神流湖・下久保ダム周辺



《下久保ダムの噂》

下久保ダムは、東京の水がめとして、9年の歳月をかけ、昭和44年に神流川を堰き止めて作られた多目的ダムである。貯水湖は神流湖と呼ばれ、湖底には学校や家屋(約300戸)、整理されないままの墓地などが、そのままの状態で、水没している。

地元の人たちの話によると、ダムから飛び込んだ自殺者や事件、事故に巻き込まれた人などの遺体が、かなり上がっているという。湖底に沈んだままの遺体も多いだろう。ダイバーが潜って捜索しても、視界が悪く水温が低いため、長時間の捜索は不可能だ。その上、上流には日航機墜落事件の御巣鷹山もある。

なお深作欣二監督の映画、バトルロワイヤルは鬼石側山頂の廃校で撮影したそうだ。

・保美野山トンネル
・R462を上流方面に走り、最初の下久保トンネルを抜けて次保美野山トンネルに入ると、いきなり、生首が飛んできた。
・琴平橋

上流には門ヶ谷トンネルがあり、ここを通り抜けてすぐ左折すると、赤い吊り橋がある。ここには、数多い心霊現象が報告されている。

・新井家

琴平橋を渡り、埼玉県側の神泉村から、今度は下流へ向かうと一家心中のあった家がある。その近くでは吐き気に襲われたり、子供の霊が現れたりする。

・下久保ダム

白い影が浮かび消えていく、作業服を着た男の霊が現れる、などの噂が絶えない。

《現地調査》



この写真は、昼間の撮影。夜にも何回か走ってみたが、特に何も感じなかった。



通称、自殺橋とも言われている琴平橋。赤いきれいな橋だが、ここから落とされた人、自殺した人たちのことを思うとぞっとする。昼と夜にきてみたが、昼見ると赤くきれいな橋も夜見ると、まわりには照明もないために恐ろしい色に見える。

橋の中央から、湖面を見ると風もなぜか強くなり、引きずり込まれそうな感覚になった。



自殺橋を渡り、県道を下流方面へと5分ぐらい走ると、あまり日の当たらない湿った場所に地蔵が立っている。その反対側の小高い丘に、新井家と彫られた一軒だけの墓地がある。

その墓地からすぐの下流方向、右山側の木々に覆われた中に廃屋がある。一家惨殺の心中事件があった新井邸である。

5人家族(父親母親、子供3人)で住んでいたが、ある日、突然父親の気が狂った。父親は家族全員の首を鉈ではね、最後に自分も首を吊って自殺したのだが、子供の首が1つ見つからなかったらしい。

家の入り口には、チェーンが張られている。中に入ると、昼間なのに薄暗く重い異様な空気が張りつめていた。誰かに見られているような視線を感じ、息苦しくなってきたので、撮影を済ませ、すぐ出ることにした。

普通の人でも気がおかしくなるような、そんな霊気の漂うような場所であった。



ここから、さらに下流方向へ2〜3キロ進むと、やがて石碑のようなモノが見えてきた。どうやらこの石碑は、戦没者の慰霊塔のようだ。



湖を一周するようなかたちで、ダムサイトに到着。

ダムの手前、右方向に三波石峡へと下る道(車両通行不可)がありその入り口右側に、慰霊碑が建っている。

ダム建設中に何人もの作業員が事故死しており、その鎮魂の碑だ。



下久保ダム関係者の話では、この9年間、自殺、殺人、交通事故などで、水死した人が数え切れないぐらいおり、死体が上がるたび、ボートで引き上げにいくという。

最近でも、夏の渇水時にダムの水を放流、水位が下ったとき、ボート乗り場の道から自動車が現れ、中から2体の腐乱死体が発見された。つい先日は、ダムサイトの下流方向、つまり、湖側ではなく、三波石峡側に女性が飛び降り自殺をしたばかりだという。

駐車場に車を止めたまま、行方不明になっている人など、見つからない自殺者なども含めると、かなりの人が亡くなっているのではないかという証言をもらった。



神流湖を取り囲むように心霊現象が数多く報告されるのはなぜか?

この規模の湖としては、あまりにも事件が多い。自殺者も一向に減らない。これらの現象は、秩父という特異な地域性からも考えられるのではないか。

秩父は武家時代から鎌倉仏教の信仰が行きわたり、日本百観音霊場のうち、秩父三十四カ所が成立した。つまりダム建設は、古くから日本の霊場として信仰されてきた山々を壊し、神が流れる川(神流川)を堰き止めたことになる。それが原因で我々の想像もつかない力や怨念が、湖のまわりに集中してしまったのではないか? と思うのだ。