ディル公判

〜 福岡地裁詳細レポート 〜



写真1 平成14年9月30日午前10:00より、福岡地方裁判所301号法廷において、ネットで猫の虐殺の実況をして動物愛護法違反の罪に問われた松原潤被告(27)の初公判が開かれた。 福岡地裁には、なんと100人以上の傍聴希望者が集まり、ネットを発端にした、この事件への関心の高さがうかがえた。

裁判を傍聴されたという方が、詳細レポートを福岡の「探偵エキサイト」にお寄せ頂きました。まとめ、御紹介させていただきます。

松原被告の裁判時の身なり

・白地に細い茶色のチェック模様の長袖シャツ。
・クリーム色のパンツ。
・銀色ぶちの眼鏡。
・髪の毛の色は黒い。
・肌の色は透き通るように白い。
写真2
<検察からの質問>
検察官:どうして最初は、猫は逃がしたと言っていたのですか。
松 原:猫を殺したと言ったら、両親が悲しむと思ったからです。
検察官:罪が軽くなると思ったからではないのですか。
松 原:いえ、両親が悲しむと思ったので言えませんでした。(※ 裁判上で殺害したことを認めた)
検察官:2ちゃんねるに書いてありましたが、ハムスターも虐待したのですか。
松 原:いえ、していません。
検察官:じゃあ、飼っていたハムスターはどこに行ったのですか。
松 原:広島(実家)に持って帰りました。(※ 最後まで容疑を否認した。)
検察官:猫は野良猫なんですよね、知っている飼い猫でないことは間違いないですか。
松 原:はい。
検察官:何故、猫を部屋に連れて帰ったのですか。
松 原:エサをあげるとついて来たからです。
検察官:何故バスタブに連れて行ったのですか。
松 原:部屋が散らかっていたからです。
検察官:何故、バスタブで与えたエサにマタタビを混ぜたのですか。
松 原:その方が食いつきが良いと思ったからです。
検察官:そこで、何故猫を虐待する必要があるのですか。
松 原:猫がバスタブで糞をしたので、恩をあだで返された様な、裏切られた様な気がしたからです。
検察官:猫だったら糞くらいすることぐらい分かるでしょ。ましてや野良猫なんだし。あなた、犬と
    ハムスターを飼っていた経験があるんでしょ。
松 原:ハムスターと犬はいつも決まった場所でフンをしていました。猫を触ったことがないので分か
    りませんでした。
検察官:そう言ったって、あなた、バスタブに閉じ込めていた、そこでするしかないじゃないですか。
松 原:分かりませんでした。
検察官:虐待している時どんな気分でしたか。
松 原:泣きたいような怒りたいような笑いたいような。
検察官:全部全然違う感情じゃないですか。
松 原:自分と同じ境遇のような...。(松原被告は、過去に虐められた経験がある。)

<弁護士からの質問>
弁護士:2ちゃんねるに出入りするようになった理由はなんですか。
松 原:普通の生活では他人とまともに話せないけど、インターネット上では自分を演じることが出来
    るからです。
弁護士:それでどうなるんですか。
松 原:精神が安定します。

<検察からの質問>
検察官:傍聴者の人達が、あなたがした事に対してあんなに泣いているのを見て、どう思いますか?
松 原:大変なことをしたと思っています。(※ 裁判時、すすり泣く傍聴者が多数あり)
検察官:本当に思っている訳?2ちゃんねるに「罰金を払えば済む」みたいなことを書いていたよね。
松 原:いえ、大変な事をしたと思っています。

<裁判官からの質問>
裁判官:あなたは、猫を虐待する際に使用したはさみを3月にホームセンターで購入していますが、何
    の目的で購入したのですか。
松 原:ダンボールを切る為です。
裁判官:同じ時期にキャットフードも何点か購入していますが、何の目的で購入したのですか。
松 原:その辺(近所)に置いておいたら猫のエサになると思ったからです。

<弁護士からの質問>
弁護士:今からどうするか考えていますか。
松 原:考えようとしています。
弁護士:考えようとしているって、今、あなたの心を支配しているのは何ですか。
松 原:社会に対しての恐れです。
弁護士:これから、立ち向かっていこうという気持ちは芽生えましたか。
松 原:...はい。

<裁判官からの質問>
裁判官:最後に、何か言っておくことはないですか。
松 原:私が(罪を)犯してしまったことで、怒ったり悲しんだりしているみなさん、お詫びしたい
    です。(相当に涙を流しながら。)


以上が、松原被告の主な発言です。松原被告は、後半より、涙を流しながら発言をしておりました。
下記は、弁護士及び検察の発言です。


弁護士の発言
・今年4月迄働いており自主退職をした松原潤の職場は、電子機器に用いられるレンズ(及びカメラの
 レンズという表現もあり)の会社であった。
・松原潤は、子供の頃、猫のフンを世話をする母親を見て育った。
・松原潤は、まだ年齢も27歳と若いし、仕事を辞め、人間関係等で精神的にもかなりまいっていた。
 今回の事件は、そういったことが影響しているのではないか。


検察官の発言
・上記勤務先上司によると、松原潤は時間にルーズであり、朝礼に遅れることもあった。入社式当日も
 遅刻をして来た。松原潤は、3人程度のチームの、今時の言い方で言えばチームリーダー、昔の言い方
 で言えば主任をやっていた。
・警察や検察には、平成14年8月31日の時点で、嘆願書が3063通届いた。一日平均24通、多い時で142通
 が届いた。


以上、弁護士及び検察の主な発言です。
下記は、証人である松原容疑者の父親の発言です。


<弁護士からの質問>
弁護士:いつ、どのような時に、息子さんの事件の連絡を受けましたか。
証 人:(平成14年)5月16日、修学旅行から帰って来た後(小学校の教頭をやっている為)、妻から
    連絡を受けました。
弁護士:こちら(福岡)に到着したのは、だいぶ夜遅かったのですよね。
証 人:はい、最終の新幹線に乗り、夜中に博多署の方に着きました。
弁護士:どういった理由で、警察から、博多署に来るよう言われたのですか。
証 人:息子は、今回のことで精神的ショックを受けており、自殺もしかねないからとのことでした。
弁護士:他には、何か言われましたか。
証 人:息子が勤務先を辞めていた事と、人間関係に悩んでいた事を、その時初めて知りました。
弁護士:息子さんが実家に帰っている時に、盗み撮りもあったとのことですが。
証 人:はい、望遠レンズを使い撮影したような写真でした。はがきや封書にて、写真が送られて来た
    りしました。
弁護士:実家に帰っての息子さんの様子はどうでしたか。
証 人:精神安定剤に頼っていました。眠れない日もありました。
弁護士:あなたが勤める学校の方には何か影響がありましたか。
証 人:はい、多い時で1日10本以上の抗議の電話がありました。市内の他の学校にも、電話があった
    ようです。
弁護士:今回、息子さんが起こした事件に関して、どう思いますか。
証 人:誠に申し訳ないと思っております。残念でなりません。猫、動物を虐待し、インターネット上
    で流すことで、怒りを買い、悲しみを与え、反省しております。親として教育のどこに問題が
    あったのかと反省しております。


以上、証人の主な発言です。

午後12:23ごろ終了。

公判は即日結審し、判決は10月21日午前10:30より、福岡地裁301号法廷で言い渡される予定です。
おそらく、執行猶予つきの有罪判決が下るのではないかと予想されます。
ネットを発端にし、ネットに裁かれた、半年にも及ぶ騒動に決着が着こうとしているわけですが、裁判
における彼の一連の発言が真実かどうか、その判断は読者のみなさんにお任せしたいと思います。
彼の事件以降も、悲惨な動物虐待の事件の報道は後を絶ちません。
願わくば、こういう事件がもう起らないことを祈って…。



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