●更新日 12/03●

高尾山と天狗伝説


東京都八王子市に鎮座する、高尾山。
古来、様々な天狗の伝説が語り継がれている。



「天狗の石つぶて」
参道の普請を請けおった石屋が、経費を浮かせるため手抜き工事をした。
その帰り、どこからともなく石が飛んでくる。
しかし、振り返っても誰もいない。
何かの間違いか……と再び歩き出すと、また石が飛んできた。
きっと天狗の仕業に違いないと、石屋は逃げ帰ったそうだ。



「天狗笑い」
村祭りの奉納金の徴収が廻ってきたが、とある村人が「今年は不作だったから、去年の半分でいいや」と、例年の半分しか奉納しなかった。
次の人はその半分、その次の人は更にその半分……と金額をおさえ、たいそう粗末な祭りとなってしまった。
「自分は悪くない」と村人たちが責任のなすりあいをしていると、高尾山より天狗が姿を現し、大きな声で笑い続けたと言う。
それはそれは恐ろしい笑い声だった。



「蛸杉」
昔、高尾山の薬王院に続く参道を天狗達が造ろうとしたとき、立派な一本杉が邪魔していた。
それならば切り倒してしまおうと天狗達は話をまとめた。
その夜、一本杉は切られてはかなわぬと根を持ち上げて、参道の邪魔にならぬ場所に移動したそうだ。


その木の根は、まるで蛸のような形になっていたという。


神通力で遠くを見渡し、人の心を読みとり、悪事を働いた者に罰を下す。
しかし、善良なる者には参道を造ったりと恩恵を与える。
天狗は妖怪の類と思われがちだが、実は山の神なのである。

都心よりほど近く、自然の宝庫である高尾山。
平日でも多くの観光客がハイキングをしている。
しかし、ちょっと奥まったところに行くと、飲み干したペットボトルや煙草の吸い殻が捨ててあるのだ。


高尾山は天狗の住まう山。


マナーのない者には、いずれ罰が下るだろう。



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