●更新日 08/30●


オカルト論争


僕は一昨年から、テレビ朝日さんで放送されている「ビートたけしの超常現象Xファイル」に出演している。
昨年は夏にも放送されたので、既に三回出演している。

昨年夏は、大槻教授が海外で夏休みをとられたこともあり出演できず、あまり論争は盛り上がらなかったが、大概否定派(番組の構成上、懐疑派も同じ並びに座らされているが)・肯定派の論争になる。
年末の風物詩となった大槻教授と韮澤社長のトークバトルを見たことがある人も多いだろう。

この番組に出る僕は、肯定派の方に座ることになる。僕の場合、幽霊論争でも宇宙人論争でも立ち位置は微妙なのだが、いつも肯定派に席が用意されている。

「僕はテーマごとに、肯定派の席だったり、否定派の席だったりするんです」
とスタッフに説明したことがある。

だが
「そうなると肯定派が負けちゃうから」
という理由で肯定派の助っ人として座り続けている(笑)

荒俣宏さんに至っては、
「肯定派の弁護士として頑張って」
という始末だ(笑)

そんなわけで、席を二分化した結果、肯定派に座っている。(否定派に分類されている懐疑派の方も同じ気持ちであろう)

但し、僕が韮澤さんや竹本良さんの応援をこれからもしようと思ったのは大きな理由がある。

それは彼らの笑顔である。

嬉々としてUFOや心霊を事実であると語る彼らの人柄や人間性に惚れたからである。

「この人たちを護っていこう。どんなラフファイト、どんな詭弁を使ってでも護ろう」
と思ったのは、お二人の人柄に好意を持ったからである。

四国の友人が侮蔑するような笑いを浮かべて、僕にこんな事を言った。

「あの番組は、年末にUFOや幽霊を信じている馬鹿を笑い者にして、『自分より馬鹿がいるんだな』と冷笑して新しい年を迎えるのが、視聴者としての正しい見方だよ」
というものであった。

違う地元の友人はこんな事を言った。

「あの手の肯定派を否定派がやっつけることで、カルトのマインドコントロールにはまっている肯定派を救ってあげているのだ。妄信との戦いだよ」

―――――本当に悲しかった。

日本人は、いつからここまで意地の悪い人間になってしまったのか。

われわれ、日本人は不思議なモノに対しもっと寛容であり、不思議なモノを愛しながらも現実的にはしっかり仕事をしてきたはずである。
不思議を愛することと、リアルな生活は併用できる。現に山口敏太郎がそのバランスをとって生きている。

他人を馬鹿にし、冷笑しながら幽霊やUFOを否定する。確かにそういう番組の見方もあるかもしれない。

だが、妄信者のマインドコントロールを解くのに、冷笑はいらないはずである。
真顔で、否定派を論破すればよいのであって、
冷笑しながら肯定派を否定しても、

―――――それは他人への侮蔑でしかない。

だから、僕はどんなヒールになっても否定派から、肯定派を護る。

日本人が駄目になった理由のひとつ、それは不思議を受容する心を喪失した部分にあるかもしれない。

中間派、懐疑派の中に、このロジックに賛同してもらえる人が出てきたら、オカルトに対する日本人の接し方が変わるのだ。

全肯定者を真顔でさとし、全否定者を強く説得せねば、まったく状況は変わらないのだ。

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山口敏太郎



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