探偵ファイル VS 神宮寺三郎 Vol.2

〜 "神宮寺" というキャラクターについて 〜



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前回に引き続き、西山英一氏にお話を伺った。

── 神宮寺に実在のモデルとかはいらっしゃるんですか?
モデルは正直言うと、いろんなところにいるんですよ。
神宮寺というのは“個人の物語”というよりは“新宿の物語”なんですよ。 そしてレギュラーキャラ(神宮寺・洋子・熊さん等)は一作目(ファミコ
ン時代)に先輩達が生み出したものなんです。

で、脇のキャラが増えていったという感じですね。
それ(モデル)は会社のキャラですとか、見た映画のキャラですとか…。

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探偵・神宮寺三郎オリジナル 
サントラCDは11月20日発売!
作った人それぞれにキャラクターに対する思い入れがありまして、「あの渋い刑事とかは特捜最前線の誰々」とか、いろいろミックスされていますね。

神宮寺というのは“個人の物語”というよりは“新宿の物語”なんですよ。
それ(モデル)は会社のキャラですとか、見た映画のキャラですとか…。

作った人それぞれにキャラクターに対する思い入れがありまして、「あの渋い刑事とかは特捜最前線の誰々」とか、いろいろミックスされていますね。
結局のところ、こういうアドベンチャーゲームというのはやはり“シナリオ”で魅せるものですから、「“人間”を創り出す」ということに力を入れております。

例えば、ゲーム中には出てこなくても...

・こういう家庭に育った
・こういう性癖をもっている
・こういう考え方をする
・こういう喋り方をする

...とかゲームで見えない“裏設定”の方が多かったりしますね。

―― 制作期間はどれくらいでしょう?
だいたい一年か、それ以上という感じですね。
小説とかシナリオですと、その文章だけでいいんですが、ゲームとなると横道にそれる事もあるんです。
その時の“メッセージ”であるとか“グラフィック”を用意しなければいけないので。
ゲームとして、小説として、TVドラマとして、といろいろと見せ方はあると思うんですが、“ゲーム”というのは結構「何でもあり」というところがあって、それが逆に難しいところでもあるんです。

あまりに一本道ですと「小説と一緒じゃん」ということですし、ムービーだけですと「TVと一緒じゃん」となってしまいますしね。 ユーザーがコントローラーを持って、「その世界を歩いている」という感じになってくれたらなあと思いますね。

―― 神宮寺が使っているモノと言う点でお聞きしたいのですが。やはり目立ちますよね、車の
   ミニクーパーですとか。

やはり、かなりの設定があります。
いわゆる神宮寺のポリシーでタバコはマルボロ、酒はカミュライターはジッポですとか。 ある程度一作目で出来ていたんですけど、どんどん作品を重ねていくごとに「何故神宮寺はマルボロが好きなんだろう」とか、「何故ミニクーパーに乗っているんだろうか」とか突き詰めていくわけです。

そして、そうやって突き詰めれば嗜好品だけでなく、「何故探偵になったのだろう」とか、「何故新宿にいるんだろう」とか、そういうのを考えた時に、それに対する答えを用意しておかないと『神宮寺』というものが見えないんです。 まあ、ゲームには出てきませんが、そういう“設定”はあるんですよ。

写真2

―― やはり小説の探偵からヒントを持ってきたりするんでしょうか?
そうですね。 やはり現代の日本を舞台にしてますので、"ウソはつきたくない" というのがありますから。
インターネットとか雑誌とかいろんなところで調べますね、「こういうのは矛盾していないか?」と。
警察組織についてですとか、刑事と警部の違いはなんだとか、そういうのはウソをつきたくないので。

―― 象徴的だったのは「ウソをつく」というコマンドのがありますよね。こう言うと聞こえが
   悪いかもしれませんが、実際の聞き込みでそういう場合は多いんですよね。

そこら辺りはスタッフとモメることがあるんですよ。 「神宮寺というキャラクターは“正義”であって、ウソなんかつかない!」と主張する人もいるんです。

でも神宮寺は“警察”ではなくて“探偵”なんですよね。 ウソもついて、巧みな話術で情報を引き出す。
そしてある時は脅しをかけたり、ある時はなだめすかして「目的のためにある程度の手段をとる」というのが神宮寺のキャラだと思うんですね。

例えば、刑事ドラマでは、刑事が「吐け!」といって脅したりするのはありますけど、本当の刑事はそんなことはしませんよね。 逆にそれができるのが“探偵・神宮寺”というキャラじゃないかな、という感じがします。 そこら辺りは、「神宮寺は正攻法のみ使うんだ!」と言うスタッフとで試行錯誤してもめたところでもあります。 神宮寺が「ウソをつかないキャラ」でも文句は言われないと思うんですが、やはり本物っぽさを出したいな、と現実に近づけるために「ウソをつく」というコマンドがあります。

あと、ゲームの中で“情報収集のために自分の素性を明かす”というのがあるんですが、それは現実では絶対ありえないだろうということなんですが。

―― ええ、それ(素性を明かす)は絶対にしないんですよね。実際、私も探偵になりたての頃
   とかホントに苦労したところなんです。聞き込み調査で、「アナタ、何か身分証明する
   ものはないの?」って聞かれたりとか。そのとき、名刺なりなんなりを出して「これこれ
   こういう理由で、この人を探しています」と明かせば情報をいただけるのでは?とか思う
   んですけど、それをやってしまうと、探している人が後にそこで犯罪者扱いされてしまう
   というケースなどがあり、出来ないんです。

ええ、探偵の絶対やってはいけないことというのに“素性をあかす”というのがあるというのを聞いていまして。 しかし、素性を明かすことでドラマが面白くなるというのがありますからね。
それはノンフィクションとフィクションの違いではあるとは思いますけど、そういうのは「わかっていても、敢えてやっている」というのはありますね。

正直なところ、“現実の探偵の実情”というのを知っている人というのもかなり少ないと思うんですよ。
みんなの知っている探偵像というのは小説ですとかドラマのやつとかですよね。

―― 神宮寺の事務所ですが、あれは実在の場所なんでしょうか。
新宿のここの場所にあるっていうのはあります。 住所を言えと聞かれたら答えられるんですけどね。
歌舞伎町の大久保よりの場所で、実際は事務所ではなくて居酒屋等になっていますけど。
まあ、シャーロックホームズのベーカー街何番地ではないんですけど、そういう雰囲気でいきたいとは思っています。

実際ロケにいって歌舞伎町、大久保のあたりで写真を撮ったりします。
ただ、あのあたりは最近混沌としてきていますんで、撮影のときは怖いですけどね(笑)


(続く)


ワークジャム公式サイト http://www.workjam.com/
神宮寺三郎HP http://www.workjam.com/jinguji/
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