探偵ファイル VS 神宮寺三郎 Vol.1

〜 ゲームプロデューサーとの対談より 〜



「探偵・神宮寺三郎」をご存知だろうか?第一作目が1987年のファミコンのディスクシステム(!)にて発売されて以来、15年の長きにわたってシリーズを重ねている根強い人気を誇るゲームシリーズである。

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記念すべきシリーズ第一作
『新宿中央公園殺人事件』(1987年)
それまでのゲームにないハードボイルドな雰囲気が人気を呼び、続編が作られるごとに常に話題になっている。

そして先日10月24日、PS2にてシリーズ第8作目となる待望の最新作『Innocent Black』が発売された。

今回、探偵ファイルではこの“ゲーム史上において最も人気のある探偵”の一人である神宮寺三郎の秘密とその魅力を探るべく、ゲームを制作した株式会社ワークジャムを訪れ、制作者にインタビューを行なった。

インタビューに応じていただいたのはプロデューサーの西山英一さんと企画の金子光恵さん。 両氏と探偵ファイル調査員の対談という形で行ないました。


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ゲームのプロデューサー・西山英一氏
(ワークジャム本社にて)


── まずはお忙しい中、この度インタビューをお引き受け
   いただきありがとうございます。


いえいえ。 ゲームの雑誌などのインタビューはこれまでもあったんですが、探偵さんからのインタビューというのはこれまでなかったものですから、楽しみです。 よろしくお願いします。

── こちらのワークジャムさんは、この『神宮寺三郎』シ
   リーズと、『クロス探偵物語』といういわゆる“探偵
   もの”を中心に制作なさっていますが、なぜ“探偵も
   の”が多いのか?というのが素朴な疑問なのですが。

ええ。これはまあゲームの歴史から話すことになるかと思いますが、いわゆる「アドベンチャーゲーム」というジャンルがありますが、昔のファミコン時代は主流ジャンルで、探偵もの(ファミコン探偵倶楽部等)や刑事もの(ポートピア連続殺人事件)というのも多かったんです。

その後、静止画中心のアドベンチャーゲームよりは動画やポリゴンを使ったアクションものやRPGに人気が移っていって市場は小さくなりましたが、未だにアドベンチャーゲームを好んでプレイしてくださるユーザーさんは残っています。 そして、そのころ(ファミコン時代)から唯一“シリーズもの”として残っているのは神宮寺シリーズだけなんですよ。 ですから、歴史と本数というのは自慢できるものだと思います。

昔ながらのオーソドックスなシステムと“ハードボイルド”、そして主人公(神宮寺)と脇役(洋子・熊さんなど)を変えずに来たというのが人気が持続してきた理由だと思います。

── 雑誌等(ファミ通等)でもかなり大きく取り上げられてますよね。

そうですね。昔ファミコンで神宮寺を買ってもらった子供が、今は大人になって自分でゲームを買ってくださっていたり。ファミ通さんの編集者の方でも、「小学校の頃からのファンでした」とおっしゃってくださる方とかもいますし。 かくいう私も、神宮寺シリーズの制作にかかわったのは5作目からなんですよ。

1作目から4作目までは先輩が作ったゲームで、それを引き継いだという感じです。
当初は7作目までDATA EAST(http://www.dataeast-corp.co.jp/)というところで開発を行なっていましたが、業界不況のあおりで(DATA EAST社が)なくなってしまいまして。

写真3
クロス探偵物語
神宮寺の(版権等の)権利は宙ぶらりんになってしまい「これで神宮寺も終わりかな」と思ったんですが、こちら『クロス探偵物語』シリーズを制作していましたワークジャムさんの方から「神宮寺の権利を取得したので、新作をこちらで制作してみないか」というお話をいただきまして、私を含めスタッフが移籍してシリーズが存続することになりました。

実は6作目の時に、ガルエージェンシーの渡邉さんと雑誌の企画で対談させていただいたことがございまして、本物の探偵とお話す
る機会ができたということで大変うれしかったんですが、その時思ったのは、「やはり探偵というのは“組織力”だなあ」ということでした。

── ええ、実際そうですね。ゲームの神宮寺のように個人で探偵社を構えているというのでも
   素行調査や浮気調査などはできるんですけども、「行方の調査」などになってしまうと組
   織の力というのは大きいと思いますよ。実際、素人の方を簡単に使えない業界ですので…。
   神宮寺の言葉ではないですけど、「糸を手繰るような」といいますか絨緞爆撃を組織で行
   なって成果をあげることもありますから。


そうですね。そこらあたりのリアリティーを追求しすぎると実際の探偵業務(素行調査等)のみになってしまうかもしれないですが。 あくまで神宮寺は個人でやっている探偵でもこんなことも出来る、あんなことも出来ると言うある意味エンターテイメントの要素を付け加えたキャラクターのもとにやっています。

── 実際、ああいったキャラクターに憧れて(ガル・エージェンシーに)来る人間もいるかと
   思うんですよ。ファミコンをやってた世代とかは特に。


ええ、アンケートハガキで「神宮寺に憧れて探偵になりました」という人がいました。
古い分、その人の人生に関わっている部分というのが大きくなっているので、責任重大かなとも思ってたりします。(笑) 出来れば、神宮寺の影響で探偵になった人がさらに増えてくれればなあ、とか。


(続く)

ワークジャム公式サイト http://www.workjam.com/



( 探偵ファイル )


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