●更新日 12/14●  
			
				
				
				縁切り
 
  
				
				
			 
			
				
				良く、失望したり嫌いになったりした人に「縁を切る」とは言ったりしますが、そうは簡単にいかないのが世の常。 
				世知辛い世の中、人と人との縁の繋がりを切りたいと思っている人は少なくありません。 
				日本では、“縁”という民間信仰として古くから根付いているものではありますが、それだけに「縁切り○○」というのも存在します。 
				 
				大抵は神社ですね。今回のお話は、別の仕事で別れにまつわるモノを取材していた時のこと。 
				 
				ある場所に縁切り神社というのがあるのですが、果たしてそこに一体どういう人が来るのかという内容でした。 
				 
				  
				 
				比率としては女性が多く、時間帯は場所が場所であるだけに夜に集中していました。 
				 
				付近の住人に話しを聞いてみると、何時間も正座をして祈って行く人もいるらしい。 
				 
				古くから根付く信仰は、月に人が行けるようになった現在でもなくならないものです。 
				 
				5日目の夜だったでしょうか。内容が内容だっただけにしっかり覚えています。 
				
  
				「○○(男の名前)が、××(女性の名前)と別れるように!」 
				
  
				もの凄い大声でした。 
				深夜の住宅地に低いけど女性の金切り声が響き渡ります。 
				
 
  
				「別れますように!」 
				 
				「××が死にますように!」 
				
  
				「死にますように!」 
				
 
  
				呪詛。言葉というのは言霊が存在し、良くない言葉には力が宿るといいます。 
				言葉だけで人が殺せるわけはないのですが、もしかしてこの女性だったら・・・と思うくらいに怨嗟が篭った声でした。 
				 
				  
				 
				一通り呪詛を叩き付け、神社から出てくる女性の顔は鬼女と呼んでも間違いないくらいの貌。 
				血色のない顔に血走ったギョロっとした眼。 
				 
				恋と憎しみは紙一重。誰かを激しく愛する気持ちは、憎む気持ちと相手を強く思うという意味では同じです。 
				遠い昔、男に捨てられたなどでこんな表情になってしまった女性を夜叉とか鬼女と表現したのではないでしょうか・・・ 
				 
				願いと言葉には思いが篭り、その思いは発したものに力を与えます。 
				
 
  
				  
				 
				「おまじない」は、漢字にすると―――――「御呪い」
				 
				
				 
				 
				 
				
				西垣 葵   
				
				
				
				
				
			 
			 
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