働く人の憂鬱シリーズ
〜 キャバクラ嬢の憂鬱 〜


様々な業界で働く人がいます。ですが、その業界に身を置く者にしか解らない裏話も沢山あります。興味があっても、「実情はどうなんだろう?」という不安を持つ方々の質問にお応えするこのシリーズ。
今回は、大人の社交場であり、夜の街の華『キャバクラ』で働くお姉さんにお話を伺って参りました。それではインタビュー開始です!



―――具体的にはどんな仕事をなさっているのですか?
Qさん:接客中はお客様とお食事して出勤(いわゆる同伴ですね)、水割り作り、カラオケのあるお店ならデュエットやリクエストに合わせて歌う、お話の相手などです。それらの中で、キープボトルやドリンクを出させるのがメインですが(笑)。出勤の前や仕事の後はメールや電話で営業します。
Rさん:御客様お一人につき、ドレスを着た女の子が隣に座って接客をします。主な仕事内容はおしぼりを渡したり、お飲み物を作ったり、灰皿の交換、そして最も大切な御客様とのお話を、盛り上げ笑わせながら相手の方に楽しんでいただく等、接客業の基本的な事ばかりだと思います。

―――この仕事をなさろうとしたきっかけは?
Qさん:私が最初に働いたお店では、ビルの2階でキャバクラ、3階でカラオケBOXを営業していて、最初はカラオケのスタッフとしてバイトに行きました。ちょうど忙しい時期で、女の子が足りなくなった時に店長に泣き付かれ、臨時でホステスをした所、お客様ウケが良かったのか翌週からキャバクラの方にシフトが組まれていました(^^;
Rさん:生活の為です。今のキャバにくる前に、スナックで少し働いていたので、水商売に抵抗がなかったのも事実ですが、実際女の一人暮らしには水商売が一番楽なんです・・・。

―――このご職業の魅力は?
Qさん:一番はやっぱり、安いと言っても昼のバイトよりは断然稼げる事です。ちゃんとしたお店に行けばコンビニで8時間働いた分のお給料が、初心者の女の子でも3時間でかせげます。
後は、色々な年代、職業の方と知り合える事。
Rさん:ごく普通に生活していては絶対に知り合えない方々と、お知り合いになれる事ですね。18〜20代で普通に暮らしていれば、接点など全くない方達と出会えるのが一番の魅力かと・・・。
後、ある意味女を磨けます(笑)男の人を騙すテクニックや、その気にさせるテクニックなど(笑)


写真


―――実際仕事をしてみて、内情はどんなものでしたか?(賃金・給料の事など)
Qさん:私がいたのは個人経営の弱小キャバクラだったので普通のバイトと殆どかわりせんでした。
お店にもよりますが、私のいた所では例え時給が2500円だったとしても、お客様に付いていない待機中は時給が1000円になり、待機と接客中の境目が店長の判断によるものだったので、お給料を貰った時に唖然としました。神戸のお店では、入店したての初心者でバイトが2000円前後、レギュラーが2500円前後くらいが相場です。
殆どのお店では所得税としてお給料を10%引かれます。あと、制服があったりドレス貸し出しのお店は、月々に衣装のレンタル代を引かれたり、無料レンタルと書いてあってもクリーニング代を引かれたりします。
Rさん:内情は周りが女の子だらけなんで、女の子同士の悩みや彼氏の愚痴とか気軽に話せるんでかなり楽ですね!でも、さすが女の園なだけあって、素敵にネチッコイ部分もあったりします・・・。給料は先程も言った通り、稼ごうと思えばいっくらでも稼げるので月30万以上とか余裕で貰っている子などザラにいます。各女の子の給料にバラつきは勿論ありますが、ポイントランキングで中の上にいるあたしでも月20万以上は貰えていたりします。
最初は大抵どこも2000円くらいからのスタートなんですが、経験や引き抜き等で多少考慮してくれるそうです。そこから指名を取ったり同伴をする事でポイントを稼ぎ、それによって自分の時給が決まります。

―――キャバクラ嬢を目指すなら知っておいた方が良い事は?
Qさん:まず、個人経営の弱小店には行かない方がいいです。お給料関係のトラブルがとにかく多い。大きな会社の系列店の方がまだマシです。
あと、会話の引き出しを沢山用意しておく事。色々なお客様がいらっしゃるので、それに合わせてどんな話題にでも付いて行けて、盛り上げられるようにテレビや雑誌はこまめにチェックしておいた方がいいです。
あと、できるだけ飲める事(笑)ボトルでもドリンクでも、沢山空ければそれが成績になります。お客様のお財布の中身を考えながら、話の流れやノリで機嫌を損ねないように出させられるよう、また、自分も潰れないように。
Rさん:どの職場でもそうかと思いますが、人当たりがイイ方が断然お得です。入店したてで女の子同士の横の繋がりが薄くても、キチンと挨拶をしたり女の子同士の会話にちょっとした笑顔で返していると、受ける印象がやはりかなり違うモノなので、仕事の時でも凄く話し掛けやすくなります。
後、キャバクラは色気だけじゃ御客様が続きません。もって1ヶ月です。キャバクラは1に色、2にノリ、3にキャラが大切ですから。あ、メールや電話をするマメさも結構大切かも・・・。

―――やはり、セクハラなどは多いのでしょうか?そちらの事情を
Qさん:なぜか年配の方になるとセクキャバとキャバクラの違いが分からずに、いきなりエリ元から手をつっこんできたりする方がいらっしゃいます。この手の仕事をしていれば、ほぼ毎日、服の上からなら胸もお尻も全身触られます。余りにも度が過ぎれば「そう言うお店じゃないんで〜」と断ったり、ボーイに来てもらったりもしますが、大抵は「ヤダ〜Hなんだからぁ♪」てな感じで軽く流して、相手の手を握って触らせないようにします。
Rさん:多いです・・・御客様からが多いです。特に30代後半〜40代の方が触り過ぎってぐらい触ってくるのですが、キャバクラはセクキャバとは違うって事を解らないぐらい頭が弱いのか、解りつつも触ってくるのか・・・多分後者でしょうけど。
お尻や腰に手を回して来るのは日常茶飯事で、他に胸を触ってきたりスカートを捲られる事も多いです。それ以上に酷いのになると、しっかりと閉じているにも関わらず股の間に手を入れてくる人や、何を思ってか脇の下の匂いを嗅ぐという、確実に入るお店を間違えている変態様もいらっしゃりやがります。


写真


―――結構行われているけど、一般の人には内緒(秘密)の事ってありますか?
Qさん:やっぱりボッタクリでしょうか…。前にいたお店では、キャッチの男の子が酔っ払ってもう前後不覚の40代くらいの方を無理やり引っ張ってきて、女の子を全員指名扱いで席に付け(総勢8名・指名料は1人2,000円)、勝手にドンペリを降ろし、出前で特上寿司を人数分取り…トータル20万ほどでカードを切らせていました。そのお客様は泥酔していたため何を聞かれても「うん…うん」と頷くしかできない状態でした。閉店時間になってから、ボーイの男の子がどこかに連れて行っていましたが、その後どうなったか分かりません。
Rさん:御客様とお店の女の子が付き合ったとか結婚したっていう話は結構よく聞きます。最初はイチ御客様としてしか見ていなかったのが、気がつけば好きになっていた・・・とか、お店の女の子から告って付き合い出した等、普通に耳に入ってきます。

―――「この仕事をしていて良かった」と感じた時のお話を。
Qさん:お客様に「君のこう言う所が好きだよ」とか「楽しいよ」とか言われた時が嬉しいです。やっぱりお客様は下心半分、ウサ晴らし半分で来てらっしゃるので、ウサの部分だけでも解消できてるんだったら、やってて良かったと思います。
Rさん:やっぱり自分がついた御客様からメールや電話で、感謝の言葉を頂けた時です。それは自分の接客態度に満足して下さったという事と、自分が認められたんだと感じる事が出来るかなり嬉しい言葉ですから。
他に支払の時、結構な金額なのに「安いなぁっ」と、おっしゃって下さった時も、「あたしはこの金額以上の接客が出来たんだ」と思えて、この御客様につけて良かったなぁと思いますね。

―――笑い話とか、苦労話とか有ったら教えて下さい。
Qさん:その当時働いていたお店は、同伴デーに同伴ができないと罰金3万だったんです。それで、お客さんに頼んで同伴してもらいました。最初は羽振りが良さげな感じだったのですが、延長から酔いが酷くなって、急に怒り出し、お金を払わないまま店を出て行こうとされたので、慌ててボーイと引き止めに行きました。
そしたら「お前らなんかどうせ金なんだろうが!」とおサイフを私の顔に叩き付け、腰を抜かして喚きだしたので、取りあえず事務所に連れて行かれてしまいました。ちなみに支払いはおサイフの中身では足りず、とうとう警察沙汰になって…。
私はお財布が目に当たったせいで左目の血管が切れて充血。その後はもうお店にも出れないので帰らされました。私のお客様の不始末という事で、罰金こそとられなかったものの同伴手当ては無し。目の方も医者の診断書を渡したのに治療費は1銭も出ませんでした。
Rさん:一回二回きただけで、素で結婚を申しこまれた事があります(笑)。
「君と居ると落ちつける」とか言われて、真剣に眼を見ながら結婚してくれっと店内で言われた時は、思わず頭大丈夫か?と聞きたくなりました。愛想笑いしてましたけど、目が笑えません。居心地のイイ空間や、優しさを時間単位で売るのがあたし達の仕事ですが、一回二回来ただけでついてる女の子のどこまでを解る事ができるんでしょうか・・・。
苦労話と言えば、女の子同士のイザコザですね!人によって合う合わないが少なからずあってしまうは仕方ない事ですけど、お互い嫌っている女の子が一緒の席につくなんて事になったら・・・そこはもう極寒地です。あげく、よりにもよってそれを知っている子がそこの席についたら、それはどぅ見ても生贄としか見えません。御客様にも申し訳ないですし、せめて仕事中はケジメをつけて接客して欲しいですね・・・。

―――その他、言いたい事があったら是非
Qさん:私達キャバクラ嬢がお客様に対して愛想が良いのは「お客様」だからです。お店あってのお付き合いなのに店外デートなんかしたくありません。
あと、キャバ嬢はすぐにヤラせるとか思ってる方も多いと思いますが、自分の好みでもない男性と寝ようなんて思いません。どんなにブサイクだろうが性格が悪かろうが笑顔でチヤホヤしてるのは「お客様」だからであり、言葉はすべてリップサービスだって事に、まさか気づいて無いなんて事はないですよね?
Rさん:気に入った女の子が何をしているのか気になるのは分かりますが、一時間ごとに電話なんざせんで下さい。出たくないです、むしろ出れません恐過ぎて(笑)。前に一度あたしの携帯の着歴が、一人のお客さんの名前で埋め尽くされた時は、さすがに病みかけました。
それと、店内で口説いてもほぼ無理ですよ・・・そんな御客様は山ほど居ますから。顔で笑って心で貶されなじられる事間違いないです。ご自分のポイントを上げたいのなら、しばらくの間キレイなお酒の呑み方をしてみて下さい。それだけで女の子からの好感度は間違いなくアップします。そこからどうもっていくかは、御客様の心意気次第ですが。



白熱したトークありがとうございました。
インタビューした日は全く別だったのですが、お2人とも、「セクキャバと一緒にするな!」と言うのは同じでした。それだけ鬱憤を溜めているのですね…。
これからも接客に、営業に頑張って下さい!



( 探偵ファイル・キム )

探偵ファイルのトップへ戻る

インデックス