●更新日 01/04●
堤防決壊現場は今
昨年は忘れられない多くの災いが重なった。
その中でも新潟の地震は最も大きな関心事だったが、同じ新潟県でもう一つ大きな災害があった。
豪雨による堤防決壊である。
被災地の人たちは元通りの生活を送ることができているのだろうか。
昨年の暮れ、堤防決壊現場の一つ、新潟県三条市を訪れた。
ご覧の通り、新しい堤防に沿うように土のうが敷き詰められた決壊地点。
反対側もこの通り。
これだけ大きな堤防でも敵わなかったとは、自然の猛威にただ恐れ入るばかりである。
決壊地点から100メートルもない民家の方に話を聞いた。
実際被害はどのくらいだったんでしょう?
う〜ん、数えたこともないね〜。車がダメになって、1階部分がヘドロで家財やら畳やら全部ダメになって……。
地震の被害もあったんですか?
ヒビが入った程度かなぁ。
周りには新しく建築中の家が目立ちますが、こちらはどうされるんでしょう?
まあ余裕のある家は建て替えとかもできるけどねぇ、うちは自分とこで掃除して終わりだよ。
住民の方は「特に困っていることはない」と話すものの、まだ家の中が“ヘドロ臭い”のだそうだ。
「そのくらいは我慢しているよ」ということだが、生活が元通りになったというより実際は被災者自身の精神的な部分でカバーされているようだ。
▲家の壁には水の跡が消えずに残ったまま
他の家の人に話を聞いても、「壁の汚れを何回雑巾で拭いても粉みたいなのが消えない」とか「うちの畑は水に浸かってから種を蒔いても芽が出てこない」という答えが返ってくる。
▲野菜の高騰が続くのもよくわかる
しかし皆、「困っている」とは口にしない。
どれもこれも困り事に聞こえてしまうのだが、普段の当たり前と思っている我々の生活が贅沢なだけだろうか。
住民の方が最後に残した言葉が印象的であった。
「人間は嫌なことは忘れるようにできてるからねぇ」
今年は嫌な事が少しでも減ってくれれば良いが……。
カグウェル
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