
●更新日 05/07●
恐怖の都市伝説 タン壷ばばあ
数日前、筆者の知り合いである女性Aさんが奇妙な痴漢と遭遇した。彼女は夜の暗い道を歩いていた。すると前方に口の中でなにやらクチャクチャとやっている男がいたという。Aさんは気味が悪いなと思いながら、男の前を通り過ぎようとしていたのだが、その瞬間、男はAさんの顔に向かって口の中に入っていたものを吐きつけた。それは大量のたんであり、何が起こったのか分からず呆然とするAさんの顔からボトボトと落ちていったという。
実は数年前にも同じような話を耳にしたことがある。知り合いのMさんという会社員の方から聞いた話だ。東京近郊にマイホームを持つMさんは、都内にある会社に通勤するために毎朝T線を利用していた。そんな彼は毎日ストローを持って駅のホームを徘徊する奇妙なおばあさんを目撃していた。Mさんはおばあさんと関わりあいにならないようにしていたのだが、ある日事件は起こってしまう。大量に溜まっていた仕事を片付けるために、Mさんはその日、早めに家を出た。そしていつも通り駅のホームで電車を待っていると、例のおばあさんに出くわした。だがこの日のおばあさんは様子が違った。なんと、駅のホームにあるたん壺にストローを入れると中にあるものを吸っていたのである。その姿を見て悪寒が走ったMさんは、つい「やめろ!」と叫んでしまった。するとおばあさんはMさんの方を見てニヤリと笑ったかと思うと、彼に抱きついてきた。ストローからは汚物がこぼれ出し、Mさんの背広を汚してゆく。彼は半狂乱になりながら、なんとか電車に乗り込んだという。会社には無事たどり着いたもののあまりのショックにその日は仕事にならず、仕事でミスをしてしまったりお客さんに怒られてしまったとさんざんな目にあったという。仕事の後は、今日の鬱憤を晴らそうとぐでんぐでんになるまで酒を飲み、帰宅途中に交通事故にあってしまった。Mさんは大怪我をおってしまったのだが、どうにか一命を取り留めた。数日後、病院のベッドで寝ていると、聞き覚えのある奇妙な音が聞こえてきた。駅のホームにいたあのおばあさんが汚物をすすっている音である。恐る恐る目を開けてみると、そこにはMさんの傷口から膿をストローですするおばあさんがいたという。
非常に奇妙な話なのだが、Mさんから話を聞いたとき、これはどこかで聞いたことがある話だと思い、記憶の糸をたどってみたところ、1976年から80年にかけてラジオで放送されていた「スネークマンショー」にて「タン壺小僧」という話が語られていたことを思い出した。これは非常に美形な少年が早朝の駅のホームでタン壷の中にある物をすするというお話である。Mさんが遭遇したタン壷ばばあは、タン壷小僧を真似して現れたのかもしれない。ちなみに現在では、タン壷ばばあは都市伝説として語られている。Aさんが遭遇した痴漢も、数年後には都市伝説として語られるようになるのかもしれないが、真似する人が現れないことを願いたい。

山口敏太郎
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