『アルファ・システム』インタビュー(前編)
〜 ガンパレが出来るまで 〜


毎日、はっきりとしない天気の中、皆さまはどうお過ごしでしょうか?私は洗濯と布団が干せなくてまいっております。ちなみにこんな私ですが、料理・洗濯・掃除が大好きな主夫的な男であります。うう、家庭に入りたい…。だれかお婿に貰って下さい(切実)。
さて、今回は前回の記事でも紹介させて頂いた「ガンパレ」の産みの親、『株式会社アルファ・システム』様にインタビューを受けて頂きました。くぅ〜…、記者やっていて本当に良かった(感涙)。この度のインタビューに応えて下さったのは、広報課の「芝村裕吏」氏です。

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   ▲イメージキャラは「芝村準竜師」(笑)

それでは、アルファシステムさんの魅力に迫りたいと思います!



―――会社名『アルファ・システム』の由来は?
二つあって、一つはアルゴリズム・ファクトリー・システムズの略、もう一つは社長が設立当初安眠研究にこっていてα波なる当時はまだ珍しい名前を探してきて、「いい夢を見てる間はα波が出ているそうだ、そんな感じになれるゲームを作る会社を作りたいなあ」と。両者をひっかけてアルファ・システムにしてみました。もっともこれには続きがあって、後に弊社芝村、尾上以下のアルコールエリート達が続々と入社、夜の武勲を重ねるうちに、この社名はアルコール・ファン・システム(アルコール愛好者組織)であると社長が称するようになりました。どのエピソードにしても共通するのは夢ですかね。アルファ・システムは地上に夢を取り戻すために存在し、努力する会社でありたいと思っています。


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▲短命の呪いを受けた為、神と交わりながら、宿敵との戦いを子々孫々と受け継がれていく『俺の屍を越えてゆけ』。猟奇殺人の犯人を追いながら謎の敵達と戦っていくシューティング『式神の城』など(画像は2)、アルファ・システムさんは魅力的なゲームを多数、世に生み出しております。
画像提供「(C)Sony Computer Entertainment Inc」



―――現在、製作されているスタッフは何名いらっしゃるのですか?
53名です。いずれ劣らぬアルコールエリートです。肝機能については全国平均を大幅に上回るGDPを誇っています。

―――アルファシステム様の名を一躍有名にした『ガンパレード・マーチ』ですが、熊本を舞台に選ばれたのはどのような理由からですか?
正直に申し上げれば取材する必要がなかったからです。地元ですからね。浮いた予算はゲームの別の部分に廻しました。予算は常に、無限にあるわけではありません。だからゲーム制作においてまず必要なのは割り切りです。それも、周囲が真っ青になるような割り切りこそが重要になります。

―――『ガンパレード・マーチ』の物語の設定の骨子が出来たのはいつ頃なのでしょうか?また、制作に向けて動き出したのはいつ頃なのでしょうか?
企画書制作が94年から95年です。制作に向かって動き出した(企画書提出)は95年の末近く、実際にテスト版がスタートしたのが96年終り頃です。物語の設定は途中で一回作り直しています。ゲーム発売の9ヶ月前ですかね。それまでのストーリーが、誰かを悪者にする話だったのをを廃し、また誰かが不幸になることを廃して、全員が和解するストーリーに改めています。理由は非常に簡単で、これからの未来をになう子供たちに、誰かを排除しなければ生き残れないなどという愚かしいメッセージ性を付与したくなかったのです。ゲームはPTAの敵です。だから、もっと愚かしくてバカバカしい、全員が和解し、幸せになりうる物語を子供たちに聞かせてやりたいと願いました。


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▲今でも根強い人気があり、コアなファンを産んだ『高起動幻想ガンパレード・マーチ』

―――制作期間はどのくらいでしたか?
2年8ヶ月です。

―――登場キャラクターには、モデルはいらっしゃるのですか?(個人的には原さん)にベタぼれですw)
はい。全員私の知り合いです。私が適当に考えたきゃラクターの名前や性格より、今そこで生きているどこにでもいそうな実在の人間のほうが、よほど物をしっかり考え、また面白いと思い、拝借しました。私はどの物語の人間より、今実際に生きて、今生きようとする人間が好きなのです。原姐さんには私からその言葉を伝えておきましょう。きっと喜びますよ。
(キム:飛んで喜ぶ。「もう、刺されてもいいです。むしろ、刺して下さい」註:1

―――熊本を舞台としたゲームを創る上で、苦労した事などがありましたらお教え下さい。

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苦労はありませんでした。あるいは実際苦労があったのかもしれませんが、SCE(ソニーコンピューターエンタテイメント)のプロデューサーやディレクター達が、現場に雑音がきこえないよう、防波堤となって戦ってくれました。ゲームというものは一人では作れません。現実の側で誰かのために戦っているスタッフもいて、それらとの共同作業のもとにゲームというものは作られます。我々に苦労がなかったのは、きっとどこかのだれかが奮戦した結果だと思います。彼らは立派に役目を果たしました。

―――『ガンパレ』を世に送り出してから、会社的に何か変わられた事がありましたら是非。
いえ、なにも変ってません(笑)いや、一つ変りましたね。会社に遊びに来る普通の人達が増えました。どんな悪い事にも、一つくらいはいいことがあります。我々にとってのそれは、友人が増えたことだと思います。アルファ・システムにとって最大の財産はゲームファンです。万年赤字すれすれ企業のひがみっぽいですが、私は素直にこのことを信じています。人間一つくらいは、誇るものがあってもいいと思うのです。

―――全てのゲームが他社と一線を画した『凝ったゲームシステム』を構築しておりますが、制作されている皆さまも凝り性なのでしょうか?
いえ。どちらかといえば人生の何かを捨てて、代りに何かを追求する権利を受けた奴等だと思います。

―――絢爛舞踏を取った(Sランククリア)ので、『芝村』を名乗っても宜しいですか?(笑)
では、Sをとったのなら、お分かりでしょう。最も価値があるのは、誇りはその胸の中だけにしまうことです。次に価値があるのは、矛を収める勇気です。3番目のそれは、子供の祈りを感じたら、血を吐いても立つのが演技者としての大人の義務です。誇りと言うものは外に出せばそれはおごり、傲慢です。名乗るのではなくて、胸でつぶやき、行動されるのはいかがでしょうか。なんちゃって(笑)



“誇りを胸に”…大変、勉強になりました。今後も心に刻み、取材に望んで行きたいと思います。また、アルファ・システムの方々が凄いお酒好きだとは(笑)。ゲームをプレイしているだけでは分からない、裏の事情の様なお話を聞けて嬉しく思います。次回は芝村さんの色々なお話と、アルファ・システムの今後の展開などを紹介したいと思います。

註1:ゲーム『ガンパレ』は、戦闘以外にも恋愛パートがあり、信頼度が深まれば付き合ったりする事が出来ます。しかし、あまりに多くの異性と仲良くなると“争奪戦”というイベントが発生し、主人公の取り合いが始まります。ここで原さんが絡んで来ると、嫉妬の挙句、“主人公が刺し殺されてゲームオーバー”というエンディングが存在します。

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キムの「刺されたい」と言うのはここから来ております。嗚呼、刺されるくらい愛されたい…(ヲイヲイ)。

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アルファ・システムHP





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