廃墟のI病院



《廃墟のI病院の噂》
茨城県O町の赤い橋から車で5分ほど走ると白い洋館造りが見えてくる。これが今は打ち捨てられてたI病院である。



噂によれば20年程前に、狂った医院長が患者や看護婦、医師たちを皆殺しにしたらしい。そしてこの病院は閉鎖された。亡くなった入院患者の遺骨が2体、いまだにこの廃墟に置かれたままとの話もあった。
付近の住民が、この病院の屋根の上を火の玉が2つ飛んでいるのを見たという証言もある。

《現場調査》

廃墟と化したこの病院は、生茂った木々に覆われて、建屋全体を見渡せないほどだった。かろうじて、建屋の玄関部分が木々の間からわずかに見えるだけだ。
玄関のドアが開いていたので中を覗くと、思わずぞっとした。



なんと、線香が置かれているではないか! なぜ? 誰が? 何のために? と思うと足がこわばり、動けなくなった。白い壁には「なをれよ早く」の落書きがあり、早く退院したいとの念が焼付けられているようで不気味さが漂っている。



深呼吸して気を落ち着け、いよいよ中に。さらに廊下を抜け、奥の部屋まで足を踏み入れたが、遺骨らしきものはなかった。他にも建屋があるが、入り口は閉鎖されており、窓からは内部のようすが見えない。もし遺骨が残されていたとしても外からは確認できなかった。

この病院を訪れる前に、数カ所心霊スポットを回ったが、そこでは特に何も感じなかった。しかし、この病院は、道路沿いにあるにも関わらず探すのに時間がかかった。やっと入り口を見つけ、入ろうとすると、何度も携帯電話が鳴り、足止めを食らった。まるで人が近づくのを拒んでいるかのようだ。あたりには、ただならぬ気配がある。

……やはり、噂は本当なのだろうか?