網走監獄



 

「網走刑務所」その名を聞いたことの無い人はいないだろう。現在機能している刑務所の中でおそらく日本一の知名度があると思う。

しかし、網走刑務所の奥にある「三眺神社・北山墓地」を知る人は現地においてもあまり多くはない。立ち入り禁止地区の奥にある、囚人と職員が共に埋葬されている、唯一の墓地だ。立ち入り禁止地区のために、その周辺にて聞き込みを行ったところ、次の様なエピソードを聞く事が出来た。


夕方、北山墓地の後ろ手の山にて山菜取りをしていると、ふと人の呼び声が聞こえてきた。ついふらふらと声のする方向に歩いていくと、山の上に墓地があり、そこにボロボロの服を着てこちらを見ている男の姿があった。一目で幽霊と解り逃げ出そうとすると、周りに同じようなボロをまとっている男が何人も現れ、歩きよってくる。何処をどのように逃げたか記憶が無いが、町に着くまで「待ってくれ」との声が耳に張り付いて取れなかったそうだ。

無念の投獄生活のなかで死に至り、身寄りの無いものも埋葬されているという寂しさのあまり、呼び続けたのではないだろうか。今でも誰かが墓地に足を踏み入れるのを待っているに違いない。


(写真は墓地手前、三眺神社の写真、当然立ち入り禁止。少し前にT@Sが来た為、物凄く過敏になっています。かつ、この付近は囚人の方が作業しています)

調査員が訪れた時、周辺の住民に聞き込みを行っても「知らない」「聞いたことが無い」という返答ばかりであった。しかし、所内の売店では「ああ、あそこね、いろいろあるからねー、ここは」と返ってきた。具体的には知らないらしい。
「立ち入り禁止なんだけど、遠くから見てみれば?」
とアドバイスをいただいた。

 

敷地内に入ってみると、不気味さとその存在感にて圧倒されるばかり。しかも三眺神社の石碑の写真を撮った瞬間、吐き気までしてきた。周囲の森は、風も無いのにざわついている。
生理的に危険なものを感じて、調査員は逃げるようにして帰った。