※注・この報告書は、実際に依頼者(某大学病院)が存在し、守秘義務が発生するために
  事件の具体的な日時、場所の記述は控えさせていただきます。

 

 平成五年十月某日。都内にある大学病院の事務局のS課長から、私宛に電話があった。
彼とは昨春、裏口入学の裏取り調査のときに知り合い、顔見知りになっていた。
 彼は何度も口外は無用と念を押し、重大な事件の解決を依頼してきた。
 なんと、霊安室の死体が何者かによって持ち去られたというのだ。警察にも被害届けを
出したが、怒った遺族を納得させるために、探偵にも捜索に加わってほしいという。
大学側としては、あらゆる手を尽くしているという態度を、遺族に示したいのだろう。
 その日の夕方、彼に会い、資料や着手金を受け取った。そこで彼は、病院内は警察に
まかせるから、外部の人間のみをターゲットに絞って調査してほしいという条件を出し、
1枚の写真を取り出した。

 奪われた死体の生前の姿。二十一歳の若い未婚女性だ。色白、身長は一六五センチ
くらい。しっとりとした日本的美人で、黒髪はストレート。誰もが見とれるほどの美形だった。