《真の道の噂》
インターネットに噂を見つけた。
八王子市裏高尾町には「真の道」という道があり、ここには水子供養のための無数の地蔵が立ち並ぶという。
生まれずしてあの世へと行った子供のためであろうか、この場所ではたくさんの霊的な現象が起こるらしい。
噂の中には、車に子供の手形がつく、女性が行くと気分が悪くなる、車の前を横切った子供が消えるといったような、子供に関するものが多かった。
《現地調査》
真の道は高尾山ふもとの、小仏峠にある。付近の住民に話を聞いたが、
「聞いたことはあるが観たことはない」
「知らない」
「宗教の教団がある」
というようなものばかりだった。
だが、ある年配の夫婦から詳しい話を聞くことができた。
山道を登り立ち入り禁止のフェンスを越えて、歩いて行くとたどり着く。そこには確かに水子を奉るための地蔵が幾重にも立ち並ぶという。親切な夫婦に礼をして先を急ごうとする私に、最後に男性が一言「気をつけて」と意味深い言葉を残した。
話に従い、水子地蔵に向かった。車を降り、角の欠けた石の階段を上る。そこには古びた石柱が建ち、「真」の文字が記してあった。
さらに階段を上ると3mはあろうかというフェンスがあり、その上には有刺鉄線が張り巡らせてありこれ以上は進めない。
そこで撮影しようとしたが、あまりに奥があり、カメラのフラッシュも懐中電灯の明かりも全く届かない。暗闇の中をよく見ると、フェンスの内側には防犯カメラが設置してあり、警備の厳重さを物語る。
地蔵、心霊現象の確認にはいたらなかったが、ここで調査を打ち切った。
後日、真の道という道があるわけではなく、これは信徒宗教の団体名称であるということが判明した。さらに小仏峠にあったという水子供養の地蔵群は、若者の悪戯により、地蔵が壊される、持ち帰られるといった事件が相次ぎ、昨年すべて移設されたという。
すべての水子の冥福を祈る。


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