ワンダーフェスティバル2003【冬】レポート

〜 プロの原型師への登竜門! 〜



こんにちは皆様。 二次元担当となってから転がる石のようにヲタク化が進んでいる "たまねぎ剣士" キムです。 好きなアニメは『カスミン』です!(キム心の声:あれぇ?どこで道を誤ったんだろう…?)
今回は、先日行われた『ワンダーフェスティバル(通称:ワンフェス)』のレポートをお送り致します。
その前に、ワンフェスとは何ぞや?という方の為にご説明を。

Q.『ワンダーフェスティバル』とは?
A.市販されているプラモデル以上の作品を求める方々が自作のガレージキットやフィギュアを持ち寄り、ディーラー(コミケで言うサークルの事。この資格を得る事により、ワンフェスでの販売権を得る)として展示販売したり、参加者として自分の求めている作品を購入したりするイベント。要するに、“立体おもちゃ”の祭典とお考え頂ければ良いと思います。冬と夏の年2回開催。主催者は、精巧な造型で有名な「海洋堂」。原作があるアニメやゲーム(「版権モノ」と呼ばれる)の作品の場合、許可が下りなければ販売出来ない。逆を返せば、版権が下りれば、人気ゲームのヒロインでも堂々と自分の銘で販売する事が出来る。腕と戦略を持っていれば、アマチュアでも大手となりうるイベントである。

Q.「ガレージキット」とは?
A,自家製模型組立キットの事。通称:ガレキ自作の原型(フルスクラッチ)からシリコンゴムで型をとり、プラスチック樹脂を注型して作る物。市販の物と違い、作成するのに時間が手間が掛かる為、個人製作の場合、図らずとも少量生産となってしまう。

Q.「フィギュア」とは?
A.ガレキの一種。漫画やアニメなどの美少女が主となる人型作品の事を指すのが一般的。その造型技術は凄まじく、フィギュアしか愛せないマニアを生むなどの社会現象を生み出した。

Q.「原型師」とは?
A.アニメや漫画の設定集・設定画を基にして、忠実に立体化させる人の事。その名の通り、ガレキの原型を造る製作者の事を指す。腕が良く、独創的なアイディアを作品に盛り込む事が出来るのなら、これを生業とする事が出来る。

開催地は、コミケと同じ東京ビッグサイト。
会場は10時からなのだが、早朝から人が群れをなしてワンフェスの為にやって来る。


写真1
▲開場する事を心待ちにしているファン達。列はガレリア(中央通路)から、会場の外まで続いている。


その参加者は1日だけで3万人!規模的にも最大級。 それだけ人気のあるイベントである事が窺える。


写真2


ファンにとって待ち望んだ開場の時。 期待に胸を膨らませて最前列のファンが入場して行きます。
列に並ぶファンの方々は全体的に大人しく、礼儀正しい方が多いように思われました。 ステキです(w


写真3
▲ワンフェス会場内の様子。開場して30分もしない間にこの盛況ぶり。


会場内に足を踏み入れると、その熱気がムンムンと漂って来ました。
ディーラーも参加者も、よりよい作品の為に真剣な眼差しで話し込んでいます。
ガレキやフィギュア以外にも、レアなプラモデルやコンプリートした食玩を出展しているディーラーを多くお見受けしました。 ワンフェスと一言で言っても、その内容は多岐に渡る模様です。


写真4 写真5
写真6 写真7
▲出展されていたフィギュア&ガレキ


初めて触れたワンフェスですが、どれもこれも物凄く緻密に造られており、素直に感心してしまいました。 私自身、小さい頃のプラモデルが大好きな少年だった頃の血が騒ぎだし、メカのかっこよさにうずうずしたり、美少女フィギュアのリアルさにため息をついたりしてしましました。
これを作り出せる技術を持つ人がこんなにも多いのかと思うと、ワンフェスはただのイベントで終わるものではないと肌で感じました。
(今回はギャラリーを別に設けました。見て下さいね!)


写真8
▲ガイナックスのブース前


また、ワンフェスではディーラー参加の他に、企業コーナーがあります。
上の画像は「ガイナックス」ブースのもの。3/26にリニューアル発売される『新世紀エヴァンゲリオン』のDVDの視聴会には、かなりの人数がブース前に集まっておりました。
久々に聴く、「残酷な天使のテーゼ」はとても懐かしく感じられました。

それでは今回のキモです。 ワンフェスの大手ディーラーとして、名を知らない人がいないと言われている売れっ子のZさん(勿論仮名)にインタヴューする事が出来ました。
以下、質問とお応えを記します。原型師を目指している方は必見ですよ!



―― 早速ですが、造型家となられてからどれくらいになるのですか?
う〜ん…7年くらい…かな?
―― どの様なきっかけでフィギュアを造るようになったのですか?
高校の時に会ったオタクな友達の所為(笑)。
こいつの家で見たガンダムMkUを見た事からワンフェスを知って、高2の時に始めて行ったんです。
ガンダム買う為に行ったのに、美少女フィギュアに目を奪われてしまって。あっさりと路線変更(笑)。
それから買って作っているうちに、“作る”んじゃなくて、“造る”方になりたいなと思うようになって、大学の時のサークルで先輩たちから色々と教わって、自作するようになったのです。
だから、大学の時から数えて7年ですね。
―― ワンフェス初参加の時はどうでしたか?
散々でした(笑)。 それから、「もっと良い物造ってやるぞー!」と思っていたら、いつの間にかこの位置に来ちゃっていたんです。
―― 失礼ですが、こんなに有名になられたのにプロになられる気はないのですか?
色んな企業からスカウトは来ましたよ。 有名な所からも。でも、プロになっちゃうと自分の造りたい物が造れなくなっちゃうじゃないですか。 だから、残念ですけど現時点ではお断りしています。 これからどうなるかは解りませんが。
―― 売れるようになるコツは?
うーーん…“読み”と“妥協しない事”かな。 まず、ワンフェスって驚くほど登録が早いんですよ。
だから数ヵ月後は何が流行っているのか?これをようく考えて次の作品を選びます。 これが“読み”。
もう一つの方は、選んだキャラの事を好きになる事。
やっぱり好きなキャラを造っている時は辛くても楽しいですからね。
何と言っても集中力が桁違いですよ。 だから、そのキャラに萌えるようにしています。
好きじゃなかったら、自己暗示掛けて好きになる。 それでも好きになれなかった時は…造らない(笑)。
そして1番重要なんですが、どんなに完成が近いモノでも、気に入らなかったら造り直しします。
最初のヤツを手直ししてもいいのですが、どうしてもクオリティが下がります。
そんなモノを出展したら、うちの評価が下がりますからね。 だから、一から造り直します。
毎回、出来るだけ良いモノを造る。 これがポリシーです。


写真9
▲画像はイメージです。Z氏との関係は全くありません


―― とても失礼ですが、1回のワンフェスでどのくらいの売り上げが出るのですか?
これくらいかな(ボソボソ)
―― う!そんなに!!?
でも、製作に係わる材料費とか量産する時の費用とかで、儲けはあんまりないですよ。
―― (それでも凄い…)



ワンフェス中の忙しい中、インタヴューに快くお応え頂きましたZさん、ご協力有難う御座いました。
コツは“読み”と“妥協しない事”。
いかがですか? 駆け出しの皆さんの参考になりましたら幸いです。

さてそれでは今回、取材して写真を撮らせて頂いた中から厳選したものをご紹介致します。
ガレキやフィギュアに興味がある方はクリックして下さい。

<<ワンダーフェスティバル2003【冬】ギャラリー>>

ワンフェス2003HP(http://www.kaiyodo.co.jp/wf/index.html
海洋堂HP(http://www.kaiyodo.co.jp/





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