●更新日 03/09●

不幸の404号室


昭和40年代に、マンモス団地の先駆けとなった、東京都板橋区にある高島平団地。

しかし、最初の自殺者がマスコミに報じられた事がきっかけとなり、一時は全国から自殺願望者が集まるといった『自殺の名所』として有名に。

屋上へ上がる階段は封鎖され、自殺防止フェンスが設置されていますが、今でも数年に一度、非常階段や中庭への投身があります。


写真


だが昨今の高島平団地においては、自殺は屋内が少なくありません。 2004年3月26日、都営団地の404号室に住む一組の年金暮らしの老夫婦の遺体が発見されました。すでに死後3週間が経過。異臭を感じた住民が通報し発見に至りました。


写真

事件のあった部屋404号室

団地という場所柄、一人暮らしの老人が死後かなり経過してから発見されることもあります。 通報を受けた警察も慣れてた様子で、匂いを嗅いですぐに隣人に金槌とガムテープを貸り、 部屋の状況を確認し応援を呼んだとか。

自殺した夫婦は以前にも青木ケ原樹海、ガス自殺と、2度の自殺未遂を起こしていたそうです。 2人ともパチンコ好きで、消費者金融にかなり借金があったのが原因。 2度の自殺後は、民生委員を通し区役所の生活保護課が間に入って自己破産手続きしました。

今回もまた借金苦からのの自殺。 ガスも止まり、食事もロクに取れないどころか、頻繁に来る取り立てに追い詰められながらも それでもなお、借金を重ねてするパチンコ。

発見時、部屋にはヤミ金の督促状が散乱し、警察ですら「同情の余地無しですね」と言ったと 隣人は語ります。

二人は再婚で、千葉に旦那の息子がいるらしいですが、遺体引取り拒否。 以前から、金銭トラブルで親戚からは絶縁されていたそうです。

「奥さんが、あんまり頭の良い人じゃないみたいで、そういうこともペラペラ話していたわ」と 当時、相談を受けた民生委員は言います。

風呂場の水道管にロープかけて首吊った2人ですが、亡くなった奥さんは背の小さい人だったので、 旦那がイスか何か使って先に奥さんを見送ってから自分もやったのかなって考えると、いたたまれません。 しかも風呂場の窓は廊下に面しており、壁1枚隔てて2人がぶらさがっているところを 住民は何も知らずに通っていたのを想像すると、都会の近所づきあいの薄さを浮き彫りにした図と言えるのではないでしょうか。

写真

2人が3週間ぶらさがっていた排水管(同じタイプの部屋)

遺体回収後、管理センターの職員が異臭を誤魔化すために、2〜4週に1度クレゾールを撒きに来ていましたが、9月のリフォーム後から来なくなりました。死臭というものは、なかなか消えないものでありますが、団地という場所柄、いずれ新しい入居者を迎えることになるでしょう。

この団地に21年住んでいる住人によると、こういった自殺が起こった部屋には、中国人や外国人の低所得者が入居することがほとんどだと言います。

当然のように、お払いや供養などされず、 何も知らない新住民を迎える住民は複雑な気持ちでしょう―――



西垣 葵 西垣葵


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事