花泥棒
〜 なぜ、自分の家から花が盗まれるのか? 〜


数ヶ月前、長年住みなれた住居で2人暮らしのAさん親子(母68歳 息子46歳)が憔悴しきった様子で当社を訪れた

Aさん宅では、昨年秋よりたびたび鉢植えや花が盗まれるようになり、警察に被害届けを提出したが、犯人が特定できなければ逮捕が出来ないから、自衛するよう促されダミーのカメラとモーションセンサー付ライトを取り付けるなどの自衛手段をとった。

しかし、その後も、被害は続き、Aさん親子は、誰が何のために?と近隣や職場の同僚等に疑心暗鬼を抱くようになり、周囲との人間関係にも支障をきたすようになる。

Aさんは仕事を抜け、市の防犯課に相談に行くなどしてパトロールを強化してくれるよう要請したが、玄関先に犬の糞をおかれるなど被害はエスカレート。
次は何をされるのかとの脅威にAさん親子は長年住み慣れたマイホームを捨て転居することも考えるようになる。

しかし犯人が近隣の住人とは限らないため、どこに転居してもまた同じ被害にあうかもしれないと思い直し、当社に来社された。

以上が今回の経緯である。我々は、犯行に規則性がないことと、常習者であることを立証する必要性を考慮し3ヶ月間のカメラ設置を行った。


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カメラ設置後、5回、Aさん宅では「花泥棒」の被害にあい、その一部始終が映像に納められた。
犯人は、Aさんが昨年秋「花泥棒」の被害にあうまで通っていた美容室を経営してるKさんで、夫と成人した息子が2人の4人家族。Aさんとは20年来の付き合いだった。

意外な犯人にショックを受けたAさんが、同団地内に住むHさんに相談したところ、昨年からHさん宅を含めHさん宅周辺の4軒の家でも同様の被害にあっていることがわかった。
Hさん宅では、ご主人が家電から購入したカメラを設置し、「花泥棒」の被害にあった日の映像に、Kさんが映っていたことからHさんは、犯人がKさんであると推定、Kさん宅に抗議にいったが
Kさんのご主人から証拠能力に欠ける映像と相手にされず否認される。

その話を聞いたAさんは、「花泥棒」の現場を押さえ、犯行を認めさせた上で母親と懇意にしていたKさんがそのような行為を続ける理由を知らなければ母親を一人にして安心して働けないと、再度私達にAさん宅での張り込みを依頼した。


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            犯行の瞬間映像


犯行現場直後

Q  あなたは花を取りましたね?
犯  はい


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Q  いつ頃からこんなことをしているんですか
犯  そんな前からではありません

Q  今まで何度ぐらい取りましたか?
犯  3回

Q  どうしてこんなことをしているんですか?
犯  いいことだとは思ってはいません。悪いことですがお母さん(Aさん)とは20年来のつきあいなのに、その信用を裏切られて・・・・

Q  それはどういうことですか?
犯  お母さんとはただの客と美容師という立場を超えて本当のお母さんと同じように大切に思っていたのに、昨秋から新しい友達と違う美容室に通われるようになって・・。技術を売る仕事だから、どの店に行かれるかは、お客様の自由とわかっていても、お母さんだけは、ずっと来てくれると信じていたから・・・・・

Q  最近あなたの家の近くでも、「花泥棒」の被害が続いていますが、あなたの犯行ですか?
犯  いいえ。私の家でも2.3度そのような被害にあっています。
   被害にあっていながら自分が同じようなことをして悪いと思っていますが、私も被害者なんです。


現場を押さえられ、口では悪いと言っていながら、本気で罪を認めようとはしない犯人。

「お母さんに会って謝りたい」と、Aさん(母親)とのコレまでの付き合いから、謝れば済むこととの認識しか感じられない。

翌日、Aさん(息子)と同席し改めて話をする事に・・・・・・


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翌日、会うなりKさんは、事の重大さに少し気づいたのか、これまでの3回の犯行のみを認め、(自分と家族の)仕事だけは取り上げないで欲しいと、刑事事件にしないよう何度も頭を下げた。

その後、犯行の一部始終が数ヶ月にわたり、撮影されていたことを知ったKさんは、渋々犯行全部を認めたが、証拠のない他の家の被害についてはあくまでも犯行を認めず、自分も被害者であり、Aさん宅への犯行はAさん(お母さん)に裏切られたためと、昨夜と同様の話を涙ながらに訴えた


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その後約1時間、自分がどれほどAさんと懇意にしていたかを語る犯人

・お母さんには旅行のたびにいつもお土産を頂いていた
・お母さんからは、多く作りすぎたからとおかずを頂くこともあった
・お互いに苦労話を打ち明けあってお店で二人で泣いたこともあった
・私が忙しくしていると、お客なのにAさん(お母さん)が散らかった髪の毛を掃除してくれたこともあった

家宅不法侵入、窃盗等の刑事事件を起こしながら、大切な友達を誰かにとられた可哀想な私との自覚しかない犯人に前日、Kさんが話した犯行動機を知ったAさん(母親)がKさんに宛てて書いた手紙を渡した。

その手紙には、昨年秋退職したAさん(母親)は、それ以降年金生活を送っており働いていた頃ほど、頻繁に美容室に行くこともなくなり、年で足も弱ってきたため、働いていた頃は、さほど気にならなかった坂の上にあるKさんの美容室への道のりも億劫になり、美容室へは、通院などの折、外出先で済ませることが増え段々Kさんの美容室から足が遠のいた事情が綴られていた。

手紙を読んだKさんは、
「裏切られたわけではなかったんだ。私が馬鹿だった。」と号泣

Aさん(おかあさん)は温厚で誰にでもやさしく世話好きな人柄で、Kさんが思うほど特にKさんとだけ懇意にしていたという思いはなかった。
一時は、「犯人の膝を叩き割ってやる」とまで怒っていたAさん(息子)も犯人の涙攻撃に同情し、
犯行を認める記述と今後このようなことをしないことを書いた確約書を受け取ることを条件に損害金(調査費含む)を受け取り和解した。


しかし、犯人はAさん宅以外の犯行については否認している―――



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