【風】カッコ悪く呼ぼう
暴走族を「珍走団」と呼ぼう。
こんな呼びかけが昨年あたりからインターネット上の掲示板などで広がっている。
「暴走族」という“カッコいい”呼称が安易な暴走行為を助長し、 若者たちをひきつけてしまう。
ならば、とても他人から呼ばれたく ないような恥ずかしい名称にしてしまえば、彼らも自分たちの 間違いに気づくのではないか−。
すばらしいアイデアである。
新聞の見出しは「珍走行為で少年を逮捕」「今年も初日の出珍走」に変わり、警察官からも「そこの珍走団止まりなさい!」と街中で拡声器で怒鳴られる。
自身は絶対に使わないだろうが、友人や彼女にまで「そろそろ珍走やめたら…」などと言われたら、顔から火が出るような恥ずかしさだ。
若者に限らず言葉のイメージは重要である。
「窃盗」では泥棒のようだが、「ひったくり」なら、やや軽いニュアンスが感じられてしまう。
「売春」は「エンコー」というカタカナ言葉になって低年齢層に広がった。
顔も見たことのない知り合いは「メル友」という身近な存在になり、「フリーター」という言葉の登場で、日本から「定職に就かない人」はほとんどいなくなった。
もちろん、記者もこうした用語を安易に使っているのだが、本来の意味をあらためて考えてみると非常に重々しかったり、複雑な意味を持っていたりする。
せめて「エンコー」のような軽い言葉は、いい大人が使うべきではないし、オブラートに包んだような言い方で「売春」や「買春」そのものの犯罪性をごまかしてはならないと思う。
むしろ「珍走団」のような恥ずかしいネーミングで呼んであげるほうが、“本人のため”というものだろう。
「恥ずかしい」と言えば、今年の成人式でも珍走団上がりのような連中が騒ぐ姿や、親同伴の式典、イベント付きの式典などがテレビで紹介されていた。
そもそも、若者ならそんな場所に出席すること自体、カッコ悪いという認識があってもいいと思うのだが、彼らは違うようである。
「成人式」ではなく「こども卒業会」、逆に厳しく「少年法解除式」に名称を改めてもいいかもしれない。(豪)
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