蛇頭とその周辺
〜 中華マフィアを探る 〜


【蛇頭とはなにか】
・ 「蛇頭」とは組織ではない。
・ 「蛇頭」とはシステムであり、犯罪行為そのものを蛇頭と呼ぶ。
・ 「蛇頭」=闇の旅行会社 という認識が強い。
・ 1本のパイプライン。<プロの連携プレイ>
  地元で密航者を募る勧誘蛇頭。
  密航者に付き添って目的地まで運ぶ付き添い蛇頭。
  目的地で密航者を待つ出迎え蛇頭。
  現地で密航者の就職等の世話をする蛇頭。
・ しかし、ボスは存在する。華僑のボスが蛇頭のボスであるらしい。
・ 「蛇頭の語源」斬っても斬ってもヘビの頭は残る。(犯罪組織の持続を端的に示す)


【蛇頭成立の経緯】
蛇頭の成立は中国人の海外入国が原因で始まった。
・ 「第一次華僑ブーム」(19世紀中頃 半植民・半封建時代の清国)
・ 反清革命家が海外に亡命
・ 貧しい人々が海外に密入国 ⇒ 異郷に定住し、華僑の始まりになった
・ 近代化に向けての海外留学

「第二次華僑ブーム」(現在)
・ 改革開放に揺れる中国から、移民・留学・密出国する大量の中国人
・ 同じ漢字文化圏
・ バブル景気の真っ最中(バブル時期は日本が労働力を必要としていた)

その後、中国の市場経済の導入により、国営企業の労働者の多くが失業者となる。
同時期に中国で天安門事件が起こり、日本がバブル崩壊となる。
それに伴い日本入管当局は、1990年 入管法を改正し、(中国人が難民化して日本に居着くことを警戒)入国制限を決定。

・ 中国人失業者(国営の労働者)
・ 失業軍人
 (近代化と経費削減の為軍区の再編成→100万人削減)
日本の入国制限からヒントを得て、
蛇頭が密航ビジネスを思い付く


【中国犯罪組織の種類について】
中華マフィア組織 ・・・・中国人の互助組織
元々古くから、「幇」 「幇会」 「幇派」 と呼ばれていた。

「幇」の働き(元来)
・ 海外 ⇒ 移民である同胞を外部から守る前衛
・ 大陸 ⇒ 貧農や、労働者の組合的存在。権力による抑圧からの保護団体

「幇」の始まり
「三国史演義」の時代。劉備・関羽・張飛の義兄弟の契りに始まる。
その後、政治の乱れに伴う反乱期に常にその存在が浮上してきた。
時代を経るごとに犯罪組織化し、マフィアとなっていった。
1911年 辛亥革命 反清復明の目的失う。革命は成功したが、中国を統一する権力基盤がなかった為、孫文の死後、大陸には軍閥が割拠するようになる。
軍閥の敗残兵は大挙して「洪門」(マフィアの一派)に加盟するようになり、民族的革命秘密結社は流民・貧民・敗残兵で構成される、アウトロー集団へと変化していった。
彼らは、殺人・暗殺・強盗の請け負い・誘拐・人身販売・密輸などを生業とするようになっていった。
このようにして、「洪門」(三合会とも呼ばれる)といえば、中華マフィアの代名詞になった。


【マフィア14kについて】
14kは蛇頭ビジネスを主として行なっているマフィアである。
1949年 広市 華路14番地で結成された洪門(国共内戦末期)

・  一時期「14k」の会員は8万人を超え、全世界に拡大していたが、組織の分裂・香港の大陸復帰により現在は会員5万人で、実質第三位の勢力である。

・  蒋介石が国府軍中将・葛肇煌に反共組織の結成を命令。
当時、洪門「五州洪門西南本部」を「洪門忠義会」と改称し、会長の座に就任していた彼は蒋介石の命令にしたがって南寧の「大洪山」と合体し、「洪発山」を結成し、関東地方で最大の幇会となった。
この「洪発山」は「十四会」と称され国共内戦に国府軍が敗れて組織が香港に逃れた以降は「14k」と称されるようになった。

・  上海の幇派「清幇」に代わって勢力を伸ばす。(中国国民党の後ろ盾による。)
香港政府は「親国民党の地下組織」(洪門の系譜を正当に受け継ぐ団体)と認識。
「14k」の会員を台湾に追放。結果香港と台湾の黒社会の連帯関係が生まれる。




【解決策】
中華マフィアは華僑社会の或る場所には必ず存在しており、それは単なる犯罪者組織ではない。地縁・血縁による強固な団結の根深さや歴史的背景も考慮に入れるべきである。
捜査当局はとかく中国人というと犯罪者扱いしてしまい、結果中国人の民族意識を高揚させ真の悪党の姿を見失ってしまう。罪なき中国人を弾圧するという罪を犯すことになる。
真の敵を見破るには中国人との共存を実現させ、相互援助・信頼関係を成立させマフィアに対抗すべきである。
中国人のことを良く知るのは同じ中国人である。彼らの積極的協力なくしては問題解決の糸口はないといえる




〜 暴力団と蛇頭の連携へ続く 〜




(探偵ファイル)

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