〜 防止策は万全だったのか? 〜 12月18日午後0時半頃、京都府の宇治市立宇治小学校に男が乱入、一年生二人を持っていた包丁で切りつける、という事件が発生。 幸い被害者は二人とも軽傷、犯人である近所に住む無職の男(45)も教員によってすぐさま取り押さえられた。 この男は精神科に二十二回入院した事があり、警察の取り調べにも「火星から来た」など意味不明な供述を繰り返しているらしい。 ここまでは各種メディアで散々取り上げられているので、ご存知の方も多いだろう。 「宅間守」という名が未だ記憶に新しい池田小乱入殺傷事件や、『てるくはのる』という謎めいた言葉と、容疑者の投身自殺が印象深い日野小乱入殺人事件など、過去に起こった事まで連想されてしまうこの事件。 ニュース等では、「警備上問題があったのでは?」「過去の事件の教訓が活かされていない」という専門家達の指摘も有ると聞く。 では実際、どのような防止策が取られていたのだろうか? 到着したのは午前十一時過ぎ。熱冷めやらぬ報道陣が、正門前に大勢集まっていた。 報道通り、正門には人が通ったり近付いたりすると作動するアラームが設置されていて、うろうろする報道陣を感知しているのか常に鳴り響いていた。職員室にも連動して鳴るアラームがあるらしい。 上記映像、校舎の二階部分が事件現場の教室。人の気配はなかった。 正門を捉えるように設置された監視カメラ。高さ的にかなり広い範囲を撮影しているようだ。 西門側は報道陣ゼロだった。校舎が写り辛いので、映像的に寂しいからだろう。 見え辛いが、赤丸部分に監視カメラがあった。こちらも撮影範囲は広そうだ。 上記の監視カメラを確認して思ったのは、存在感が無さ過ぎる。 不審者の侵入を防止するためには、「監視カメラ作動中」とでも大きく貼り紙をした方がよいのではないだろうか。 「侵入されましたけど、カメラがあるから安心です」とは誰も思わないだろう。 学校の敷地を囲む壁やフェンスの至る所に張ってあった「警備巡回中」の板。 その割に、警備員らしき人物の姿は見えなかった。 校舎とフェンスと歩道。極端に運動神経が悪くなければ、子供でも平気で昇り降り出来る安っぽいフェンスである。 当然かもしれないが、有刺鉄線もない。 ここまでの間でも、犯人の侵入経路の候補が無数にある。学校は要塞ではないので、当然といえば当然なのだが。 結構な長さのフェンスだったが、この箇所だけ不自然に歪んでいた。犯人の侵入の際に歪んだのかも…という考えは短絡的過ぎるが、完全には否めない。 今後の対策にするためにも、警察には早めに侵入経路を割り出してもらいたいと思う。 以上が目立った問題点だ。むしろ、宇治小学校の侵入者防止策の全容と言ってもいいかもしれない。 まとめとしては、何もかも手ぬるいと感じた。監視カメラも「警備巡回中」の板もフェンスも、とても不審者の侵入を防止できるような代物ではない。 「校門は全開だった」という報道も踏まえれば、事件当日に部外者の侵入は容易だっただろう。 池田小事件の教訓はどこに行ってしまったのか?各教育機関はもう一度「生徒の安全」とはどういったものなのか、考え直して欲しいと切に願う。 ちなみに今回も池田小事件と同じく、巻き込まれた生徒達の「心のケア」が叫ばれているが、現地の様子を窺う限り、事件現場に居合わせて目撃・体験した生徒達以外は、過剰にやる必要はないのではないかと思われる。 「あっ、●テレや!」 「なんか、えーもん撮れましたかぁ〜?」 なぜなら、ほとんどの生徒は中継車をからかうくらい元気だった。 我々、大人が思っている以上に、子供は強いものだ。
( 探偵ファイル )
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