働く人の憂鬱シリーズ
〜 〜富士山男編 〜


いろんな業界で働く人がいますが、業界に身を置く者にしか解らない裏話というものがあります。
曰く、勤務形態のことだったり、賃金の事だったり・・・。
そんな事情は様々あると思いますが、別段重たいことではなく、その仕事に対して興味を持っている人に、『そこの業務だったら当たり前のこと』を知って貰ってもいいんじゃないかなと思い、お送りしているこのシリーズ。 今回も、現役でその仕事をしている人に、そこでの出来事を語って頂きました。
皆さんが、「働きたいけど実情は?」と思った時や、いつも使っている業態の事情を知りたいと思った時の参考になればと思います。


今回は夏山シーズン最中の富士山の山小屋で働く人に焦点を当て、お話を伺ってまいりました。


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――あらためて思ったんですが、山小屋の数多いんですね。
そうですね、ここ富士山では他の山とは違って、全体では50軒程の山小屋がありますから、そう感じられでしょう。それでもシーズン中はだいたいが予約で埋まっていると思いますから、それだけ大勢の人が訪れているんですよ。

――誰でも始められるものなんですか?
昔からちゃんと営業の権利証ってのがあるんですけど,もうしばらく発行してないから、今から新規参入はしようと思ってもできないんじゃないかな?閉鎖市場ってわけ。

――どんな職場なんですか?
シーズンは7・8月なんですけど、準備や片付けがあるので毎年6月半ばから9月半ばまでここにいますね。小屋の従業員は殆どは学生アルバイトです、先輩の紹介やバイト情報誌からの応募が大部分ですが、中には気に入ってしまい毎年来るような人もいますけどね。
バイトの期間は大体一ヶ月サイクルでの交代です。それ以上はもちませんから(笑)

――働いていての苦労というのは?
やはり高地なので皆さん山に登ってから気候に順応するまでの一週間程は、どうしても体調不良を訴えますね。あと簡単な風呂はあるのですが、やはり水は貴重品なので入浴が一週間に一度位になってしまうので潔癖症の人には向かないだろうね。


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――では、逆に働いていて良かったと思えることはありますか?
お金が貯まることかな?(笑) なんせ使う場所がないからね。嫌でも貯まるよ。よく、「こんな凄い光景を毎日見ることができてうらやましい」なんて言われるけど、別に風景なんて何も感じないよ。どうでもいい。そりゃ最初は感動してるやつもいるけどね。たんなる日常の風景だし。都会にいて電車通るたびにいちいち喜んだりしないでしょ?

――学生やツアーなどを先導されるガイドさんとの関係は?
ガイドは全員それぞれの山小屋に所属しており、旅行会社の方からの「〜名泊まりたいので宿泊とガイドをお願いします」という予約に基づいて派遣します。
ガイドの仕事内容は
五合目インターで客待ち→出発→山小屋で宿泊→登頂→下山→最初に戻る
という流れを2ヶ月間延々繰り返すのが仕事になります。
大体7月始めから8月終わりまでのシーズン中で約30回富士山を登る事になると思います。
でも流石に彼らも人間なので毎日そんなことをしていたら、あっという間に体壊してしまいますから、一週間に一度はちゃんとオフの日があるんですけど、一応客商売なのでやっぱり気になってしまうんですよね。匂いが(笑)
五合目のインターにも風呂は無いから、自動的にオフの日=フロの日になってしまうんですけど、ガイドが麓の銭湯に行った時はイイ顔はされませんね。身分を隠しても彼らが入った後の風呂を見ただけで判るそうです。


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――やはり山と言いますか、物価高いですね。
まぁ今は昔と違って山頂まででもブルドーザーで物資を運べるから、人件費といっても大してかからないんで、事実ボッタクリみたいなもんですよ。
本当は値段を下げる事もできるんですが、この値段で売れる以上は値上げはともかく値下げをした所でなんのメリットもありませんから。下と違って「向こうの店のが安かったから戻ろう」なんて言う人間はいるわけないですし。それにさっきも言いましたけど、閉鎖市場なんで価格競争なんて起きようもないですしね。
でも逆にいえばこれだけ店があれば何でも揃ってしまう訳で、お金だけ持ってくれば登山ができてしまうような状況ですね。


いくら業務とはいえ、働く人も人の子。憂鬱になる時だってあります。
働く人の気持ちを知っていると、利用する時の参考になると思うのですが、如何でしょうか?
でも、今回話を伺った方達が言っていることが全てとは限りません。あくまでも参考にしておくのが宜しいようで・・・・。




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