです。

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▲クローン携帯作成ソフトを販売しているというサイトもありますが・・・

もしIDがコピーできたとしても、通話していない状態でも電源が入っていれば、定期的に電波の送受信を行なっているため、もしクローン携帯が存在していたら、電話会社はすぐに気付くことができ、回線を止められてしまいます。そのためクローン携帯が使用できるのは、クローン元の携帯の電源が入っていない時など、条件が非常に限られます。

このように、ただ料金を請求されないようにするなら“とばし電話”(もちろんこれも違法ですが)を使えばいいのに、作るのが難しく使用条件の厳しいクローン携帯を使う必要があるのかというと、疑問があります。


では、クローン携帯ではないとすると、「覚えの無い額が請求された」という人がいるのはどうしてなのでしょうか?
クローン携帯の被害か?と言われているのはパケット通信に限られています。通話料金は通話時間に比例して課金されるのに対し、パケット料金は目に見えないデータ量に応じて課金されるため、どれぐらいの料金になっているか、使っていてわかりづらいです。また、最近の携帯は曲や動画をやりとりすることができるのでデータ量が増えています。こういったことから気付かないうちに使いすぎてしまっていた、というケースが多いようです。

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▲動画メールなどでパケット通信のデータ量は増加し続けている。(写真はイメージ画像です)

それ以外にも、携帯電話会社の課金ミスという可能性もあります。
(参考リンク)
FOMA交換機ソフトの不具合で課金ミス
ボーダフォン、携帯料金400万円を過剰課金
auからのお知らせ
先程も述べたように、パケット通信料は通話料に比べてわかりづらいですから、まだ明るみに出ていないだけで誤課金していた、ということがあるかもしれません。

このように、身に覚えのない請求金額は、実は利用者の勘違いや何らかのミスによるものがほとんどではないか?と言われています。


しかし、作るのが難しいといっても、ハッカーと呼ばれる人達は、システムを作った人の予想や一般的な常識の上を行き、抜け穴を突いてくるものですから、クローン携帯は絶対存在しないとは言い切れません。

もしおかしいと感じたら、手元の携帯の電源を切り、他の電話から電源を切っている電話にかけてみましょう。本来なら「お掛けになった電話番号は電波の届かない〜」というメッセージが流れるはずですが、クローン帯が存在していたら呼び出し音が鳴って、チェックができるかもしれません。もちろん、料金の明細や通話記録などを調べてみることも重要です。

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▲明細書はちゃんとチェックしましょう。(写真はイメージ画像です)

また、クローン携帯を作らせないために、

携帯電話はかならず持ち歩く
僅かな時間でも目を離していると、携帯の中のデータを読み取られてしまうかもしれません。
購入する時はちゃんとした店で
携帯電話販売業者がクローン携帯用にデータを取りクローンを製作販売する可能性もあります。

といった対策が考えられます。



“火のない所には煙は立たない”といいますが、この火は一体どこにあるのでしょうか?マスコミが海外であったニュースを引っ張ってきたのか、それとも本当に日本でもクローン携帯が存在するのか・・・。
何にしても、用心しておくことにこしたことはありません。



( 探偵ファイル・千明 )


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