須藤甚一郎須藤甚一郎の政治に物申す!

Vol.16(2002年7月23日)

★富士山と石原慎太郎は、遠くから眺めるのがいい

 石原新党が結成されて、東京都知事の石原慎太郎(69)が総理大臣になるのだろうか?
朝まで生テレビで、石原総理待望論をやったり、新聞、週刊誌でも石原新党、慎太郎総理の話題で盛り上がっているのは、ご存知の通りだよ。
 あんまりマスコミがあおるもんだから、気の早い連中は、明日にでも石原新党が旗上げされて、慎太郎総理が誕生すると思っているようだが、そんなことはない。

 結論から先にいってしまうと、石原新党は実現したとしても、慎太郎総理の目はない。永田町では、「石原慎太郎と田中真紀子は、富士山と同じだよ」といわれている。つまり、富士山は遠くから眺めていると、ものすごくカッコよく見える。けれど、実際に登ってみると、ガレキの山でゴミだらけ。ちっともカッコよくはないというわけだ。
 慎太郎も真紀子も、遠くから眺めているぶんには、総理にピッタリだが、実像を知っている人間にとっては、「総理なんて、とんでもない!」と否定的だよ。


★石原新党は実現しても、石原総理は無理だ!

 まず、慎太郎総理が実現するためには、都知事を辞めて国会議員にならなければならない。来年4月には、都知事選があるのだから、そのまえに解散、総選挙がおこなわれることが前提になる。総選挙をにらんで石原新党を旗上げして、戦いに挑むことになる。
 その結果、最低でも50議席ぐらいは当選させないと、連合政権だとしても総理の話はでてこない。そういう2つも、3つもの高いハードルがあって、慎太郎にとっては大変にきびしい。ほとんど不可能といっていい。

 慎太郎と40年来の友人のひとりがいっていた。
「慎太郎に人気があるといっても、たかが都知事じゃないか。彼は国会議員がイヤになって、突然、辞職した男だよ。1度、政治家を引退したのに、再び都知事で舞い戻ってきたわけで、ほんとうに保守政治家として実力と人望があるのなら、とっくに総理になっていたはずだよ。
 あの中川一郎が亡くなったあと、中川派を慎太郎が引き継いだけれど、それを維持できなかったのだから、新党を結成して、暴れまわるなんてできるわけがないよ」


★石原新党に参加するのは、選挙目当ての議員だけだ

 政治評論家は、石原新党ができたら、自民党から民主党までの若手を中心に国会議員が大勢参加して、総選挙で50議席は確保できると予測している。けれど、待ってましたとばかりに石原新党に参加する議員なんて、選挙目当てのやつばかりで、ろくなやつはいないはず。
 慎太郎人気に便乗して、選挙で当選することだけが目的のさもしい議員が、ほとんどだろう。細川護煕の日本新党、小沢一郎の新進党の失敗が、そのまま石原新党にもあてはまるというわけだ。


★毒が消え、老いた石原慎太郎!

 新党をつくり、総理を狙うより、作家・石原慎太郎として、老いた人生を送るほうが、彼にとって楽しいのではないのか。芥川賞受賞作の「太陽の季節」がドラマ化され、最新のエッセー「老いてこそ人生」が、30万部のベストセラーになっている。
 こちとらもすでに還暦を過ぎたし、「老いてこそ人生」にどんなことが書かれているのか、1冊買うつもりで、本屋の店頭で手にしてみたよ。老人の自慢話とグチみたいなことばかりが書かれていて、慎太郎も老いたなあ、と寂しかったね。慎太郎独特の毒が消えたよ。


★民主党の代表選は、鳩山由紀夫再選で決まりか?

 9月に行われる民主党の代表選挙が迫ってきた。代表選に出馬するのは、代表の鳩山由紀夫、幹事長の菅直人、横路孝弘、松沢成文、枝野幸男などの名前がすでに挙がっている。が、最終的には、鳩山の再選で落ち着きそうだよ。
 菅は代表選に狙いを定めて、強引にやってきたけれど、なにしろ人望がなく、代表選立候補に必要な国会議員20名の確保すら、おぼつかないという。


★横路は立候補せずに、高く売りつけるのかも

 はやばやと出馬宣言した横路は、民主党の内部で、「すでに国会議員21名の白紙委任状を持っている」とウワサになっている。だから、自分が立候補する気ならできるわけだが、
「立候補せずに、21名の白紙委任状を持って、勝ちそうな候補に自分を高く売り込もうという計算ではないのか」と、民主党内で見られている。
 前回の自民党の総裁選で、亀井静香がやったあのやり方にそっくりだよ。亀井は、途中で候補を降りて、小泉支持にまわった。もっとも、亀井は大臣にしてもらえずに、いまでは小泉おろしの急先鋒だ。

★混戦の代表選で得するのは、若手議員だよ

 混戦気味の民主党の代表選で、一番得するのは当選1〜2回の若手議員だ。あっちの候補、こっちの候補から口説かれて、たとえカネをもらっても、代表選は公職選挙法の対象外だから、まったく問題ない。
 かっての自民党の総裁選が、そうだった。新人議員は、田中角栄、福田赳夫、大平正芳などから、ダブってカネを受け取っていたやつがいくらもいたという。
 ところで、民主党の代表選がイマイチ面白くないのは、寄せ集めで文句はいうものの、民主党を飛びだしたら、選挙に勝てそうにない弱い議員がほとんどだからだよ。こんなことでは、政権は獲れないし、ニッポンは変わらないぜ。(敬称略)


ジャーナリスト・須藤甚一郎
【須藤甚一郎ホームページ】

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