巨大テーマパークの『噂』Vol.10

〜 次々に湧出する問題(最終回) 〜


Vol.01 USJの地下に潜む悪魔(?)
Vol.03 市民の目からみた USJ の危険度
Vol.05 USJ総務部 vs 探偵ファイル(前編)
Vol.07 USJの見解の相違を追求せよ!
Vol.09 調査結果
Vol.02 USJ 広報部に直撃取材!
Vol.04 大阪市 第3セクターの正体を追え!
Vol.06 USJ総務部 vs 探偵ファイル(後編)
Vol.08 USJの水を採取せよ!


「検査した5種類の有害物質の含有量――全サンプル、測定限界値以下」

つまり、有害物質は含まれていないという結果だった。
「大山鳴動して鼠一匹。か……」
不謹慎かもしれないが「ちょっと、がっかりした」というのは、調査員としては正直な感想だった。

未消化な部分は、多々残る。
「なら、USJはなんであんなに、検査結果の開示を断るんだろう。理由もなく」
「採水したのが素人なんだから、完全にシロかどうかは、まだわかんないかも」
「その他の有害物質についてはどうなんだろう」
「そもそもの問題は“土”だった。土壌の検査はやらなくていいのだろうか」

しかし「アトラクション用水が汚染されている」との"噂"に関してのみ言えば「噂は、単なる噂でした」という結論に達せざる得ない。

やれやれ、随分ムキになって、長い間取材した割には、つまんない結論しか出せなかったなあ……。
などと考えていたら、取材を終了したちょうどその日に、こんな新聞記事を目にした。
奇しくも「USJの水」の話だ。

▼クリックすると、各記事ごとに拡大します


写真1 写真2 写真3


「USJの水」に関する新聞記事の数々
USJ、水飲み器に工業用水
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020723-00000001-abc-l27
USJがずさんな水質調査 測定器洗浄せず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020725-00000003-abc-l27
<USJ>残留塩素数値記録ねつ造の疑い
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020724-00003070-mai-soci


新聞文中にあるUSJ側の説明。「USJは“法的に問題はない”と説明している」
確か、調査員も、同じような説明を受けた覚えがある。
“法的な義務や問題は一切ございません”と(vol.5)

調査員は、つい先日の総務の方の話を思い出す。
「私共の方で自主的な水質管理しておりまして、別段、数値上の異常が……といったこともございませんので。」
「いやいや、びっくりしました。“水質が悪い”というようなことが事実あったというようなことであれば、逆に私が社員であるのにそういうことを知り得ていないというほうが、大きな問題ですので。」

なんだ……。結局、総務課の人の話も、当てにできるものではなかったということか。
というよりUSJというテーマパーク自体、ろくなもんじゃなかったというわけか。

vol.1で紹介した1997年の読売新聞をもう一度読み返してみる。

「廃棄物の飛散や流出、将来にわたる周辺への影響など、専門家にも全く予想できない部分がある(中略)厚生省産業廃棄物対策室は“(略)周辺も含めた地下水の継続的な監視の必要がある”とし、(後略)」

USJは過去、産廃設備が整備されず、しかも、違法投棄が繰り返されていたいう産廃処理場跡の上に建っている。
だから、「アトラクションの用水が汚染されている」という噂がたった。
USJ側に水質検査の結果を見せてほしいと頼んだが、頑として拒否された。
だから、自分で採取して、検査したが、現時点では「有害物質は含まれず」という結果だった。

今はないのだろう。今のところは。
USJは昨年3月に開業。まだ2年も経っていない。
しかし、USJの地下に未処理の、封じられた「廃棄物層」が未だにあるのだとしたら?
何年か後、地震か、建造物の影響か、予想はできない何かの原因で、地下に封印されている「廃棄物層」が流れ出したとしたら?
それによって、アトラクション用水が汚染されてしまうようなことになったとしたら?

果たして、USJはそれを公表するだろうか?

調査員はこの取材中に見聞きしたいろいろな話を、つらつらと思い出す。

「施工計画は最終段階。今変更すれば2001年には開業はできない」※USJ開業は2001年3月……(vol.1 新聞記事)

「工事や土地誘致の際の談合の話とか、企業と市政側の癒着の話ですとかね」……(vol.3)

「法的な処理が終わっているという判断の下に……」「特に報告・検査を義務付ける法律は一切ございません。」……(vol.5)

「“一体、人間をなんだと思ってるんだ”っていう事件が多いご時世なんだから。狂牛病だって、雪印だって、みんなそうだったじゃないですか」……(vol.3)

「申し訳ございませんが、“公表は致しかねる”というのが、スタンスでございます」……(vol.6)



最近、USJの不祥事が続いている。
「賞味期限切れ食品の販売」
「レストランのトイレの汚水菅破裂」
「水飲み器の工業用水問題」
「飲料水の水質検査結果捏造問題」
不祥事一覧http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/universal_studios_japan/

予期できたはずの不祥事が、最近になって噴出してきているのは何が原因なのか。
また、もし、このような不祥事が発覚しないままだったら、USJはどうしていただろう。


話は「地下の有害物質」に留まらず、“あれ”は潜んでいるかもしれない
いるのか、いないのか、わからない。得体が知れない。だから怖い。
そういえば、“あれ”はもともと、そういったものであった。


USJの“地下”に
巨大資本の“影”に
アトラクションを楽しむ「普通の人々」の見えないところに。
潜んでいるかもしれませんね。


写真4



――“悪魔”が。




巨大テーマパークの『噂』
― 完 ―



( 探偵ファイル )


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