心霊スポット調査

〜 醍醐幼稚園 〜



以前、スパイ日記のところで心霊調査として「皆殺しの館」の調査を命じられ、紹介した。
http://www.tanteifile.com/diary/2002/07/02index.html

その後、某BBSの「オカルト板」なるところで「いらんことするな」などの書き込みが数多くあり、そこのオカルトファンの方には大変不評だったようである。
それで「余計なお世話だったのかなあ」とすっかり意気消沈で「もう心霊スポットの調査はやめよう」と思っていた。

しかし、メールでは「ああいった"ニセモノ"の心霊スポットをどんどん暴いていって欲しい」というものの方が多く、そしてとある女性読者の方からは「私は怪談や心霊話は大の苦手で、以前、友達に"皆殺しの館"に無理矢理連れて行かれて泣いてしまい、悔しい思いをしたことがあります。仇をとってもらったみたいで嬉しいです。」というメールをいただいた。
単純かもしれないが一瞬にして元気を取り戻し、「喜んでくれてる人が多いから、もう少し続けてみようかな?」と考え、再び心霊スポットの調査にとりかかった。

今回は京都にある「醍醐幼稚園」の調査を行なった。


写真1
醍醐幼稚園


この心霊スポットの噂は...

「昔、ここに勤めていたノイローゼ気味の保母さんが、言うことを聞かない園児を激昂のあまり殺害し、幼稚園の敷地に死体を埋めてしまった。しかしその後、自責の念にかられた保母さんは、ピアノを踏み台にして首を吊って自殺した。その後、深夜になるとピアノが鳴り出したり、保母さんらしき女性の声が聞えてくる。」

といったものである。

事前に少し調査をしてみる。
正式名称は『青風端山幼稚園』。 私立の幼稚園で、経営していたのは「学校法人 青風塾」。
昭和39年に開園しましたが、昭和60年から「休園」扱いとなっているようだ。
この学校法人に電話をかけて直接尋ねてみれば話は早いのかも知れないが、もし、本当にそのような事件があったのだとしたら、学校を経営する側としてはそれを隠そうとするかもしれない。
ということで、とりあえず現地に行ってみた。 すると、取り壊しが始まっていた。


写真2 写真3
取り壊し中


確かに住宅街の端にあり、夜になると相当怖そうである。 噂話にあるような大事件が実際にあったのなら、近所の人が知らないわけはないので、早速近所の住民に取材して回った。


〜以下、取材結果の要約〜


「私はここに26年暮らしていますが、そんな事件の話は聞いた事がありません。」

「インターネットで、そんな噂が流れているのは聞いた事があります。そのせいで、若い人たちが遠方からもやってきて、深夜に入って行ってはキャーキャーと騒いでいるのは知っています。夜寝られないくらい騒いでいるんです。警察が駆けつけてきたことが何回もあって、そりゃあ迷惑していますよ。」

「地元の私達が知らないんだから、でたらめだと思いますよ。そんな話聞いた事がないし、幽霊なんて、出るんだったら私達が見てみたいくらいです。」

かなりの時間を費やして取材にまわったが、事件を知っている人は存在せず。
知っている人も...

『インターネットで流行っているでたらめ話』

という認識だった。
ただ、その他に噂として...

「あの幼稚園は土地の売買の問題で、少々、もめたことがあるそうだ。なんでも、相手が"ややこしい人"だったそうで、あの土地に他の買い手がつかないように、あんな噂を流したのではないだろうか?」

という"土地の売買に絡んで、故意に流された噂である"という説を聞いた。
続いて、この幼稚園を経営していた学校法人の方に話を聞く。


写真4


「あー、くだらないことがインターネットで流れてるみたいですねぇ。ああ、また、夏がくるなあ、と思ってうんざりしているところです。根も葉もない噂なんですよ。」
と、かなり迷惑している様子。

「私共の学校法人では、他に2園の幼稚園があり、合計で3ヶ園を持っていました。ただ、青風端山幼稚園は少子化の影響で園児が減少しましたので、休園という形にしたんです。3ヶ園を維持していくのは費用も大変ですし、他の2園に吸収合併という形にしたんです。廃園にしなかったのは、幼稚園は一応、学校施設でもありましたし、税金対策という意味もありましたから。休園の理由は"園児の減少"。それ以外の原因は全くないです。噂のことを始めて知ったのは、去年のことでしょうか。警察の方から教えられたんですよ。そんな噂があるってことを。深夜に若者が入り込むってことで、ちなみに、そのとき不法侵入で検挙した若者は、堺市の方から来ていたそうで。それで、警察の方からも"入れないようにしてくれ"と言われたし、近所の方からの苦情も相次ぎましたので、フェンスを作ったんです。でも、数日ともたなかったですね。すぐに、破られてしまって。」

そしていくつか質問をして、答えていただいた。
"不動産売買に絡み、何者かが捏造した噂である"との説については...

「それはあるかもしれませんね。先代の理事長のとき、土地の売買のことで手こずった、というのは聞いたことがあります。買い手の方と価格の折り合いつかず、話が流れたとのことで。しかし、その先代の理事長は7〜8年前になくなりましたので、詳しいことはわからないです。しかし、先代の理事長も、その息子である今の理事長も、事務所を構えた弁護士でしたから、法律的にはしっかりしていた筈ですし、トラブルにはなっていません。だから、取引の相手が故意にそういう噂を流した、という可能性はあったかもしれませんが……どうでしょう?そんな噂を流したところで、大きく金額が変わるわけでもないし、私共も経済的に困っていたわけではないし、第一、幼稚じゃないですか、そんなやり方(笑)。実際、今、大手の不動産会社から売買の話も来てますし、だから、幽霊話を流行らせたというのも、そんなことはないと思います。断言はできないですが、そんなことしても意味がないですよ。」

インターネットで心霊スポットとして有名になっていることについては...

「そんなに有名になってるんですか?やれやれ……この夏はどうしようかなあ、と思ってるんですよ。時々、様子を見に行かないといけないんですが、正直、行くのは嫌だったんです。近所の方もきっと苦情をおっしゃられるだろうし。心霊現象なんて、そんなことあるもんなんでしょうかねえ?まあ、あの通り廃墟になってますし、夜に見れば、おどろおどろしい感じですから、若い人達が暇つぶしの遊び場にしちゃったんでしょうねえ。私共としては、もう、笑うしかないって感じなんですが。」

現在、取り壊し中であることについては...

「ずっと、放置してあったので、はやく取り壊したかったんです。荒れた状態のまま、放置してあったのが原因でしょうから。一番まずかったのは、ピアノを処分せずに置いておいたことでしょうかね。"夜中に一人でに鳴り出す"そうですから。(笑)」

とのことだった。

取材結果として・・・
この心霊スポットの噂については "土地の売買に絡んで、故意に流布された怪談話である" との可能性も僅かながら残るようである。 しかし、ともかく "あの幼稚園で噂にあるような事件はなかった" ことだけは確かなようだ。

そんなわけで、前回に続いて今回の心霊スポットも、単なる噂であったようである。
これから、夏になり、心霊・怪談話は旬を迎えるわけだが、オカルトファンの方々は地元住民や所有者の方の迷惑も考えつつ、ほどほどに楽しんで頂きたいと思う。


投稿
探偵TIMES



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