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先日、休暇中の探偵である私の携帯電話に、全く聞き覚えのない女性の声で突然電話がかかってきた。『京都の○○○ウェディング』というブライダル関連の会社の女性らしい。非常に明るい声で話す。
| 女性 | 「当社では、全国的に、年齢を問わず独身の男女を対象に結婚に対する意識調査を行い、ストーリー性のある婚約指輪のレクチャーを行なっております」 |
な、なんだストーリー性のある婚約指輪の買い方って?
その後、女性はルパン3世の峰不二子のような猫なで声で私のことを褒めちぎる。
女性「話し方とか、声が素敵ですね。趣味ってなんですか?」
私「〜〜です。」
女性「わぁ、それってすごくいいですね。お好きな食べ物は?」
私「××です。」
女性「××ですか、凄いです、素敵だと思います」
基本的に褒められるのは大好きなのであるが、好きな食べ物まで褒めちぎられると流石にしらけてしまう。そうしているうちに、
| 女性 |
「当社で主催している展示会の会場で、"指輪のプレゼントのやり方"や"結婚に対する姿勢のあり方"の講習会をしていますので、是非一度、気軽な気持ちで遊びに来て欲しい」 |
いや、そういう講習会を聞いても結婚の予定も無いのでと断ろうとするのだが、またこの女性がしつこい。
「今日がだめなら明日ほどうですか」
「なんで、今日はだめなんでしょうか?」
「今日これない理由はなんなんでしょうか」
「そんなこと(私の今日の予定)なんか、明日でもいいじゃないですか」
と、懸命に展示会場に来るように勧めてくる。
「気軽な気持ちで遊びに来て」というのは、解釈すると「這ってでも出て来いやゴルア」ということらしい。
根負けして渋々了承し、「京都駅」で待ち合わせをすることになる。電話を切る間際に、こんなことを言われた。
| 女性 | 「この電話がきっかけで、あなたのような素敵な男性と話が出来ただけでもすばらしい偶然と思うのに、会えるなんてとても嬉しい! 私はこの偶然を本当に心から大切にしたいと思っています。」 |
| 女性 | 「あなたのためだけに時間を用意するのだから、もしいい加減な気持ちで会場に来ると言っているのであれば、今すぐ断って欲しい。でも、私の事が少しでも信用できるなら、個人的にあなたという男性とあって話だけでもしてみたい。」 |
解釈すると「こっちだって忙しいんだ。適当なこと言って逃げようとか思ってるんなら承知しねえぞ。ガキの使いじゃねえんだから、タダで帰れると思うなよ」
大阪在住で、タダでさえ少ない貴重な休日を楽しんでいた私だが、仕方なくそれを潰して遠い遠い京都駅まで大阪から出かけていくことになる。
京都駅には女性が迎えに来ていた。一緒に「○○○ウェディング 京都支社」へ向かう。
会社に到着、ます1階の受付部分のロビーで会社概要の説明を受ける。
「当社は、F1でフェラーリのスポンサーなんです」
なんとなく赤いフェラーリを愛車とする、とある人物のことを思い出した。それ故にいきなり帰りたくなったけど、大阪から京都くんだりまで来ていきなり帰ってはアレなので、ココはガマンである。
更に、ロビーに飾られた芸能タレントや格闘技界の著名人などのサインパネルの説明を受ける。なんとなく、サインが飾ってある駅前のラーメン屋のことを思い出した。
場所をかわって2階の展示会場へ案内される。
会場内はいくつかに区分けされ、それぞれにテーブルが置かれた造りになっている。展示会場というよりは面接会場といった雰囲気である。女性スタッフと1対1で対面になって座る。「ストーリー性のある婚約指輪」のお話の始まりである。
女性「婚約指輪を送るためには、婚約指輪が必要ですよね」
と、いきなり婚約指輪として最もポピュラーであるダイアモンドを例にとって、テーブルの上にたくさんのダイアモンドを並べて説明を始める。
「ダイアモンドは、4C(4項目の品質に対する略称)で価値が決まります」
「購入時、ダイアモンドには、他の宝石とは違い、唯一"鑑定書"が付属します」
「その鑑定書を発行している機関は、非常に厳しい鑑定を行う事で有名です」
「更に、その機関が認めたダイアモンドでも、当社が納得できないダイアモンドは一切納品しません」
と言ったことを矢継ぎ早に説明される。ダイヤモンドか…昔「ココ山岡」ってところが「新婚さんいらっしゃい」とかの番組で提供してたなあ、などと思い出していると、その女性スタッフが簡単な質問をする。
女性「こういったいくつかのダイアモンドを見ていただきましたけど、自分の生涯の伴侶となる女性に対して送りたいものは、高品質のものでしょうか、それとも低品質なものでしょうか?」
私「高品質なものに決まってますよ」
と答える。「では、これは除外しますね」といくつかのケースをしまいこむ。
| 女性 | 「ダイアモンドの輝きはカット(加工)によって決まります。より完璧に近いカットの物と、粗悪品と呼ばれるようなカットの物なら、どちらを贈りたいですか?」 |
| 私 | 「粗悪品は嫌ですよ」 |
| 女性 | 「ならばこれも外します」 |
と言って、更にいくつかのケースをしまいこむ。
女性「自分の将来に向けての自己投資として、1カ月にいくらぐらいなら出資できますか?」
私「(今の給料が○×ぐらいだから)〜〜円ぐらいでしょうか」
質問に答えるたびにテーブルの上のケースがしまわれて行き、いくつかの指輪が残った。
女性「この中から、あなたの気に入った指輪を選んで、私の薬指に嵌めてみてください。」
私「えっ!?」
神妙に女性スタッフの手をとって、指輪を嵌める。
指輪を嵌めた手を見せながら、女性スタッフは厳かに語る。
「あなたに愛された人は、こんなに素敵なデザインの指輪を贈ってもらえて、本当に喜ぶと思います。幸せだと思います。」
「きっと、この指輪をあなたにつけて貰った日は、その女性にとって人生の中で何よりもかけがえのない幸せを感じる日になるでしょう。」
「その女性を愛しているあなたなら、そう思って貰えるのが男として一番素晴らしいことなんじゃないでしょうか。」
なんとなく、“そうかもしれないよなあ”とポワ〜ンと考えはじめた。

上司と思しき女性
すると、その女性スタッフの上司らしき人(やはり女性)があらわれて、会話に参加してきた。
・・・・・・> 後編へ続く。
( 探偵ファイル )
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