噂:以前からこの団地には自殺者が多く、霊が出るといった噂話が後を絶たない。
場所:仙台市中心部より北東方面へ約5km程離れた丘陵地の頂上に鶴ヶ谷団地はある。同団地のほぼ中央部には、広大な森林に囲まれた「鶴ヶ谷中央公園」。公園内には「ひょうたん沼」と呼ばれる大きな沼があり、早朝はジョギング、日中は湖畔の散策や釣り人客の姿が見られる。
早速鶴ヶ谷団地へ向かい、団地の住民数人に聞き込みを行ったところ、有力な情報を得る事ができた。
同団地内で生まれ育ったという女性A(25歳)は、
「自分が物心ついた時から、すでに自殺の噂話はあった」
という。また、8年前に引っ越してきた女性B(68歳)からの証言によると、
「こちらに引っ越してから、5〜6人はひょうたん沼で死んでいる」
という事である。
つい最近もひょうたん沼から死体が引き揚げられたらしい。しかも、この沼は周辺住民の間では底なし沼とも言われているようで、引き揚げられる死体はほんの一部であり、実際にはもっと多くの自殺者がいるかもしれないという。
また、釣りをしていた男性Aから、この沼は水深2m弱だが、地質が柔らかい為に、足がはまるとすぐ沈んでしまうという証言を得た。これが底なし沼と言われる所以であろう。
前述の女性Bによれば、先日の死体もすっかり肩まで沈んでいて、綱を縛って引き揚げたようだ、との事である。
さらなる聞き込みの結果、多数の入水自殺の他にも、アパート屋上からの飛び降り自殺の情報も得た。
この地が自殺の名所であるのは間違いないようだ。
ただ、皆、自殺の事実は認めているものの、実際に霊を目撃したという人物に出会う事はなかった。何故、この団地でこれほど多くの自殺者が出るのか、住民もわからないという。調査を重ねても、この地は過去に霊所であったという事実も特に確認されてはおらず、自殺の事実から、更に怨霊話へと噂だけが発展していったものと推測される。

多くの死体が沈んでいるという「ひょうたん沼」
鶴ヶ谷団地は177ヘクタールの敷地に6300戸の家が建ち並ぶ、東北一のマンモス団地である。また、団地の大半が公団、市営の集合住宅で成り立っており、仙台初の集合住宅という事で当時は非常に人気の高い、活気のある地域でもあったという。
しかし、建設から30年経った現在では建物自体も老朽化が進み、世帯主も高齢となり、街全体がひっそりとしている。つい先日も、老後保険の給付が受けられない老人が一人、家の中で亡くなっていたという記事が地元新聞に掲載された。
このような状況の中、生活苦に苦しむ人や、人生に疲れた者が最終的に自殺という選択を強いられたのかもしれない。
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