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不良債権ビジネス。
日本も不良債権の処理のためには銀行に直接資本注入をすべきだ、とかなんとか様々な議論がなされていますが、今日はそんな不良債権のお話の中でも末端に位置する人間模様をお届けします。
東京都練馬区在住の田中氏(仮名)。
彼はそんな不良債権を扱ういわゆる「裏不動産業」を営んでいます。まずは田中さんとのやり取りの様子から。
田中:「おいおい、裏不動産業って何だよ。確かに業界にも加盟してないし、社員もいないがやっている
ことは喜ばれることばかりですよ」
探偵ファイル:「でもあなたが直接の貸主ではないから取引主任者がいるはずなのに名義借りてるだけ
だし、貸す時の重要事項説明は取引主任者しかできないでしょ?(注)」
田中:「法律なんでどうでもいいじゃないか。
この不景気に安く借りれればそれに越したことはないでしょ。」
この「不良債権専門不動産業」の流れは以下のようにまとめられます。
(1)・・・倒産した中小企業の債権をまとめ、整理する「整理屋」が、倒産した企業の経営者が所有し
ていた不動産に短期賃借権を設定して占有する(当然、賃借権は譲渡可能にしておく)
(2)・・・「整理屋」が、田中氏のような不動産業者に不動産の短期賃借権を譲渡(金額はおおよその
相場家賃×50%×1年分)
(3)・・・田中氏のような不動産業者が一般人に賃貸(相場家賃の70%程度)
(4)・・・賃借人は、その物件が元の持ち主の債権者などにより競売され、裁判所によって追い出され
るまで住める
こんな流れになります。
また、田中氏は、
田中:「うちのような不動産屋はいいですよ。敷金、礼金なんて家賃1ヶ月程度、家賃だって近隣相場よ
りもだいぶ安い。問題は競売にかけられて明渡し執行されると出て行かなきゃならないところだ
けど、そんなのは半年やそこらで来るはずがない。なにせ整理屋が入ってるからね。ということ
は、近隣相場よりも安く住めるんだから、むしろこんな不景気にはいいんじゃないですか?
部屋にもよりますが、うちはほとんどをリフォーム、掃除して貸してますしね。」
とも言っています。但し、
田中:「ただ、途中で競売にかけられたりということはあるわけだから、何も知らない人だとやっぱり借
りるのはためらうだろうね。だから、最近は中国人留学生とかによく貸してるよ。奴ら、違法就
労を始めとして日本での行動には気を使っているのが多いから、金だけはちゃんと入れてくる
よ。まぁ、こっちも変な奴だとわかったらすぐ通報すると言ってあるからね。」
なるほど、この不景気の時代、いくらでも借り手はいるらしい。
現在、田中氏は都内〜関東近郊のマンション、一軒家、アパートなど100件以上を維持管理、その他整理屋業務も行っており、年収は3,000万以上あるとの事。
「おたくもやんない?結構、儲かるよ。」
・・・なんだか、取材している私も心惹かれてしまいます。不景気が騒がれている今日この頃、不良債権となった不動産のいわば「賃貸のリサイクル」業。
安い家を探している方はこのような物件も視野に入れてみてはいかがですか?
(注・・・不動産業を営むものは、最低限1名の「宅地建物取引主任者」の資格をもつ者を置かねばならない。かつ、物件の販売や賃貸の契約時の説明を取引主任者自らが行わなくてはならない)
(参考:「競売物件」・・・法律的には(けいばい)と読み、競売とは、裁判所が、債務の履行ができなくなった債務者等、すなわち借金を返済できなくなった人などが所有する不動産を差し押さえ、裁判所の管理のもと、入札方式で売却してその代金を債務の弁済にあてる手続をすることをいいます。
ただ、この未曾有の不景気により、競売ということで持ち込まれる案件も多く、全ての競売物件が処理されているわけではありません。)
( 探偵ファイル )
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