飛躍する同人業界

〜 同人ソフトサークル『渡辺製作所』にインタヴュー 〜



肌寒い日々が続く毎日、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
韓国は嫌いだけど、キムチ大好きっ子のキムです、こんにちは。
コミケを取材した私ですが、その時から編集部の暗黙の了解でマニア業界の担当になりました。
至らぬ私ですが、宜しくお願い致します。
それでは長い前フリは置いて、同人業界ではその名を知らぬ者が居ないと言われる最大手同人ソフトサークル『渡辺製作所』さんの秘密へ迫ってみようと思います。
お応え頂くのは、「渡辺製作所」代表の『なりたのぶや』さんです。



●サークルについて

―― 同人ソフトのサークルをやろうと思われたきっかけは?
大昔から「ゲーム作りたいなー」と思っておりまして、友人のプログラマ志望のヤツとつるんでいたのがきっかけです。 とりあえずやってみようということで、いろいろやっておりました。

―― サークル名『渡辺製作所』の由来は?
渡辺くんの家によく集まってゲームをしていたからです(笑)。

―― サークルの製作スタッフは何人いらっしゃるのですか?
全部で8人でしょうか。

なりた   …主犯・グラフィック全般
F氏    …プログラム
のはらー  …プログラム
来兎    …音楽
わがつま  …ドット絵
我上院   …ドット絵
吉原ほのか …ドット絵
GHQ   …背景、彩色

―― サークルの皆様の本業は?
多かれ少なかれオタク産業、特にゲーム業界の関係者ですね。


写真1
渡辺製作所最初の代表作となった『QOH(クィーン・オブ・ハート)』
リーフのゲーム『雫』『痕』『ToHeart』のヒロインが戦う格闘ゲーム


●ゲームについて

―― 渡辺製作所の名を一躍有名にした「QOH(クィーン・オブ・ハート)」ですが、リーフ
   を題材に置いたのはどうしてですか?

僕は当時あまりエロゲーはやらなかったのですが、QOHの企画の本当の発案者が「リーフのキャラにしようぜ」、と言い出しまして。 試しに「ToHeart」プレイしてみたら見事にはまってそのまま製作に踏み切りました。

今だから言えるのですが、
    最初は「トゥルーラブストーリー」の格闘でした(笑)。



写真2
『パーティーズブレイカー』より。リーフ作『こみっくパーティー』を題材に創られており、
漫画・アニメファンなら思わず“ニヤッ”としてしまうような遊び心に富んだ作品。


―― リーフ関連のゲームを創る事で、大変だった事などありましたか?
当時の人気メーカー、人気ゲームだったので、原作ファンの皆さんからの、いろいろなプレッシャーが大きかったです。 また、当時は今の形態での「同人ソフト」というものが確立していなかったので、リーフさんおよび関係各者にはいろいろ迷惑だっただろうなーと反省しております。


写真3
『GLOVE ON FIGHT』より。手袋を着けた女の子が主役というユニークな作品。
ネット上で公開されたFLASHを元に創られたゲーム。ある意味伝説


―― 今回、「TYPE−MOON」さんと共同で、『メルティ・ブラッド』を製作されました
   が、共同で作る事になった経緯を是非ともお聞きしたいです。

元々ウチの方で「月姫で格闘つくりたーい」とかちょっかいを出していたことでしょうか。 ある機会に、あちらに「最近売れてて大変ですねー」と挨拶をしにいったところ、それからいろいろ仲良くしていただき、そこからの話の流れでこういう事になりました。


写真4 写真5
昨年の冬、発売された『メルティ・ブラッド』。同人とは思えないクオリティである


―― 今回の作品の製作で苦労した点は?
TYPE−MOON、月姫というネームバリューの大きさですね。 お互いに相手の動き待ちみたいな状態が多く、「渡辺がやるだろ」「TYPE−MOONでやるだろ」と牽制し合った(笑)結果として、開発がどんどん延びていったなーと反省しております。


写真6 写真7
『メルティ・ブラッド』より。『月姫』のファンなら涙モノの名シーン


●なりたさんへの質問

―― サークルとしてやって来て、今までで1番楽しかった事は?
同人ソフトやる上で、ずっと夢だった「CDをプレスして秋葉原のお店に置いて貰う」ができて良かったです。 今は当たり前の光景ですが、当時はほんと憧れでした。


写真8 写真9
冬コミでの1コマ。有名大手の合作とあって、ファンの人気も大変なものであった。
因みに右の画像の列はまだまだずっと続いている。


―― サークルとしてやって来て、今までで1番怒った事は? HPではブイブイ言っているのですが、実際キレてたりすることはありません。 ていうかキレてたらその時点でやめてますね(笑)。 お客様(←嫌味です)から理不尽な要求をされ、最初は結構凹んでいましたが、今では「無理なものは無理」と割り切れるようになってきたので。

―― サークルとしてやって来て、今までで1番危なかった事は?
やはり著作権問題です。 規模が大きくなると今までのように好き勝手にもいかんなーと、いろいろ思い知らされました。

―― サークルとしてやって来て、今までで1番困った事は?
住所から調べられて、実家に電話をかけてこられたり、あまりにあれなユーザーが多かったことでしょうか。 ウチなどはまだ可愛いいものなのですが、ほんと他の同人作家さんとの距離の取り方には、買い手のみなさんは気を付けて下さい。

―― なりたさんの好きな作品は?
チマチマしたドットキャラが可愛く動くアクションゲームが好きです。

―― 渡辺製作所さんの今後のご予定は? 野望などがありましたら是非!
今は音楽家を中心に春〜夏に向けて、知る人ぞ知る、そしてファン待望のあの有名横スクロールシューティングゲームの後継作品を作っています。 それ以降は未定です。 今年は大きなタイトルがいくつかあるので、大変そうだなと思っております。

―― 最後に一言お願いします
風邪には気を付けて下さい。つらいです。



以上、風邪で大変そうな、なりたさんより貴重なお話を頂きました。
大手の同人サークルとなられた今も、次回作への意欲を燃やしている事が肌に伝わってくるようでした。
なりたさん、本当にご協力有難う御座いました。

同人ソフトを創りたいと思われている方にとってこのインタヴューが参考になれば幸いです。
未来の同人ソフト界の星は、今これを読まれているあなたかもしれません!
夢を捨てずに頑張ってみてはいかがでしょうか?

渡辺製作所ホームページ http://www2s.biglobe.ne.jp/%7Ek_wata/index2.htm
TYPE-MOON ホームページ http://www.typemoon.com/main.html





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